携帯、駆け足禁止…見つかったら退場!? 現地でしか分からないマスターズの舞台裏

北村収

マスターズ開催時には美しいアザレアが咲き誇り、文字通り大会に花を添える 【Getty Images】

 タイガー・ウッズ(米国)の11年ぶりメジャー制覇となる復活優勝で幕を閉じた2019年マスターズ。世界的な通信社のブルームバーグが「スポーツの歴史上、最も見事な復活劇のひとつ」と紹介するなど、ゴルフファン以外も含めて世界中に祝福ムードが広がった。

 この記念碑的な勝利の舞台となったマスターズは、1934年から今日に至るまで、米国ジョージア州のオーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブで行われている伝統ある大会だ。米国メジャー大会の中で唯一コースが変わらず、独特の観戦ルールが存在することでも知られる。そんな格式高いマスターズの舞台裏について、写真を添えて紹介する。

入場ゲートの華麗さと厳しさは世界一

身動きを取るのも一苦労するほどの大勢のパトロンがオーガスタに押し寄せる 【Getty Images】

 まずは入場ゲート。正式な入場者数は発表されていないが、一説によると日によっては5万人以上とも言われるパトロン(マスターズでは「ギャラリー」のことを「パトロン」と言う)が訪れるとされる。そのため、入場ゲートは横長の広大なスペースに設けられている。ディズニーランドの入場ゲートのような華麗さがあり、会場入りする前からワクワクさせてくれる。

ずらりと並ぶ入場ゲート。飛行機の搭乗検査並みの厳しいチェックが行われる(写真は2005年のもの) 【Getty Images】

 ただ、荷物チェックは超厳重。カバンの中身のチェックはもちろん、飛行機の搭乗時のように金属探知のゲートをくぐり、時にはボディーチェックも行われる。厳しいチェックをクリアして無事に入場すると「ウェルカムオーガスタ」「エンジョイマスターズ」などと、スタッフが笑顔で声をかけてくるのもマスターズならではのホスピタリティー。観戦ガイドを受け取り夢の一日がスタートする。

携帯は持ち込みすら禁止!

写真は1987年のものだが、公衆電話に人が殺到する光景は今も変わらず見られる 【Getty Images】

 米国のゴルフトーナメントでは、いまやギャラリーがスマホで選手を撮影している光景が当たり前になっているが、マスターズでは携帯電話が禁止されている。使用が禁止なだけでなく持ち込みも許可されておらず、見つかると入場バッジを取り上げられ即退場となる。

子どもたちにサインをするダスティン・ジョンソン。携帯の持ち込み禁止は選手とパトロンとの距離を近くしている 【Getty Images】

 賛否両論がありそうなこのルールも、現地で体験するとゴルフトーナメントを魅力的にする要素の一つになっていると感じられる。というのも、携帯の操作に気を取られないため、選手とパトロンの濃密な時間を生み出しているのだ。余談だが、携帯の持ち込み禁止の影響でコース内に設置されている公衆電話が大人気。数十年前のような光景が広がっている。

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著者プロフィール

1968年東京都生まれ。法律関係の出版社を経て、1996年にゴルフ雑誌アルバ(ALBA)編集部に配属。2000年アルバ編集チーフに就任。2003年ゴルフダイジェスト・オンラインに入社し、同年メディア部門のゼネラルマネージャーに。在職中に日本ゴルフトーナメント振興協会のメディア委員を務める。2011年4月に独立し、同年6月に(株)ナインバリューズを起業。紙、Web、ソーシャルメディアなどのさまざまな媒体で、ゴルフ編集者兼ゴルフwebディレクターとしての仕事に従事している。

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