森保監督「土台になる積み上げができた」 準優勝のアジア杯、カタール戦後の会見

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森保監督は試合後の会見で「胸を張ってUAEをあとにしてほしい」と、スタッフ・選手たちをねぎらった 【Getty Images】

 サッカー日本代表は1日(現地時間)、アジアカップの決勝でカタール代表と対戦し、1−3で敗れた。日本は前半12分、アルモエズ・アリのオーバーヘッドで先制を許すと、27分にも失点。後半24分に南野拓実のゴールで一時は1点差に詰め寄るも、後半38分にゴール前で相手と競り合った吉田麻也がハンドを犯してしまいPKを献上。これをきっちりとアクラム・アフィフに決められ万事休す。試合終盤に見せた猛攻も実らず、日本は準優勝で大会を終えた。

 試合後、森保一監督は開口一番で優勝を果たしたカタール代表へ賛辞を送りつつ、「優勝できなかったことを残念に思う」「申しわけなく思っています」と悔しさをにじませた。しかし、「選手もスタッフも日々最善の努力をしてくれた」「その積み上げは、間違いなくこれからのチームのベースになる」と話すと、「チームとして融合が図れた」「胸を張ってUAEをあとにしてほしい」とチームの成長に評価を示した。

 また、試合に関しては「ミスマッチが起こる序盤の時間帯で失点してしまって難しいゲームになった」と分析。「引かれた相手に対してこじ開ける連携、連動の精度を高めなければいけない」と今後の課題を挙げた。

序盤の失点で難しいゲームになった

 まずは優勝したカタール代表の選手、スタッフ、そしてカタール代表に関わるすべての方々に「優勝おめでとうございます」と申し上げたいです。

 選手・スタッフ、チーム、そしてわれわれ日本代表を応援してくださる皆さんが優勝を目標にし、優勝を期待してこの大会に臨みました。優勝を目標にしていたアジアカップなので、優勝できなかったことを残念に思います。それとともに、われわれを応援してくださって優勝を期待していた方々に、それをお届けできず申しわけなく思っています。

 しかしながら、選手もスタッフも「優勝しかない」という思いと、「優勝を期待されている」というプレッシャーの中、日々最善の努力をしてくれました。そして、チームがこの大会を通して7試合を戦うことができて成長できたことは、胸を張ってもらえればと思います。

 監督としては、選手、スタッフが最大限の努力をしてくれたことを結果に結びつけることができず、もっと力をつけなければいけないという思いです。今日の試合に関しては、勝ったチームが強いといつも思っていますので、カタール代表が強かったと思います。われわれが足りなかったものを今後の成長につなげられるように、しっかり分析したいと思います。

──前半は相手の5バックとのかみ合わせがうまくいかず、受けるような展開になったことが悔やまれる。前半がうまくいかなかった理由をどう考えるか? また、どう立て直そうとしたのか?

 おっしゃる通り、試合が始まってからミスマッチが起こる中、そこの噛み合わせがうまくいかない序盤の時間帯で失点してしまって難しいゲームになったと思っています。カタール戦に向けて、5バックというか3バックでやってくる相手であることを想定の中に入れながら準備をしてきました。しかし、選手が思い切ってプレーできる状態に準備できなかったのは自分の責任だと思っています。

 試合の途中から相手の形にもある程度合わせながら、われわれが攻撃の圧力をかけることはできていたと思いますが、2点先に失点してしまうと難しい展開になってしまう試合だったと思います。選手たちが1点取って1−2にしてくれたところは、そのあと同点にできるチャンスを作れたと思いますが、相手がなかなか強固な守備で難しい展開と結果になってしまったと思います。

積み上げはこれからのベースになった

──優勝はできなかったが、1カ月間チームとして過ごして収穫の多い大会だったと思う。監督としての一番の収穫は何か?(大住良之/フリーランス)

 優勝を目標にしてきた中で、選手が思うような結果に導けなかったことは非常に残念に思いますが、収穫もあった大会だったと思っています。それは日本代表チームとして、経験豊富な選手と経験の浅い選手の融合を掲げながらチームのレベルアップを図るという部分です。国内キャンプから活動することができて、チームとしてもアジアカップという厳しく難しいゲームを7試合できて、チームが1試合ごとにいろいろな戦い方をしながら、チームの力としてステップアップできてきたのかなと思っています。その積み上げは、間違いなくこれからのチームのベースになったと思っています。

 チームとして活動する中で、経験の浅い選手に対して経験豊富な選手たちが、本当に素晴らしい働きかけをしてくれて、若い選手たちがのびのびと思い切りプレーできる環境づくりをしてくれました。チームとして融合が図れました。特に、若手がレベルアップにつながる経験ができたことについては、ベテランの選手に感謝したいと思います。また、若い選手が貪欲に強くなりたい、うまくなりたいという向上心や野心を持っていたから(のレベルアップ)だと思います。選手たちには、この悔しさを糧に、さらに成長していってほしいと思います。

 私は結果を追っていかなければならないとともに、選手やスタッフが日々どういうプロセスを踏んでくれているのかということを見ていく立場でもあると思っています。選手やスタッフがこれまでやってきてくれた努力には胸を張って、UAEをあとにしてほしいと思います。

──カタールが次のワールドカップ(W杯)に向けてどんな戦いをすると思うか? そして今日の試合で驚いた部分はあったか?(外国人記者)

 カタールについては、非常に守備が堅いチームでありながら攻撃もできるチームと見ていたので、大きな驚きというのはありませんでした。今日の試合も、固い守備をしながら速攻でスピードのある攻撃、遅攻でボールを動かしながら攻撃できる、非常にいいチームだなと思いました。W杯に向けてのチーム作りを、うまく監督がやっている途中なのかなと思います。

──4回優勝している日本が、今日は期待されたパフォーマンスができなかったのはなぜか?(サウジアラビア人のジャーナリスト)

 試合序盤のミスマッチが起きる中で、うまく試合の流れをつかめなかったことが結果に響いたかなと思います。

速攻も遅攻も上げていかないといけない

──日本代表にとってひとつの大会で7試合目を戦うことは初めての経験となった。当然そこを考慮していたと思うが、どのあたりにチームのピークを設定していたのか?(宇都宮徹壱/フリーランス)

 7試合目の試合でしたが、どこにピークを持ってくるのかということは、特に考えていませんでした。初戦で、まずチームの状態をできるだけいいものにしていくということ。しかしながら、この大会に臨むにあたって、国内組はほとんどの選手が12月初旬からオフという状態で、欧州組がウインターブレーク(明け)で合流してくる。大会直前にイングランドから(吉田と武藤嘉紀)、残念ながらけがで離脱しましたけれどポルトガルから中島翔哉がUAEで合流しているという部分。

 初戦にできるだけいい状態、試合を戦いながら徐々にチームのコンディションを上げていく、チームの戦術的な理解度を高めていくということをやっていければというふうに思っていました。大会前にもお話しましたが、成長しながら結果を出すということろで、選手たちはチームのやるところをトライしてくれて、うまくいかないところもたくさんありましたが、そこをしっかり修正しながらチームの力として積み上げて、この7試合目に向かってこれたかなと思っています。

──この大会の優勝を目指していたが、次のW杯では日本はベスト8を目指している。世界の戦いを見据えた上で、今大会をどう考えるか?

 すべてを上げていかないといけないと思います。チームとしての連携、連動もそうですし、個の力もさらに上げていってもらわないといけないと思います。今日の戦いの中で、0−2になって特に(ディフェンスを)引かれた中で、相手がスペースを与えてくれない中で得点を奪うことが(本来なら)できたと思います。(攻撃の)形はもっと多くのものが作れたと思いますが、最後は相手(の守備)をこじ開けるには至らなかった。引かれた相手に対してこじ開ける連携、連動の精度を高めなければいけないと思います。

 今大会においては、イラン戦は2−0からカウンターで3−0にできましたが、リードした展開、あるいはリードしていなくても速攻で得点を決める、あるいはビッグチャンスとして得点機会を作るというところ。なかなか(それらが)できそうでできなかったところは、速攻も遅攻も上げていかないといけないと思っています。

 守備のところももちろん、今日の試合の中でミスマッチが起きたとしても、最後のところでどう止めるかという部分。特に2点目は相手の6番(アブデルアジズ・ハティム)が左足のミドルシュートを持っているというところは、韓国戦でスカウティングできていました。そこをうまく押し込まれていたとしても、守り切れるように、というところはチームとして細部の部分も詰めていければと思います。

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