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逆方向へHR連発、メジャーの高等技術
ルーツは育成年代の練習から

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 2020年東京五輪での金メダルへ、日米野球は貴重な国際試合の場。MLB選抜との全6戦で得られる収穫と侍ジャパンの現在地を、中南米の野球にも詳しい中島大輔氏が伝える。

「日本ではホームランを打たれる球ではなかった」

捕手の森(右)はモリーナへの被弾を「日本では打たれる球ではなかった」と振り返った
捕手の森(右)はモリーナへの被弾を「日本では打たれる球ではなかった」と振り返った【写真は共同】

「2018日米野球」第3戦終了後、侍ジャパンの先発マスクをかぶった森友哉(埼玉西武)は東京ドームのミックスゾーンに唇を噛みながら現れた。


「そんなに甘い球ではなかったですけど、力勝負した結果、打たれたので」


 MLB選抜に打力の違いを見せつけられて3−7と敗れた一戦で、森がそう振り返ったのが4回表、J.T.リアルミュート(マーリンズ)に先制本塁打を浴びた場面だ。西武でともに今季の最優秀バッテリー賞に輝いた先発・多和田真三郎を序盤から好リードし、「バッターが真っすぐ(待ちの)タイミングでも詰まっていたと感じたので、序盤は真っすぐ主体で行けるかなと思っていました」というボールを捉えられた。フルカウントから外角に投じた144キロのストレートを、ライトスタンドに運ばれたのだ。


 なぜ、「甘い球ではなかった」というボールを仕留められたのか。今季のMLBで21本塁打を放ち、ナ・リーグの捕手部門でシルバースラッガー賞に輝いたリアルミュートは日米野球開幕前日、本塁打と2塁打を放ったエキシビジョンマッチの巨人戦後にこんな話をしていた。


「何も知らない投手に対して打席に入るのはタフなことだ。だからバットを最初から後ろに構えておいて、ボールをよく見ることを意識した。打つ方向はセンターから右を意識している。その方がボールをより体の近くまで見ることができ、引きつけて強くたたいて飛ばすことができるからだ」


 侍ジャパンが同点に追いついた直後の5回表には、1死二、三塁からヤディエル・モリーナ(カージナルス)に衝撃的な3ランを打たれた。外角低めのスライダーをうまく右にたたかれ、ライトスタンドに美しい放物線を描かれた。「日本ではホームランを打たれる球ではなかった」と森が振り返ったように、プロ野球の外国人打者でもスタンドインはあり得ないだろうと感じるほど厳しいコースだった。


 今回のMLB選抜の目玉選手であるモリーナは、名捕手であると同時に今季20本塁打の強打者。特別なバッターだけがこうした本塁打を打てるのか、あるいはMLBではよくあることか。会見でそのように聞かれたドン・マッティングリー監督は、こう答えた。


「選手たちの体がどんどん大きく、強くなり、その表れで逆方向に大きな、強い当たりが飛んでいくと思う。リアルミュートが日本で打ったホームランは3本とも逆方向だったし、モリーナも逆方向に打った。(左打ちの)ソトは2本レフトに打っている」

ソトが東京ドームの天井に当てるのは早くも2回目。屋根がなければどこまで飛んだだろうか
ソトが東京ドームの天井に当てるのは早くも2回目。屋根がなければどこまで飛んだだろうか【Getty Images】

 180センチ、92キロのモリーナは格闘家のように厚い胸板を誇っている。185センチ、95キロのリアルミュートは強肩強打の大型捕手だ。185センチ、83キロのソトはこの日、東京ドームの天井に直撃するライトフライを放った。屋根がなければ、間違いなくスタンドインしていた当たりだ。

高等技術を支えるのは日本と異なる理論

 3人以外もMLB選抜は総じてパワフルな一方、日本のバッテリーは「外の球に踏み込んでくる」と感じていた。前日の先発・上沢直之(北海道日本ハム)も、森もそう話している。


 日本のバッテリーは内角も攻めているにもかかわらず、なぜ真ん中から外の球に踏み込んで打てるのか。

中島大輔
中島大輔
1979年埼玉県生まれ。上智大学在学中からスポーツライター、編集者として活動。05年夏、セルティックの中村俊輔を追い掛けてスコットランドに渡り、4年間密着取材。帰国後は主に野球を取材。著書に『人を育てる名監督の教え すべての組織は野球に通ず』(双葉新書)。2013年から中南米野球の取材を行い、2017年に上梓した『中南米野球はなぜ強いのか』がミズノスポーツライター賞の優秀賞。

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