早田/伊藤組、ダブルス女王へ勝機あるか 他国相手に無敗の中国攻略は「仕掛け」

月刊『卓球王国』

決勝の相手は圧巻の強さを見せる中国ペア

今大会ここまで、他国選手相手に負けなしの中国勢。ダブルス決勝では、伊藤がシングルス3回戦で敗れた孫穎莎(写真)のペアと対戦する 【写真:田村翔/アフロスポーツ】

 決勝進出を決めた早田/伊藤組が決勝で対峙(たいじ)するのは中国の孫穎莎/王曼イク組。こちらも準決勝で陳夢/朱雨玲組との同国対決を最終ゲームまでもつれた末に制して決勝へと進んできた。18歳の孫穎莎、20歳の王曼イクともに力強いドライブが武器で、安定感も高い。次代の中国エース候補の2人にとっては初の個人戦の世界タイトル獲得がかかる。女子シングルス3回戦で孫穎莎に敗れた伊藤にとってはリベンジマッチだ。

 今大会も中国女子は圧巻の強さを見せている。女子シングルスではベスト4を独占、唯一表彰台を逃した孫穎莎も、王曼イクとの同国対決で敗退と他国選手に敗れた試合はなかった。日本女子も石川佳純(全農)以外の4選手は中国選手に屈した。混合ダブルスでも許キン/劉詩ブン組が優勝、樊振東/丁寧組も同ペアに敗れての3位と、ここまで同国対決以外での敗戦はなく、女子ダブルス決勝を前に他国選手相手の敗戦ゼロでの3種目制覇に王手をかけている。

 とはいえ、コンビネーション次第では個人の実力では格上の相手にも、ジャイアントキリングを起こせるのがダブルス。チャンピオンに輝いた昨年のワールドツアー・グランドファイナルをはじめ、中国ペアから度々勝利を上げている早田/伊藤組にも十分チャンスはある。むしろ、コンビネーションやダブルスの経験で言えば、中国を上回っており、世界を取るだけのポテンシャルはある。

仕掛けの意識で先手を奪え!

積極的な攻めで中国ペアに余裕を与えなければ勝機が見えてくる 【写真:田村翔/アフロスポーツ】

 中国ペアに対し、勝機を見いだすポイントのひとつは「仕掛ける」ということだろう。男子の話になるが、今大会で優勝候補の一角・許キンを破る大金星を挙げたフランスのシモン・ゴーズィのプレーにも、ドライブ型でありながらカットをしたり、男子選手では珍しい「ヴィアグロ」と呼ばれる逆チキータを連発。ラリーでもさまざまな回転を入れて許キンのリズムを崩すなど、とにかく相手を揺さぶって勝利をもぎ取った。また、準々決勝で梁靖崑(中国)をあと一歩まで追いつめた丹羽孝希(スヴェンソン)も相手の強打に対してカットブロックや捨て身とも取れるチキータなど、リスクを冒してでも仕掛けて相手に余裕を与えなかった。対応力のある中国ペアに対しては、単調で堅実なプレーだけでは勝てない。早田、伊藤ともにテクニックは独創的かつ多彩、大舞台も楽しめるだけの勝負度胸も持ち合わせている。体も頭もフル回転させて、仕掛けの意識を持ったプレーで、メンタル面でも中国ペアから先手を奪っていきたい。

 18歳の早田と伊藤にとって、孫穎莎、王曼イクは今後長く対戦していく同世代のライバル。世界選手権決勝の舞台での勝利となれば、中国ペアにとって大きなインパクトを残すはず。あうんの呼吸で、日本にとって52年ぶりとなるダブルス世界女王の座をつかみとれるか。

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