早田/伊藤組、ダブルス女王へ勝機あるか 他国相手に無敗の中国攻略は「仕掛け」

月刊『卓球王国』

逆転勝利で初の決勝進出

日本ペア同士の女子ダブルス準決勝に勝利した早田(写真左)と伊藤 【写真:田村翔/アフロスポーツ】

 大会も大詰めとなった2019年世界選手権個人戦。日本ペア同士の対戦となった女子ダブルス準決勝は早田ひな(日本生命)/伊藤美誠(スターツ)組がカットペアの橋本帆乃香/佐藤瞳(ともにミキハウス)組を4−2で下し、初の決勝進出を決めた。

 これまで橋本/佐藤組には一度も負けたことがないという早田/伊藤組。今年1月の全日本選手権準決勝でも対戦し、早田/伊藤組がストレートで勝利を収めている。カット攻略には定評がある早田/伊藤組に対し、この日は橋本/佐藤組が攻撃でスタートダッシュをかけた。

 1ゲーム目から橋本/佐藤組は積極的に攻撃を仕掛け、いきなり5−0とリード。しかし、早田/伊藤組が動じずに逆転でこのゲームを奪う。早田/伊藤組が一気に押し切るかと思われたが、橋本/佐藤組は2ゲーム目、3ゲーム目とゲームポイントを先に握る展開で取り返す。橋本、佐藤の2人ともカットのミスが非常に少なく、橋本の下がった位置から前に飛び込んでのバックスマッシュ、佐藤のフォアドライブでの逆襲と、ダイナミックな攻守の切り替えで会場を沸かせる。ゲームカウントを2−1とし、早田/伊藤組からリードを奪う。

 それでも、早田/伊藤組は動じない。早田のドライブと伊藤のバック面に貼った表ソフトからの変化で、球質に差をつけながら中盤で一気に突き放す展開で4、5ゲーム目を連取し、逆転。勝利に王手をかけた6ゲーム目も5−5から5本連取を見せて日本勢対決に決着。早田/伊藤が大会第1シードとして堂々の逆転勝利で初の決勝進出を決めた。

実力示したカットペア「橋本/佐藤組」

序盤はリードし、会場を沸かせた橋本(写真左)と佐藤 【写真:田村翔/アフロスポーツ】

 敗れた橋本/佐藤組だが、ペアでは初の出場となった世界選手権で3位と健闘。同じ所属チームで密にコンビネーションを高め、ワールドツアーを転戦し、数々の大会で結果を残してきた世界最強カットペアの実力を示した。

 カットマンだが、現代卓球では粘って相手のミスを待つだけでなく、攻撃も交えていかないと勝てない。しかし、相手に対策を講じられやすいのもカットマンの宿命で、今大会の準決勝のように同国対決となればなおさら。攻撃型に比べると試合で使用する技術の数が少なく、だからこそさまざまな回転のカットに攻撃を入れ、リズムや球質に変化をつけて相手のプレーを崩していく必要がある。橋本も「カットマンはやることが限られているので、どうやって試合を進めるかが重要。今は練習でも試合でも、しっかり自分で相手のことを見極めて、細かく戦術を切り替えながらプレーするように意識している」と語る。

 橋本、佐藤ともに年々カット、攻撃ともに精度を増し、一歩一歩成長している。カット+攻撃のオールラウンドなプレーに加え、相手にとって脅威となる尖った武器を身につけ、さらなる高みを目指してほしい。

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