エリザベス女王杯は連覇か、それとも? 過去10年データから勝ち馬を探る

JRA-VANデータラボ

前走秋華賞出走馬の各種データ

表5 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 表5は前走秋華賞出走馬の前走着順別成績と前走人気別成績を示したもの。まず言えるのは、秋華賞で3着以内に入っていた馬の好走率が高いこと。そして、巻き返しがあるとすれば9着までで、10着以下に大敗していると苦戦が予想される。

 また、人気も興味深い傾向が出ている。好走率が高いのは秋華賞で1、2番人気に推されていた馬だが、エリザベス女王杯を勝ち切った3頭はいずれも秋華賞で3番人気以下だったのだ。ただし、こちらも10番人気以下では苦しく、9番人気以内には収まっておきたい。

同年オークスにおける成績

表6 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 3歳馬に関しては、データをもうひとつ見ておきたい。表6は同年オークスの着順と人気について調べたもの。まず着順に関しては、基本的にはオークスで1、2着だった馬がエリザベス女王杯でも好走を果たしている。例外は08年のリトルアマポーラだが、オークスで7着に敗れたものの1番人気に推されていた。次に人気を見ていくと、オークスで1、2番人気に推されていた馬の好走率は高いが、3番人気以下になると数値が下がってしまう。そのなかで例外となったのは13年のメイショウマンボと17年のモズカッチャンで、前者はオークス9番人気1着、後者もオークス6番人気2着と連対を果たしている。すなわち、オークスに出走していた3歳馬に関しては、そこで1、2着か1、2番人気に推されていることを条件としてみたい。

前走府中牝馬S出走の1〜3着馬

表7 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 表7は前走で府中牝馬Sに出走し、エリザベス女王杯で1〜3着した馬の一覧。府中牝馬Sの着順や人気はまちまちで明確な傾向は見られないのだが、注目したいのは出走間隔。この組で好走した9頭中7頭は休み明け初戦で府中牝馬Sを使い、叩き2戦目でエリザベス女王杯に出走していたのだ。そして、府中牝馬Sが休み明けではなかった2頭に関しては、その前走で勝利を収めていたという共通点がある(13年のアロマティコは佐渡S、17年のクロコスミアはワールドオールスタージョッキーズ第2戦と、いずれも1600万下で1着)。府中牝馬S組に関しては、この観点で狙ってみると面白いのではないか。

同年の芝1800m以上牡馬混合重賞の実績

表8 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 表8は、同年の芝1800m以上古馬混合重賞に出走していた馬に関して、そこで1〜5着に入ったことがあった馬、なかった馬の成績を比較したもの。好走率の差は歴然で、もちろん1〜5着に入った実績を持つ馬のほうが好成績を残している。唯一の例外は09年1着のクィーンスプマンテだが、同馬は芝2600mのオープン特別・みなみ北海道Sで牡馬を相手に0秒6差をつけて1着の実績を持っていた。今年に入って牡馬相手に中距離以上で実績を残した馬がいれば狙ってみたいところだ。

結論

 ここまでのデータ分析に従って、今年のエリザベス女王杯で有力と思われる馬を見ていこう。

 まずは3歳馬から。秋華賞組は1〜3着馬の好走率が高く、9番人気以内かつ9着には入っておきたいところだった。今年は秋華賞組のエントリーが1頭しかないが、そのカンタービレは秋華賞で3番人気3着と好走圏内の成績を残した。オークスで7番人気13着だった点は無視できないものの、春に比べてかなり成長している印象もあり、なんとかデータを克服したいところだろう。

 もう1頭の3歳馬はノームコア。トライアルの紫苑Sを0秒5差で圧勝しながら秋華賞には出走せず、ここまで待機する異例のローテーションで、過去のデータにも参照しづらい面はある。とはいえ、仮定の話にはなるが、秋華賞出走なら9番人気以内かつ9着以内には収まっていた可能性は十分。以前は先行していたが、紫苑Sを中団からの競馬で快勝したこともプラスといえる。

 古馬に目を移すと、出走例が多い府中牝馬S組に関しては、エリザベス女王杯が叩き2戦目になる馬か、続戦中の場合は府中牝馬Sの前走で1着の馬がよかった。今年はアドマイヤリード、フロンテアクイーン、ミスパンテール、リスグラシューの4頭が叩き2戦目での出走となる。なお、後者に該当する馬はいなかった。

 同年の牡馬混合実績を重視するなら、昨年の覇者で札幌記念3着のモズカッチャン、京都大賞典でサトノダイヤモンドの半馬身差まで迫ったレッドジェノヴァ、函館記念3着があるエテルナミノルの3頭に注目。また、2600mのオープン特別・丹頂Sで2着のコルコバードもマークはしておきたい。

文:出川塁(でがわ るい)
1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。

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