ビジャ、山口蛍ら大型補強の神戸 今季注目すべき「3つのポイント」

高村美砂

大型補強を敢行したヴィッセル神戸の「タイトル」奪取のポイントとは?(写真は左からビジャ、三浦SD、リージョ監督) 【写真:西村尚己/アフロスポーツ】

 一昨年のルーカス・ポドルスキ(ドイツ)、昨年のアンドレス・イニエスタ(スペイン)に続き、今季はダビド・ビジャ(スペイン)が加入し、世界に名の知れたビッグネームの獲得でサッカー市場をにぎわせているヴィッセル神戸。そうした補強は外国籍選手にとどまらず、山口蛍や西大伍ら、チームスタイルに合った、即戦力となりうる日本人選手も獲得することで、改めてクラブが掲げる「アジアナンバーワンクラブ」への決意を明らかにした。

 そのクラブビジョンの実現に向けた足がかりとして今季の目標に定めているのが「AFCチャンピオンズリーグ(以下、ACL)」の出場権獲得だ。

 もっとも、1995年に始まったクラブの歴史において、過去一度も「タイトル」をつかんだことのない現状を考えれば決して容易な道ではない。昨季、ポドルスキ、イニエスタを擁しながらJ1リーグを10位で終えた事実からもそれは明らかだ。ただ、昨年、かつて神戸の選手としても活躍した三浦淳寛氏がスポーツダイレクター(SD)に就任して以降、以前とは違いクラブビジョン、チームスタイルに一切の揺らぎなく進んできている現状を思えば、その可能性は確実に膨らんでいると言っていい。

 あとは、昨年10月から指揮を執るファン・マヌエル・リージョ監督のもと、理想とするサッカースタイルを愚直に追い求めながら、いかに結果に近づけられるか。そのためにキーとなり得るポイントを三浦SD以下、監督、選手らの言葉をもとに考えてみた。

その1:「点取り屋」ビジャの存在

 今季の補強における目玉の一人として挙げられるのがFWのビジャだ。

 彼の補強に際し、三浦SDは「リーグでのACL出場圏内を目指すなら1シーズンで二桁得点を獲れるFWが必要だと思っていた。それもあり、動き出しのタイミングや質、技術はもちろん、実績も申し分のないビジャの獲得に動きました」と狙いを説明した。実際、過去のJ1リーグを振り返っても、上位を争うクラブには必ず年間二桁得点を数え、得点王争いにも顔を出すような点取り屋が存在。その事実からも、ビジャにかかる期待は大きく、本人も意欲をにじませる。

「自分が何点決めるかより、ヴィッセル神戸が目標を達成するために必要なゴールをできるだけたくさん決めたい」(ビジャ)

 加えて言うならば、年間を通した戦いはもちろん、90分という時間の中では常に優位性を持った戦いができるとは限らない中で、苦しい時こそ「彼にボールを預ければなんとかしてくれる」という、心理的なよりどころになる点取り屋の存在は、流れを変える切り札になる。その点においても、これまでのキャリアではほとんどのシーズンで“二桁”を実現してきた点取り屋に期待大だ。

その2:「見どころは、僕です!」新加入の西大伍

新加入の西(左)と山口。チームに変革をもたらすことはできるだろうか 【写真:西村尚己/アフロスポーツ】

 プレシーズンにおける準備を続ける最中、「今シーズンの見どころは、僕です!」と自信をのぞかせたのが、鹿島アントラーズから加入したDFの西だ。

 彼によればこうした言葉は「自らにプレッシャーをかけることで責任感を与えるため」でもあるようだが、的確な状況判断によって臨機応変にプレーを変更させることができる西の存在は、チームの機能性を高める上で、間違いなくキーになる。

 特にリージョ監督が求めるサッカースタイルは、規律でがんじがらめにするというより、あくまで選手たちの状況判断、プレーのイマジネーションが大いに反映されるだけになおさらだ。その点は西も自覚しており、機能性を高める役割を担うことで、自身の成長にもつなげる決意だ。

「もちろん選手によって特徴も、良さも違うので、リージョ監督が求めていることをできない、イコール悪い選手だとは思いません。でもそういう選手も含めてチームとして機能させていくために、クラブは僕を獲得してくれた……と僕自身は受け止めています。実際、加入してからもその使命を感じますし、そう思えることも今シーズンを戦っていく上での僕の楽しみの一つでもあります」

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著者プロフィール

関西一円の『サッカー』を応援しようとJリーグ発足にあわせて発刊された、関西サッカー応援誌『GAM』『KAPPOS』の発行・編集に携わった後、同雑誌の休刊に伴い、1998年からフリーライターに。現在はガンバ大阪、ヴィッセル神戸を中心に取材を展開。イヤーブックやマッチデーブログラムなどクラブのオフィシャル媒体を中心に執筆活動を行なう。選手やスタッフなど『人』にスポットをあてた記事がほとんど。『サッカーダイジェスト』での宇佐美貴史のコラム連載は10年に及び、150回を超えた。兵庫県西宮市生まれ、大阪育ち。現在は神戸在住。

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