対談連載:トップランナーであり続けるために

諦めないことも才能、憧れを心の支えに 窪木一茂(自転車)×渡辺航(漫画家)

長谷川亮
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提供:明治

カラダづくりのために摂るもの、やめたもの

世界で戦えるカラダづくりのために、窪木選手は日ごろからたんぱく質を意識したバランスの良い食事にプロテインをしっかり摂るよう心がけているという 【写真:松尾/アフロスポーツ】

――おふたりのトレーニングやカラダづくりについて教えてください。

渡辺 窪木選手は体がスゴいですよね。さっき後ろ姿を見させてもらったら、肩と、腰周りからお尻や太ももの裏側の筋肉が、レーサーパンツじゃないのにすごく盛り上がりが見えて、ちょっと感動しています(笑)。

窪木 普段は着やせするんですけど、レーサーパンツを履くと(筋肉が)浮き出てくるというか。今日は履いていないですけど自転車の話になったので、筋肉が自転車に乗っている時の反応をしているのかもしれません(笑)。

渡辺 今はサッカーや他のスポーツはやるんですか?

窪木 今はやっていなくて、自転車に使えそうな他の運動、ピラティスやヨガ、水泳をやったりします。水泳は疲れた時、体を緩めたいなという時にやっています。最近はボクシングをやっていて、ミット打ちなどにもすごくよさを感じています。

渡辺 それは自転車のためにそういった選択肢があるということですか?

窪木 はい。本当に使える動作が多くていいなと思っています。ボクシングの肩甲骨と股関節の動きや連動性というのが、自転車の上で動いたりするのにすごく近かったりするんです。

――食事や栄養補給面ではどんなことに気をつけていますか?

窪木 僕は割と筋肉をつけようというタイプの選手なので、バランスの良い食事はもちろんですが、たんぱく質の1日の摂取量を体重1キロあたり2グラムを心がけ、さらにたんぱく質の吸収をアシストしてくれるビタミンB群をしっかり摂るようにしています。それから、2年間過ごしたイタリアから帰国して以来、一番心掛けているのはコーヒーや紅茶などカフェインが多いものは鉄分の吸収を阻害してしまうことがあるので、食後はとらない、または20分、時間をあけて摂るようにしています。それを継続した結果、今では自然と摂る必要がなくなり、あまりコーヒーを飲まない生活になりました。バランスを考えた食事に加えて、プロテインやアミノ酸などのサプリメントを活用し効率よくカラダをつくり上げるなど、栄養にはいろいろ気を遣っています。

渡辺 僕も夜寝られなくなってしまうので昼以降コーヒーは飲みません。睡眠時間が少ないと、次の日にアイデアを出したり作画をしたりできなくなってしまうので。

 それに僕の場合は、ご飯の時間など1日の流れを完全に決めています。週刊連載なので、曜日によって1日の流れは違います。火曜日は締め切りの日なので朝から結構追い込んで夕方に原稿を渡す。水・木・金曜日は基本的には作画の日なのですが、練習もだいたいこの水・木・金と日曜日にやって、元気な時は月曜日も練習する(笑)、そんな感じです。全て時間を決めていて、その日その時間が来たらそれをやる。

 長野県王滝村で行われるマウンテンバイクの100キロレースがあるんですけど、土曜日に片道300キロを車で走って一泊して、日曜の朝6時からレースが始まり、夕方に終わってその日のうちにまた車で300キロを走って帰ってきます(苦笑)。

窪木 次の日もやっぱり仕事なんですか?

渡辺 日曜の夜は打ち合わせが必ずあるので、帰りにパーキングに寄って、車のライトをつけて電話で打ち合わせをして、その日はだいたい深夜0時過ぎぐらいに家へ帰ってきます。もう体はボロボロなんですけど、翌朝はちゃんと起きて午前中の仕事をきちんとやります。月・火・水曜日ぐらいでだんだん体を治していく感じです。

 漫画家は時間割を全部自分で決められるので、最初は夜遅くまで起きたり徹夜したりしていたんですけど、すごく効率が悪いということをある日発見したんです。「ちゃんとしたリズミカルな生活が必要なんだ、その方が生産性が上がるんだ」ということに気がついて、今はもう完全に判を押したような生活をしています。

短い時間で効率よく 仕事中も競技を意識

窪木選手が明かすさまざまなエピソードに、渡辺先生からも質問が飛ぶ 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

――今回の対談にあたって、ファンの方から窪木選手への質問をいただきましたので、お聞きしたいと思います。1つ目は「社会人レーサーは自由に使える時間が少ないため、どうしても練習一辺倒になり、リカバリーがおろそかになりがちです。窪木選手は社会人時代どのような方法で体をケアしていましたか?」。

渡辺 これは聞きたい。

窪木 僕は椅子に座って仕事をすることが多かったので、着圧ソックスやタイツを着用したり、骨盤のゆがみを矯正するグッズを座席に敷いたり、立つ時に変な姿勢を取らないようにしたりして、負荷を掛けない座り方や立ち方を心掛けていました。階段を上る時も(筋肉の)使うところを意識して疲れをためないようにはしていましたね。あとは早朝や仕事が終わってから練習していたので、短い時間で効率よくやるように気をつけていました。練習へ行ってダラダラしなくなりましたね。みんなと行くとダラダラしちゃうから、パパっとやってパパっと帰ってくるようにしていました。

――2つ目の質問です。「最後の粘りを出す練習はどんなことをしていますか?」。

窪木 体を開放するような感じですかね。例えばクロールで50メートルをワーって泳いだら途中で全開ではいけなくなって、たれてくるんですけど、そこから「ぶっ倒れてもいい」「周りがどうにかしてくれるだろう」と、終わった後のことを気にしないで追い込むというか。全てを投げ出す、全身全霊で最後の力を振り絞るイメージです。もう10出し切ったけど、そこからもうひと踏ん張りしてあと1回、0.5をどこかから出すようなイメージを持ってやっています。

渡辺 それをちゃんと練習でやっているから、本番も出るという感じなんですよね?

窪木 だと思います。そういう練習が多くできた期間の後は、すごく強いパフォーマンスが発揮できている感覚になります。

――チームメイトの石橋学選手からも質問が来ています。「誰にも負けないスプリント力、独走力、登坂力、レース勘など何か1つだけ今すぐ手に入るとしたらどんな能力が欲しいですか?」。

窪木 難しいですけど……登坂力ですかね。ヨーロッパのレースでは、例えば180キロ走ってきて、ラスト5キロ、平均勾配10%くらいの坂をすごいスピードで登って勝つような選手がいるんです。そういう信じられないことって、どうやったらできるんだろうと思わされました。なので登坂力ですね。

――最後に、競技や漫画家を続ける上でのおふたりの信念を教えてください。

窪木 自転車に乗って風を感じて走ったり、ちょっとスピードを出して遠くまで行ったり、坂を上って景色を見たりして、多くの人に自転車の魅力を知ってもらいたいし、それを広めていきたいです。そのためのかけ橋になりたいし、自分の存在が、皆さまの何かのきっかけになれればと思っていつも自転車は続けています。

渡辺 僕も「窪木選手が言ったことと被ってるなぁ」と思いながら聞いていたんですけど、漫画はすごく心に刺さるものだから、僕の漫画を通していろいろな感情を感じとってほしいなと思います。ある編集さんに「1話分を描くのにこっちはまるまる1週間掛けて描いているけど、読み手の人って30秒とか1分で読んじゃうよね」という話をした時、「でも、心に一生残るんだよ」と言われて、「そうだ!」と思いました。僕も一生残るようなエピソードを描ければいいなと思って描いています。僕は感じたことや思ったことなど、自分の中のいろいろなものを使って漫画を描いているので、それが少しでも伝わって、頭の片隅に残ってくれたらすごくうれしいです。

対談の最後に渡辺先生から窪木一茂選手へ、イラスト色紙がプレゼントされた 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

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著者プロフィール

長谷川亮

1977年、東京都出身。「ゴング格闘技」編集部を経て2005年よりフリーのライターに。格闘技を中心に取材を行い、同年よりスポーツナビにも執筆を開始。そのほか映画関連やコラムの執筆、ドキュメンタリー映画『琉球シネマパラダイス』(2017)『沖縄工芸パラダイス』(2019)の監督も。

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