中山金杯は実績馬と将来出世馬が交差!? 新年最初の重賞レース傾向をデータで分析
過去10年の中山金杯好走馬
表1 【画像提供:JRA-VANデータラボ】
好走馬のべ30頭はすべて牡馬(うち1頭はセン馬)で、牝馬の好走はない。ただ、牝馬は出走そのものが少ない。年齢の傾向は4歳馬から7歳馬までの馬が好走している。なお、8歳以上の成績は【0.0.0.29】でかなり苦しい。
斤量(ハンデ)面を調べると、58キロの馬が1着1回(2009年アドマイヤフジ)、2着が1回(2015年ロゴタイプ)。最も重い斤量で好走したのはこの2頭だ。一番軽い斤量は54キロで、2018年3着のストレンジクォークら3頭が好走している。
中山金杯の斤量別成績(過去10年)
表2 【画像提供:JRA-VANデータラボ】
中山金杯好走馬の前走成績など(過去10年)
表3 【画像提供:JRA-VANデータラボ】
昨年1着のセダブリランテスは斤量55キロ。重いハンデではなかったが、前走はG2のアルゼンチン共和国杯で3着に好走していた。ハンデとは関係なく、過去に芝1600m以上のG2以上(2歳・3歳限定戦を除く)で3着以内に入った実績があるとかなり心強い。2歳・3歳限定戦でもG1であれば、その好走実績は評価してもいい。
無論、実績上位馬ばかりが走るレースではない。この中山金杯での好走を経て、その後G2以上でも好走するパターンの方がむしろ多くなっている。例えば、昨年中山金杯2着のウインブライトは次走中山記念で1着となった。2015年は1着馬ラブリーデイが、その年に京都記念や宝塚記念、そして天皇賞(秋)も制するに至った。2013年3着のジャスタウェイもその年の天皇賞(秋)を優勝。翌年にはドバイデューティーフリー(現・ドバイターフ)や安田記念を制した。その他にも、後に中山記念や札幌記念などで好走する馬が多いことがわかる。
今回の中山金杯より前か後かの違いはあるものの、「芝1600m以上のG2以上(2歳・3歳限定戦を除く)で好走」というのがキーワードになる。すでにこうした実績を持つ馬に加えて、将来的にG2レベルでも勝ち負けができる実力馬でないと、ここでは通用しにくいと言えるだろう。とはいえ、未来の成績を予測することは、そう簡単ではない。前走1着など、目に見えて勢いがあって、底を見せていない馬だけが将来有望というわけではない。前述のラブリーデイやジャスタウェイにしても、中山金杯が終わった時点でG1級と評価できた人はどれぐらいいただろうか。当時そのような評判は聞かなかった気がする。元々高い素質はあったのだろうが、その後の成長力が想像以上だったと筆者は受け止めている。
その他の好走馬を考えると、G2以上のレースにあまり縁がない馬は苦しいものの、軽視もできない。前走ディセンバーSやチャレンジCなど、比較的近い時期に行われたOP特別やG3で善戦していた馬が好走している。前年秋のG1戦線で強い相手と走っていた馬の好走は、逆に少ない印象だ。G1からG3になり、相手が軽くなったと考えて安易に飛びつくのは危険と言えるだろう。
文:小田原智大(おだわら ともひろ)
1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。
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