京成杯は今年もクラシックに直結するか? 過去10年データから好走パターンを分析

JRA-VANデータラボ

芝2000mの1〜3着実績別成績

表5 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 表5は、芝2000mの好走実績についてのデータを調べたもの。当然ではあるのだが、京成杯と同じ芝2000mで1〜3着の実績を持つ馬のほうが高い好走率を記録している。むしろ、このデータで注目すべきは「1〜3着なし」のほうで、芝2000mの出走歴がありながら1〜3着に入れなかった19頭はすべて凡走に終わっているのだ。まだしも、芝2000mの出走歴自体がなかった馬のほうがチャンスを残し、1着3頭を含む8頭が好走している。そして、この8頭のうち6頭には芝1800mの1着歴があった。残る2頭は地方所属馬と中央転入初戦馬だったから、デビューから中央に所属する馬の場合、芝2000m1〜3着か芝1800m1着の実績は必須といえそうだ。

クラス別実績に関するデータ

表6 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 表6は「重賞1〜3着」「オープン特別1着」「500万下1着」の実績を持っていた馬の成績を比較したもの。ここで注目すべきは、オープン特別1着の実績は好走につながらず、500万下1着の実績を持つ馬のほうが明らかに優秀な成績を収めていることだ。なかでも、12月に行なわれる葉牡丹賞(中山)やエリカ賞(阪神)といった芝2000mの500万下特別で好走してきた馬には大いに注目したい。また、重賞1〜3着の実績を持つ馬も安定感があり、これは素直に評価してよさそうだ。

前走新馬・未勝利出走の1〜3着馬

表7 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 表7は、新馬戦・未勝利戦を勝ち上がったばかりで1〜3着に入った7頭を一覧にしたもの。この表から指摘したい事柄は3つあり、まず、前走は芝1800mか芝2000mのどちらかに限られること。次に、2着馬とタイム差なしで勝ち上がった馬はおらず、7頭中6頭は0秒2以上のタイム差をつけていたこと。そして最後に、7頭とも前走の上がり3ハロンタイムがメンバー中3位以内だったことだ。前走で新馬戦や未勝利戦に出走していた馬については、このあたりをチェックしておきたい。

結論

 以上で分析したデータに沿って、今年の京成杯に登録がある13頭から有力と思われる馬を探してみたい。

 好走率の高いキャリア3、4戦に該当するのは3頭。そのうち1頭が、注目の500万下特別戦である葉牡丹賞を2歳レコードで制したシークレットランだ。

 カテドラルは2走前に野路菊Sを勝利。ただし、主な実績がオープン特別1着のみで、これは表6の項で見た通り、それほど強調できるパターンではない。もう1頭のキャリア3戦馬であるカイザースクルーンも重賞1〜3着や500万下1着の実績がない。この2頭は芝1800mや2000mでの1着があり、最低限の距離実績はクリアしているが、2、3着候補の一角といったところか。

 重賞1〜3着の実績を持つのは、札幌2歳Sで2着に入った地方所属のナイママのみ。前走の東京スポーツ杯2歳Sで13着の大敗を喫した点は気になるが、走破圏内には入っているだろう。

 また、葉牡丹賞2着のランフォザローゼスも、直線ですこし窮屈になる場面もありながら従来の2歳レコードを上回るタイムで走破しており、こちらも侮れない存在だ。

 前走で新馬・未勝利を勝ち上がったばかりの馬では、母に桜花賞馬マルセリーナを持つラストドラフトが血統面からも注目されそう。ただし、その新馬戦で2着馬にタイム差なしだったのは不満。むしろデータ的には、2着に0秒6差かつ上がり1位だったヒンドゥタイムズ、同じく0秒2差で上がり1位のリーガルメインというハービンジャー産駒の2頭のほうに食指が動くところである。

文:出川塁(でがわ るい)
1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。

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