3連覇中アルバートのマラソン適正に納得 ステイヤーズSの好走パターンを考察する
過去10年のデータから考える
過去10年のステイヤーズSで3着以内の馬
表1 【画像提供:JRA-VANデータラボ】
トウカイトリックはこのステイヤーズSだけで7回もの出走があり、【1.1.2.3】という成績を残した。13年のステイヤーズSは11歳の時に出走し、7番人気で3着の結果を残した。これだけの高齢で現役を続けることは大変で、同馬は特別だったのかもしれない。ただ、ステイヤーズSが相当なスタミナを問われるレースであることは間違いない。キャリアや適性が重要であり、過去に1度でもステイヤーズSで好走経験がある馬には注目した方がいいだろう。
その他の好走馬を見ると、芝3000m以上の重賞で好走経験がある馬が多い(表1・背景黄色)。17年2着のフェイムゲームはダイヤモンドS優勝に加え、天皇賞(春)が2着。11年1着のマイネルキッツは09年の天皇賞(春)で1着、09年1着のフォゲッタブルと08年2着のフローテーションは前走菊花賞2着の3歳馬だった。京都と中山、または東京の比較ではコース形態はかなり異なるが、芝3000m以上の重賞においては関連性が高い。レース数そのものが少ないため、似たようなメンバー構成になることもあるが、近走成績が不振の馬でも変わり身を見せてくることがある。
あとは前走アルゼンチン共和国杯で3着以内に好走していた馬や、前走1600万クラスやOP特別で善戦していた馬が多い。前走秋のG1を使っていた馬は少ない印象だ。また、過去10年の好走馬はすべて牡馬・セン馬。牝馬は出走そのものが少ないが、好走を果たしていない。
ステイヤーズS好走馬の父と母父(過去10年)
表2 【画像提供:JRA-VANデータラボ】
表3 【画像提供:JRA-VANデータラボ】
さらにアルバートの母父はダンスインザダーク。サンデーサイレンス系の中では特に長距離に適性がある血統だ。つまり、アルバートという馬にはステイヤーズSと相性のいい血が凝縮されているというわけだ。そう考えると、目下の3連覇も納得といったところか。長く現役を続けることができれば、トウカイトリック以上の好走回数を記録することも可能かもしれない。
文:小田原智大(おだわら ともひろ)
1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。
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