携帯、駆け足禁止…見つかったら退場!? 現地でしか分からないマスターズの舞台裏

北村収

席取りOK ただし、コース内を走るのはNG

昨年のマスターズ最終日の様子。観戦に人気の場所は緑の椅子で埋め尽くされる 【写真:ロイター/アフロ】

 マスターズでは売店で緑の椅子を買って、シッティングエリアと書かれたスペースに置いて席取りができる。例えば最終18番ホールのグリーン周りや毎年さまざまなドラマが生まれる16番のショートホールなどに早朝から椅子を置いて、午前中はコース内をくまなく観戦した上で、午後からは一カ所でじっくりトッププロの技を見るというような楽しみ方も可能だ。

 この影響で入場ゲートが開く前から並んで早朝より席取り競争が繰り広げられるが、コース内を走ることはNG。実は筆者も初めてのマスターズで会場内を走ってしまい注意されたことがある。なお、筆者は処罰は受けなかったが、走ったパトロンはチケットにパンチ(穴)が開けられてしまうそうで、1つ目が警告、2つ目が退場になると言われている。

クラブハウスの前で記念撮影サービスも

マスターズの名所の一つ「マグノリア・レーン」。選手と関係者のみ通行が許されている 【Getty Images】

 携帯を持ち込むことができず木曜日からの本戦ではカメラの持込みさえ禁止になるマスターズ。一方でせっかくの観戦を写真に残したいという方も多いはず。そんなニーズに応えてくれるサービスがある。

 クラブハウスをバックにカメラマンが記念撮影を行っているのだ。一人でも数人のグループでもOK。撮影が終わるとマスターズのカードを渡され、そのID番号を指定されたウェブページで打ち込むと、撮影された写真が見れ、ダウンロードもできる。ちなみに、クラブハウスと反対側がマスターズファンなら誰もが憧れるマグノリア・レーン。オーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブの正門からクラブハウスをつなぐ並木道で、選手と関係者しか通れない道だ。この光景を目にしながら記念撮影ができる。

世界最高峰のパトロンたち

優勝を決め、パトロンと喜ぶタイガー・ウッズ。パトロンの存在もマスターズを彩る一部であると言えよう 【Getty Images】

 マスターズに観戦に来ると感じるのが、パトロンが優しいこと。筆者は167センチと小さいのでどうしても見えずらいことが多いのだが、スペースがあると「こっちで見ろ」と案内をしてくれるような経験を何度もしている。

 海外に行くと、日本ではあまり経験しない横柄な態度をとられ閉口することが少なくないが、オーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブの会場には世界各国から、さまざまな人種が集まっているのにもかかかわらず、譲り合い・助け合いの精神が徹底されている。

 こういったパトロンの雰囲気も、世界最高峰と言われる舞台を作り上げていると言えよう。チケットが入手困難かつ高額であるため、なかなか観戦のハードルは高いが、ここに行かないと感じることができない至福の時間が存在する。来年のマスターズを見る際は、そういった舞台裏に思いをはせてみてはいかがだろうか。

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著者プロフィール

1968年東京都生まれ。法律関係の出版社を経て、1996年にゴルフ雑誌アルバ(ALBA)編集部に配属。2000年アルバ編集チーフに就任。2003年ゴルフダイジェスト・オンラインに入社し、同年メディア部門のゼネラルマネージャーに。在職中に日本ゴルフトーナメント振興協会のメディア委員を務める。2011年4月に独立し、同年6月に(株)ナインバリューズを起業。紙、Web、ソーシャルメディアなどのさまざまな媒体で、ゴルフ編集者兼ゴルフwebディレクターとしての仕事に従事している。

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