データで占う年内最後のGIホープフルS 「第2のレイデオロ」は現れるか

JRA-VANデータラボ

翌年の牡馬クラシック戦線に向けて

 中央競馬における今年最後の開催は12月28日(金)。中山競馬場のメインレースにホープフルSが組まれている。2歳馬による芝中距離戦で、中山芝2000mを舞台に行われる。2014年より重賞(G2)となり、昨年からG1に昇格。翌年の牡馬クラシック戦線を占う一戦として注目度が増している。今回は同レースを、過去のデータから分析していくことにする。データの集計・分析はJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。

2014年以降のホープフルS好走馬(1)

表1 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 表1は重賞になった2014年以降のホープフルS好走馬(1)。3着以内に入った馬の人気や騎手、所属厩舎、馬主を記した。まだ4年分のデータだが、ある程度の傾向は見えてきている。勝ち馬はすべて3番人気以内。近2年はタイムフライヤー、レイデオロと1番人気が勝利している。比較的上位人気は強く、二けた人気馬の好走はまだない。8番人気馬が3頭好走しており、伏兵馬ならばこのあたりの人気に注意といったところだ。

 なお、表1の該当馬12頭中、その後重賞を勝利した馬は4頭いる。ステイフーリッシュは京都新聞杯、レイデオロは日本ダービーや天皇賞(秋)、ロードクエストは京成杯オータムハンデやスワンS、シャイニングレイはCBC賞を勝った。将来、芝中距離で活躍する馬が出るのは自然だと思うが、短距離で実績を残す馬が出ている点は興味深い。このレースの時点では本当の距離適性を判断するのは難しい。素質だけで2000mの距離をこなしている場合もあるということだろう。

 騎手成績を見ると外国人ジョッキーの活躍が目立つ。15年はH・ボウマン、16年はC・ルメール、17年はC・デムーロと目下3連勝中。好走馬12頭中、ちょうど半分となる6頭の鞍上が外国人騎手だ。今年秋のG1戦線では外国人騎手の勝利が続いており、ホープフルSでの連勝もまだ続く予感がする。

 所属は美浦の馬と栗東の馬がそれぞれ6頭。関東と関西の比較では全くの五分となっており、あまり気にする必要はなさそうだ。馬主はサンデーレーシングキャロットファームの馬がそれぞれ3頭。いずれかのクラブの馬が毎年馬券に絡んでいる。

2014年以降のホープフルS好走馬(2)

表2 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 続いて好走馬のキャリアや前走成績などを見ていく(表2参照)。最少のキャリアは1戦でステイフーリッシュら4頭が該当。最多キャリアはマイネルスフェーンの6戦だ。全体的にはキャリアが浅い馬の方が多い印象だ。キャリア1戦の馬が多いということは、前走新馬戦を勝ったばかりでも大丈夫ということになる。距離は芝1800mから2000mのレースであることが望ましい。未勝利戦や500万クラスのレースでも同様だ。前走マイル戦を使っていた馬も2頭(ジャンダルムとロードクエスト)いるが、ともに重賞を勝っていた。

2014年以降のホープフルS好走馬(3)

表3 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 続いて好走馬の血統を見ていく。芝中距離のレースらしくサンデーサイレンス系の独壇場。ハーツクライやステイゴールド、ディープインパクトの産駒が多数いる。母父としても同系統の馬が4頭いる。父と母父、どちらもサンデーサイレンス系に属さない馬はレイデオロ1頭しかいない。

 その他の系統ではミスタープロスペクター系に注目。基本的にはキングカメハメハが有力だが、Jade Robberyやアフリートといったダートで強いタイプの名前がある。マイネルスフェーンとコメートが母父に持っており、ともに8番人気で好走した。ダートで強いという意味ではロベルト系も面白い。タイムフライヤーの母父はブライアンズタイムで、レイデオロの母父はシンボリクリスエス。同系統の血を持つ馬がいた場合も要チェックだ。

結論

表4 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 それでは今年のホープフルSを占っていくことにする。出走予定馬は表4の通りだ。

 ジョッキーや人気など、本稿執筆時点では不透明な要素はあまり考えずに、馬主やキャリア、前走レースなどを記載した。今年は個人馬主の馬がかなり多い印象を受ける。注目していたサンデーレーシングかキャロットファームの馬は、サートゥルナーリアしかいない。同馬はキャリア2戦で、前走は萩S1着。血統的にもミスタープロスペクター系×サンデーサイレンス系という配合で不満はなく、好感触の要素が満載だ。まずは、本馬に注目したい。

 キャリアが1戦の馬はキングリスティアとタニノドラマ。ともに前走は芝2000mの新馬戦を勝っている。データ的には注目馬と言える。実績面では前走東スポ杯1着のニシノデイジー、京都2歳S2着のブレイキングドーンが上位だ。

文:小田原智大(おだわら ともひろ)
1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。
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