香港の難敵に挑む日本馬3本の矢 リス、ディア、ウインともに逆転の目あり

JRA-VAN

今年のQE2C、中心を担う地元の雄エグザルタント

地元香港の雄エグザルタントが今年のクイーンエリザベス2世Cの中心的存在だ 【Photo by Getty Images】

 最近2年はレース史上最少の8頭立てで争われたクイーンエリザベス2世C(QE2C)だが、今年は久々に13頭とフルゲートに近い頭数がそろう形になった。ゲートから第1コーナーまでが短く、トリッキーなことで知られるシャティンの2000mに多頭数が集えば、展開に紛れが生じる可能性を捨てきれないものの、ひとまず中心を担うのは好枠6番を引いた地元の雄エグザルタントになりそうだ。

 エグザルタントは昨年暮れの香港ヴァーズでリスグラシューを押さえたアドバンテージがあるだけでなく、前走の香港ゴールドCでは今回と同舞台の2000mでロングスパートを仕掛けて抜け出し圧勝。3着のディノーゾ以下、香港Cの覇者グロリアスフォーエバー(5着)、イーグルウェイ(6着)、パキスタンスター(10着)、タイムワープ(11着)に4馬身半余りの差をつけ、今回も戦う相手たちを寄せつけなかった。

 先行から中団までポジショニングできる自在性があるうえ、息の長い末脚を繰り出せる心肺機能も備えている。その隙のないレースぶりは近走の成績に表れている通りで、アクシデントさえなければ上位争いは確実だろう。

日本勢3頭はどう挑む?

日本から参戦するリスグラシュー、得意の2000メートルで勝利を決めたい 【Photo by Kazuhiro Kuramoto】

 この難敵に立ち向かう日本勢だが、香港ヴァーズのリスグラシューは展開のアヤもあっての惜敗。当時は実績のない2400mだったが、陣営も認める通りベストの2000mになる今回は逆転の目も十二分にある。一方、リスグラシューとライバル関係にもあるディアドラは、香港Cでグロリアスフォーエバーに末脚を封じられたが、2番手追走のタイムワープも3着に残る先行有利の展開。今回は香港C以上の相手関係になるが、その分だけ流れも厳しくなりそうで、末脚が生きる可能性は高い。

 ウインブライトにも優勝争いに加わる力量はあるが、やはり得意の中山競馬場からの舞台変わりが鍵。中山巧者は過去にもQE2Cに参戦しており、2008年のマツリダゴッホが6着、2010年のネヴァブションは4着に敗れている。前者は有馬記念勝ち後に、遠征を挟んでオールカマー3連覇、後者は日経賞勝ちやアメリカジョッキークラブC連覇後の遠征と実績も十分だった。そうした実力馬との比較も含みつつ壁を破れるか。枠順は絶好の最内1番に恵まれただけに、上手く溜めを利かせることができれば面白い。

展開の鍵を握る豪州のエミネント

逃げを打てるスピードがある豪州のエミネント、この馬の出方次第で展開が大きく変わりそうだ 【Photo by Press Association】

 香港勢ではエグザルタントと初対戦を迎える4歳馬たちに未知の魅力がある。筆頭とするならやはり香港ダービー馬のフローレで、QE2C がG1昇格後の18回では4頭の香港ダービー馬が同一年制覇を果たしている。香港クラシックマイルと併せて二冠を達成しているように、同世代の中で実力上位なのは間違いない。また、前年の覇者パキスタンスターは気まぐれな性格に加えて香港ゴールドC後には電撃転厩と、すっかりお騒がせが板についてしまった。しかし、転厩初戦の前走ではマイル王ビューティージェネレーションを追い掛け、ゴール前で2番手に上がった末の3着。王者から2馬身圏内と大きく負けておらず、実績のある舞台なら変わり身の余地も残されているだろう。

 展開の鍵を握る存在として注目したいのが豪州から参戦するエミネント。香港Cも香港ゴールドCも前半は超がつくほどのスローペースだったが、エミネントは逃げも打てる先行タイプでスピードを持ち味としている。外目の12番枠からになってしまったが、愛チャンピオンSや豪ランヴェットSと2000mのG1レースで入着歴があり、上手く先手を取れば怖い存在となる。
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