マカヴォイV差しで愛妻に豪邸プレゼント 焦ったボウマン騎乗停止でJC参戦絶望か

JRA-VAN

「勝ったら新しい大きな家をプレゼントするよ」

後方から大外一気! 鞍上のマカヴォイは愛妻との約束を果たす騎乗を見せた 【Photo by Kazuhiro Kuramoto】

 メルボルンCは、道中スローに流れて先行勢優勢の結果に終わったコーフィールドCとは一変して差し、追込み馬に有利な流れになるものと予想されていた。この読みは有力馬の鞍上も同じだったのだろう。ゴールまで1200mを残す2000m通過時点での位置取りはP.コスグレイブ騎手のベストソリューションが21番手、外から行き脚をつけたJ.マクドナルド騎手のユカタンは12番手までポジションを上げていたが、H.ボウマン騎手のマルメロは20番手、アクシデントを回避したK.マカヴォイ騎手のクロスカウンターは22番手のままで450mの直線に勝負を委ねた。

過去にメルボルンCを2勝しているマカヴォイ騎手はレース前、愛妻に「メルボルンCに勝ったら新しい大きな家をプレゼントするよ」と約束していたという。ベテランならではの計算と自信があったのだろう。しんがりからポジションを徐々に上げて最終コーナーで外に持ち出すと直線ではライバルが霞むほどの末脚が爆発。比較的乾いていた馬場の七分目を切り裂くように追い込み、先行馬をなぎ倒した。

日本馬チェスナットコート、4角の不利が痛かった

チェスナットコートは4コーナーの不利が響いたか、見せ場を作れずに終わった 【Photo by Kazuhiro Kuramoto】

 1馬身差の2着にボウマン騎手が鞭を連打して残り100mまで先頭を守ったマルメロ。3日前に行われたG3レクサスステークスに勝って最後の1枠に滑り込んだアプリンスオブアランが勝ち馬から3馬身差の3着に健闘した。重馬場の勝ちタイムは3分21秒17。これは昨年、良馬場で勝ち馬となった3歳牡馬リキンドリング(ハンデ51.5kg)より0.02秒速かった。ベストソリューションはいざ追い出すと意外に伸びず勝ち馬から8.75馬身差の8着。“カップスダブル”の困難さを改めて感じさせた。

 14着に敗れたチェスナットコートの矢作調教師は「4コーナーのこれから追い出そうというところでの不利がかなり決定的でした。あの不利がなければ、もう少し良いところまで来られたと思います」と悔しさを滲ませた。

ボウマン35日間の騎乗停止、大きな代償に

 ウイニングサークルで愛妻から祝福を受けるマカヴォイ騎手と対照的に深刻な表情でマルメロから下馬したボウマン騎手には裁決委員から3つのペナルティ(チェスナットコートへの進路妨害で12日、鞭の過剰使用で8日、0.5kgの体重超過で21日の計41日)が言い渡された。裁決委員の裁量によって騎乗停止期間は12月5日までの35日間に短縮されたが、楽しみにしていたシュヴァルグランでのジャパンカップ参戦はほぼ絶望的。メルボルンCの初優勝を焦った過ちは大きな代償となった。

(サラブレッドインフォメーションシステム 奥野 庸介)

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