帝京長岡の快進撃を支える3つの取り組み 高校サッカーの枠にとらわれず、8強進出
3回戦の先発11名中、6名が中高一貫組
6年ぶりの選手権ベスト8入りを決めた新潟県代表の帝京長岡 【写真は共同】
快進撃は深い理由がある。チームの主軸はMF谷内田哲平、FW晴山岬の2年生コンビだが、共に長岡ジュニアユースFCの出身。長岡JYFCは帝京長岡と同じグラウンドを使う関係の強いクラブで、3回戦の先発11名中6名が中高一貫組だ。
最近は高校のサッカー部も中高一貫で強化を進めるチームが多い。ただ谷内田、晴山は幼稚園児時代からのチームメート。「3才、4才からずっと長岡JYFC」(谷内田)というから同じ一貫指導でも13年、14年のスパンだ。
幼児にセレクション、スカウトがあるはずもなく、谷内田は「送り迎えがある」という素朴な理由で、長岡JYFC入りを決めた。才能を集めたのでなく「育てた」ところにそのすごみはある。
彼らは小学生時代から全国区だった。2014年1月に開催された第24回全日本フットサル大会で3位に入ったのが新潟県代表のヴェールメリオ。これは長岡トレセンの選抜チームで谷内田や晴山、矢尾板岳斗ら長岡JYFC勢が主力だった。谷内田は津久井匠海(現横浜F・マリノスユース)、生井澤呼範(現鹿島アントラーズユース)らとともに、大会ベスト5に選ばれている。
フットサルとサッカーの「二刀流」で技を磨く
「大会史上最長PK戦」では、のべ19本に達したシュート全てが枠内だった 【写真は共同】
両チームの連係からは、過去にも小塚和季(大分トリニータ)のような人材が輩出されている。ただ現高2世代はそんな歴史の中でも特別。11人制も15年5月のJFAプレミアカップ2015で全国3位に輝いている。街クラブでありながら、Jの育成組織と互角以上に戦ってきた。
フットサルはコート、ゴールが小さく、サッカーに比べてより緻密なプレーを要求される。晴山は11人制に生きているエッセンスをこう説明する。
「フットサルはゴールが小さい分、逆を突かなければ絶対入らない。キーパーの目とか重心を見て、どちらに打てば反応しづらいかを考えて、強いシュートを打っています。あとフットサルはトーキックでシュートを打つことがある。トーキックはあまり浮かないですし、スピードも出て、キーパーが取りづらい」
晴山に限らず、帝京長岡の選手が「低く強くふかさずシュートを蹴れる」のは、フットサルで得たスキルかもしれない。2回戦のPK戦では、のべ19本に達したシュート全てが枠内だった。