牝馬アレグリア敗因は“経験不足”か Aマーズ皐月賞へ名乗り、無敗でGI戴冠

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父彷彿の持続力、早め先頭策ズバリ!

父譲りのスピードでグランアレグリア(左)をアッという間に抜き去ったアドマイヤマーズ(中)、しかしミルコいわくダイワメジャーとは「全然似ていない」らしい 【スポーツナビ】

 一方、牡馬の意地を見せたのが、無敗のアドマイヤマーズだった。例年ならこの馬が断然の1番人気に推されただろうから、この勝利は特別驚くものではない。勝つべき馬が勝った、とも言えるだろう。また、グランアレグリアのレースに不満が残ると書いたものの実際は、同馬を楽々と2馬身半ちぎったアドマイヤマーズがことさら強かった、と言う方が正解なのかもしれない。ミルコが言う。

「道中は前にグランアレグリアがいたし、一番いいところに行けました。ずっと手応えが良くて、4コーナーでも抜群。仕掛けるのが少し早いかなと思ったけど、この馬は末脚がジリジリ。前走も伸びるのに時間がかかったから、今回はGIだし、ちょっと早い方がいいと思って仕掛けていきました。最後まですごく伸びてくれましたね」

 ヨーイドンの競馬になるのはイヤだった、とも明かしたミルコ。先行策からそのままスピードを持続させて押し切る競馬ぶりは、父ダイワメジャーを彷彿とさせる。ただ、ジョッキーいわく「全然似ていない(笑)」そうだ。ダイワメジャーはかなりのパワータイプだったらしく、道中で抑えるのにミルコ自身もかなり力を必要としたとのことだが、アドマイヤマーズは「走り方が軽い」。また、どこからでも折り合える賢さと気性のおとなしさも「ダイワメジャーの子だと思わなかった」理由らしい。

課題は馬体面での成長

アドマイヤマーズは距離を延ばして皐月賞を目指す 【スポーツナビ】

 そして、この気性の良さと賢さがあるからこそ、来年への夢もますます広がっていくというものだ。友道調教師がレース後の共同インタビューで、来春の目標をはっきりと口にしている。

「この馬はオンとオフの切り替えが上手い。ジョッキーとも話しましたが、距離はもう少し延びても良さそうですし、選択肢を広げて皐月賞を目指したいですね」

 デビューから一貫してマイル戦を使われてきたが、距離延長に関してはミルコも当然のように「今の感じだったら、距離は延びても大丈夫」と太鼓判だ。しいて課題があるとすれば「馬体面での成長」と2人の認識は共通している。6月に468kgでデビューし、およそ半年経った今回でも2kg増えただけの470kg。それだけ完成度が高いとも言えるが、現状維持では年が明けて急成長してくる同期たちにいずれ追いつかれてしまうだろう。

「もうひと回り筋肉がついてパワーアップしてくれれば」と友道調教師。ミルコも「他の馬も成長してくるから、この馬もこのままもっと成長してくれたらいいですね」と期待を込めた注文を送っている。

 父譲りのスピード先行にプラスして、この完成度の高さで2歳世代を一歩リードしたアドマイヤマーズ。このまま皐月賞候補の1番手として春を迎えるのか、それは28日のGIホープフルステークス次第ということになる。そしてひと際注目したいのが、アドマイヤマーズを脅かす存在の1番手である、こちらも無敗の良血サートゥルナーリア(母シーザリオ、半兄エピファネイア、同リオンディーズ)にはミルコが騎乗する、という点だ。

(写真・文:森永淳洋/スポーツナビ)

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