谷口彰悟×槙野智章 J開幕直前対談 アジアでの戦い、今季に懸ける思いを語る

宇都宮徹壱

川崎と浦和、今季に懸ける思いとは

ゼロックスでの対戦は川崎の勝利で終わったが、谷口は「浦和には勝てていない」と話す 【宇都宮徹壱】

──続いて、J1での両者の対戦についてお聞きしたいと思います。これまでの通算戦績は、川崎の10勝7分け11敗で、得点と失点が40。実はほぼイーブンなんですね。

槙野 そうなんだ! 川崎にはぜんぜん勝っているイメージがない(苦笑)。

谷口 でも去年に関しては、僕らは浦和に勝てていないです。僕らこそ、勝っているイメージはないですね。

槙野 ここ2年は勝っているけれど、それ以外は川崎にかなりやられている感じ(笑)。

──浦和といえば、ミシャ(ミハイロ・ペトロヴィッチ)監督がいた時にはサンフレッチェ広島との因縁の対決がありましたし、その前にはガンバ大阪との対戦で盛り上がっていました。一方の川崎は、FC東京との多摩川クラシコがあります。そろそろ川崎と浦和にも、そうしたライバル関係が生まれるのではないかと個人的には期待しているのですが。

槙野 そう思ってくれたらうれしいですね。僕の中では、たとえばガンバとの試合だと、選手もファン・サポーターもかなり熱くなる感じなんですよね。でも川崎の場合だと、耐える浦和と、そこをこじ開けようとする川崎という構図が定着しているイメージですね。

谷口 僕はそういうイメージはないですね。五分五分で戦っているという感じです。

槙野 さっき「アジアの戦いと国内の戦いは違う」と言いましたけれど、Jリーグの中での川崎との戦い方というのは、ウチの中では間違いなくありますね。ホームもアウェーも「対川崎」という戦い方はあります。うまい選手、ボールを持たれると怖い選手に対して、という意味ですね。

谷口 逆にウチが浦和とやるときは、ホームでもスタンドの一部が真っ赤になりますし、サポーターの声援でいうと浦和のほうが大きく感じることもあるくらい、圧迫感を感じることもあります。その意味で、嫌な相手であることは間違いないです。

──おふたりともDFということで、それぞれ相手の攻撃陣に対してどういうイメージを持っていますか?

谷口 僕らも「対浦和」ということで、相手の攻撃の特徴をだいぶつかんできていはいますし、浦和専用の守り方というのはあります。あんまり詳しくは言えないですが。

槙野 いいよ、言ってくれて(笑)。

谷口 いやいや(笑)。とにかく、それだけ特徴のある選手が前線にそろっているし、クロスの精度も高いし、真ん中で得点を取れる選手もいるし。そういう意味では、DFとして気の抜けない相手ですね。

槙野 僕にとっての川崎の攻撃陣は、やりがいのある相手ですよね。いつも以上に集中力を高めないといけないし、運動量も求められるし。だから難しいですよ、川崎の攻撃を止めるのは。自分のマークする選手だけを見ていればいい、という話ではないですから。

──川崎と浦和の対戦は、川崎ホームが6月1日、浦和ホームが11月23日(※)です。まだまだ先の話ですが、今から楽しみですね。最後に、今季のJ1でのタイトルについて、それぞれの思いを語っていただけますでしょうか? 
※ACL次第で11月5日に変更の可能性あり


槙野 今季のチームの目標は、リーグ優勝とACL優勝の2冠です。16年にルヴァンカップ、17年にACL、18年に天皇杯を獲得していますが、ここ数年で浦和はリーグだけが獲れていないんですよね。そのことについては、ファン・サポーターからの強い期待を感じていますし、チームとしても「今年こそはリーグを」という姿勢ですし、選手もそれを意識してキャンプをしてきました。ですので、そこに向けて頑張りたいと思います。

谷口 ウチとしては今季、3連覇というものは絶対に外せないですし、それだけの力を持っていると思います。なおかつ、まだウチはカップ戦のタイトルが獲れていません。一発勝負の強さも見せないと真の王者とは言えないですから、ACLもそうだし、天皇杯とルヴァンも優勝を目指さないといけない。「3連覇だけでなく4冠を狙おう」という話は、シーズン前から出ていました。

槙野 すげえな(笑)!

谷口 まあ、大きな目標ですけれど、そういったやりがいのある目標に向かっていきたいと思っています。

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著者プロフィール

1966年生まれ。東京出身。東京藝術大学大学院美術研究科修了後、TV制作会社勤務を経て、97年にベオグラードで「写真家宣言」。以後、国内外で「文化としてのフットボール」をカメラで切り取る活動を展開中。旅先でのフットボールと酒をこよなく愛する。著書に『ディナモ・フットボール』(みすず書房)、『股旅フットボール』(東邦出版)など。『フットボールの犬 欧羅巴1999−2009』(同)は第20回ミズノスポーツライター賞最優秀賞を受賞。近著に『蹴日本紀行 47都道府県フットボールのある風景』(エクスナレッジ)

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