連覇狙う西武は楽天をライバル視!? パ各球団の識者が語る2019年予想
オリックス:若手が引っ張るチームへ“新生”
オリックスは代替わりの様相。山本、吉田正、山岡(写真左から)ら若い選手がチームを引っ張っていく 【写真は共同】
■ライバル:全球団
今年のオリックスは“新生”という言葉を使うのがふさわしい。
投手ではエース金子千尋(弌大/北海道日本ハム)、昨年の開幕投手・西勇輝(阪神)が、野手では精神的な支柱だった中島宏之(巨人)がチームを去り、小谷野栄一はユニフォームを脱いだ。シーズン中にはかつての正捕手、伊藤光(横浜DeNA)も放出している。そして福良淳一監督の辞任によって西村徳文新監督が就任し、新たなチームが誕生した。
投手陣は今年24歳になる山岡泰輔がエースに、野手では昨年から4番を任されている吉田正尚と選手会長となった若月健矢が中心となり、若い選手たちがチームを引っ張っていく。目立った補強もしなかったことで、西村体制1年目は全球団がライバルだ。
優勝を狙うには山岡とともに、もう一枚エースがほしいところ。その最有力候補が“神童”山本由伸だ。「ピッチャーとして世界の頂点に立ちたい」という野望を抱く由伸は昨年、セットアッパーとして32ホールドを挙げる大活躍。だが、「オリックスのエースとして、東京五輪に出場したい」と先発転向を熱望する。
志が高い山岡と由伸がダブルエースとして始動したとき、チームは必ずや優勝が見えてくるはず。今年はその布石になるシーズンを期待したい。(文:どら増田)
ロッテ:“藤原平安時代”を待つ我慢の年?
3球団競合の末、藤原をドラフト1位で獲得したロッテ。平沢、安田とともに新時代を築く 【写真は共同】
■ライバル:西武
期待はするけど、チームは急に強くはならない。それはファンもわかっていること。シーズンをできるだけ長く楽しみたい一心で「3位」に推してはみたが、そこに希望やロマンが見出せるなら、来季の順位は度外視でいい。
個人的には、圧倒的なポテンシャルを秘める平沢大河、安田尚憲、藤原恭大(大阪桐蔭高)の成長を、かつての某食品メーカーのCMよろしく「わんぱくでもいい。たくましく育ってほしい」ぐらいの大らかな気持ちで見守りつつ、そんな彼らが築く“藤原平安時代”の到来を待つ「我慢の1年」と位置づけたい。
昨季ギリギリ5位の立場で優勝チームを「ライバル」と呼ぶのは気が引けるが、マリーンズと言えばやはり、どんなに弱くてもライオンズにだけはなぜか強い“KYさ”こそが代名詞。ずっと“得意”(※)だった相手に、ここ2年はダブルスコアで負け越し中という現状からしても、対埼玉西武戦が「ライバルシリーズ」と呼ぶにふさわしい対決になるか否かが、上位浮上の試金石になるはずだ(※09年以降の10年間でロッテが西武に負け越したのは、直近2年を除くと13年の一度だけ)。
たとえ補強が万全でなくとも、たとえ新設される「ホームランラグーン」がチーム防御率を爆上げしようと、来季はとにかく「忍」の一文字。そこを乗り越えれば、日本中が五輪に熱狂しているであろう2020年の夏あたりには「そう言えば、今年のロッテ強いよね」みたいな会話ができる日も来ると信じている。(文:鈴木長月)
楽天:昨季は最下位も、ストーブリーグで光明
浅村は前年優勝の西武から最下位の楽天にFA移籍。リーグの勢力図を大きく変えるかもしれない 【写真は共同】
■ライバル:ソフトバンク
昨季の東北楽天は58勝82敗3分けの借金24で、3シーズンぶりの最下位に沈んだ。それでもストーブリーグはFAで獲得した前西武・浅村栄斗を筆頭に、希望があふれるものだった。奮闘した投手陣と新戦力が加わった打線がかみ合えば、今季のリーグ優勝は夢物語ではない。
浅村が攻守でリードし、野手陣を奮起させるかが鍵となる。リーグ屈指のグラブさばきに加え、複数ポジションをこなせるため、内野陣の屋台骨を担うだろう。攻撃面は語るまでもなく、昨季は175安打(リーグ2位)、32本塁打(同3位)、127打点(同1位)で、OPS.910(同5位)と大爆発。負傷者続出で不振に終わった打線のカンフル剤となる。
投手陣は最優秀防御率の岸孝之、入団以来6年連続2ケタ勝利で5年連続最多奪三振の則本昂大は健在。新たに加わった最速158キロ右腕のアラン・ブセニッツ(ツインズ)のリリーフも期待できる。松井裕樹が復調さえすれば、来季は6年ぶりのV奪還だ。
ライバルは2年連続日本一の福岡ソフトバンク。ストーブリーグこそ浅村争奪戦を制したが、昨季は9勝16敗と大きく負け越した。タイトル奪還のために避けては通れない相手だ。(文:某スポーツ紙記者)