うどん県・香川で満腹になるマラソン大会! 「ウルトラうどんマラニック」で完食&完走

三河賢文

後半戦は満腹感との闘い

【写真提供:三河賢文】

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 半分の3軒を食べ終え、後半戦に突入。ここまで平坦な道がほとんどでしたが、アップダウンが出始めました。上り坂を走ると、お腹が重くなっている事実に直面します。いくら走っているとはいえ、立て続けに食べれば消化は間に合わないようです。
 4軒目「谷川製麺所」のしっぽくうどん。あまり聞き慣れない名前のメニューですが、讃岐で冬によく食べられる郷土料理のようです。特徴的なのがお肉。なんとこちら、イノシシのお肉が入っています。ただし汁と具材はセルフとなっており、量が限られているイノシシ肉を引き当てられるかは運次第。私は幸いにもゲットできましたが、「取れなかった……」と嘆く声も聞こえてきました。

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 この辺りに来ると、足の疲労感より先にお腹の満腹感が強くなり始めます。前半のような勢いで、ツルツルと勢いよく食べるというわけにはいかなくなってきました。「ウルトラうどんマラニック」は、まさにここからが本番といったところです。

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 驚いたのが、公渕森林公園で登場した白馬! スタッフの方が乗っていて、少しの間を並走してくれるビックリサービスを受けました。中には馬の背にまたがり、写真撮影したランナーもいたとのこと。馬によるコース誘導、私は初めての経験です。

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 公園内では、嬉しいことにスイーツの提供がありました。「食べ物はうどんだけ」と思っていたので、このサプライズには感動。お腹いっぱいなのに、甘いものは別腹……です。

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 コース全体を通じて感じたのが、「香川って水に富んだ場所なのだな」ということ。周囲をたくさんの山々に囲まれ、海や川、池など水場がたくさんあります。こうした自然環境との触れ合いも、本大会の魅力と言えるのではないでしょうか。

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 途中、柑橘類をふるまってくれる私設エイドが。なんとこちら、大会実行委員会のご実家なのだとか。この柑橘類がまさに絶品! 甘酸っぱくさわやかで、この酸っぱさが疲れた身体を癒してくれました。
 変わり種だったのが、「ふる里うどん」の鶏パセリレモン醤油うどん。ちょうどフルマラソンの距離を越えた頃に訪れるお店です。ガッツリした太い麺にレモン醤油と鶏ひき肉、そしてパセリが添えられています。

 さっぱりしていて食べやすい! うどんのイメージを覆す、食べたことのない美味しさです。しかし一方、すでに満腹度の高い状態では少々苦戦しました。ちなみに、こちらは大会だけの特別メニューのようです。

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 残るうどん店は1つのみ。飲食店やドラッグストアなど店舗が増え、高松市街へと戻ってきたことを感じます。お腹は重いですが、うどん店で休みながら走っているからか、思いのほか疲労は少ないようでした。

 そして……
 約50km地点、ついに訪れたのが最後のうどん店「うどん処しんせい」です。ここまで斬新なものから具沢山なものまで、色んなうどんを食べて走ってきました。が、最後はTHE・うどんとも言うべき、シンプルなぶっかけうどん。麺はコシがあって食べ応えあり、鰹節を一緒に食べると風味が広がります。

 6軒目(私の場合はイレギュラーで8軒目)なので、当然ながらお腹いっぱい。最初のような勢いでは食べられません。ゆっくり、噛みしめるように美味しいうどんを味わいます。最後のうどんということで、なんとなく感慨深いものも。これにて、まずは本大会“完食”です。ご馳走様でした。

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最後に待ち構える難関「屋島」は絶景スポットだった

【写真提供:三河賢文】

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 うどん店は終わり、これ以上にお腹が膨れることはありません。すでに大会の余韻に浸りたいような心情ですが、まだコースは約13km残っています。しかもここから、お腹ではなく脚を試される最難関が訪れます…それが、コース目の前に現れた屋島です。

 まるでエアーズロックのような台形の屋島には、山頂に3つの展望台があります。本大会では、なんとその中の1つ「獅子の霊巌」まで登らなくてはいけません。50km以上を走り、うどんを6杯食べたのに……。

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 目の前に来てみれば、いきなり待ち構えているのが急な坂道。頑張って走ってみましたが、程なくして歩きに切り替えました。途中で勾配21%の看板がありましたが、山の中はこれを上回っていたようです。恐らく走って登り切ったランナーは、ほとんどいなかったのではないでしょうか。

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 坂道は「アホか!」と笑ってしまうほど急ですが、自然あふれる登山道は気持ちいいの一言。ちゃんと舗装されているので、走り(歩き)にくさはありません。新鮮な空気を吸い、森の声に耳を傾けながら展望台を目指します。そして登り切れば、「来てよかった」と心から思わせてくれる絶景が待っていました。

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 展望台から見下ろした屋島、そして高松市街。スタート後すぐに経由した赤灯台も見えました。少しモヤがかっているものの、天気に恵まれて素晴らしい景色です。これは、運営者が展望台をコースに含めたことに納得。疲れなど吹き飛んでしまいます。

 ちなみに、展望台付近には食事処や土産物屋などもありました。登り切った頃には残り約7km。ゴール間近ということで、食事がてら一休みしたランナーもいたようです。

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 展望台で折り返し、登山道を下ってゴールへ。登山道は登りだけでなく、下りも急なので脚に大きなダメージが掛かりました。途中、登ってくる後続のランナーとすれ違い、「頑張りましょ〜!」「あと少しで頂上ですよ!」などと声を掛け合います。こうした交流もマラニックの楽しみです。

 最後はずっと真っすぐ、ひたすらに高松市街を目指します。ゴール目前で気持ちが昂るのか、ラストスパートとばかりにペースアップするランナーも。最後のうどん店からしばらく時間がたったので、なんとなく消化されて身体が軽くなった気がします。

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 そして、遂にゴール! なんと2番手だったようで人は少なかったものの、スタッフの方々が待っていてくれました。ゴールはスタート地点と同じ、瓦町駅2階にある「カワラデッキ」。これにて本大会、無事に完走&完食です。

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 完食者には“完食賞”として、うどん脳の手ぬぐいがもらえました。そして、完走者にはすぐに完走証が。この完走証も、よく見ると完食者のみに「完食証 あなたはうどん店6軒で完食しました!」と書かれているではありませんか。こうした細かな工夫が、また次回も参加したいという気持ちにさせてくれます。

 エイド毎にうどんを食べながら、約63.7kmという長距離を走った「ウルトラうどんマラニック」。これほど食べて走るのは初めての体験でしたが、とにかく楽しい思い出ばかりが残りました。ちなみに、これだけ走ったにもかかわらず……体重は1kg増加。恐るべき大会です。
 次回の開催については未定とのことですが、開催されるなら必ず参加したい。恐らく参加者の多くが、私と同じ気持ちでしょう。スタッフの気配りや運営も素晴らしく、初開催とは思えないクオリティでした。興味の湧いた方は、ぜひ情報をチェックしておいてください。

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著者プロフィール

中学生の頃から陸上競技を始め、大学では十種競技選手として活動。引退後、約7年のブランクを経て2011年6月よりランニングを開始。同年にハーフマラソン、フルマラソン、翌年には100kmのウルトラマラソンやトライアスロン(オリンピック・ディスタンス)も完走。沖縄本島1周マラソンなどを始め、今では“超長距離”レースにも数多く出場している。また“トウモロコシ”や“アザラシ帽子“をトレードマークに、仮装マラソンも楽しむ。ランニングブログも不定期更新中。趣味と過去の経験を活かし、現在は東京都葛飾区内にある中学校の陸上部にて、外部コーチとして指導も行っている

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