森保監督「世代がつながりレベルアップ」 国際親善試合 日本代表メンバー発表会見

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鈴木は結果、山中は攻撃が初招集につながった

A代表初招集となった2人について森保監督(右)は、「クラブで継続して出場し、特徴を発揮している選手」と評価 【スポーツナビ】

――A代表コーチに斉藤俊秀さんと秋葉忠宏さんを入れている。その経緯や期待することは? また、同時にメンバーを発表することは兼任監督ならではだが、選考過程で苦労した部分や新しい発見などはあったか?

森保 まずコーチの編成についてですが、これからずっとこのような形になるかは分かりませんが、暫定ということでこの2つの活動をするにあたって、各世代のU−19、U−16のコーチにサポートしていただき、A代表の活動をしていければと思っています。その中で、各世代の代表のコーチたちに私たちのやっていることを伝えていきたい。

 その上で、彼らが影山(雅永)ジャパン、森山(佳郎)ジャパンに戻った時に、いろいろな部分で共通認識を持てればと思っています。すべてのチームがコピーしたものにはならないと思いますが、どの世代のチームも日本代表としての誇りを持ち、日本人の良さを持って戦っていると思います。選手だけではなく、スタッフも共通認識を持つことで各世代の融合を図れればと思っています。

 選手選考は、毎回難しいと思っています。ひとつの代表チームを決めるだけでも、今回はフィールド20人、GK3人ですが、もっと多くの候補選手がいて、絞っていかないといけない。できればもっと多くの選手を呼んでやりたいこともありますが、日本代表を目指してくれている選手を招集できない難しさは感じています。

 融合を図る意味でも、A代表の選手は年齢的に下にはスライドできません。アンダー世代を引き上げてA代表を経験させるところは、彼らの力も見ながら、どういう環境づくりをしていくのか、私だけでなくコーチも含めて何がベストかを考えてやっていく難しさはあると思います。

――A代表で初招集の2人について、それぞれどういった点に期待しているのか? また、アジアカップを見据えた上で今回のテーマがあれば教えてほしい。

森保 まずはA代表初招集の2人についてですが、クラブで継続して出場し、特徴を発揮している選手だと思っています。鈴木は鹿島でACL(AFCチャンピオンズリーグ)の決勝に臨み、アジアのチャンピオンを目指す力のあるチームの中で得点という結果を出し、FWの選手として存在感を発揮してくれているので招集しました。

 山中については、マリノスで年間通して継続して試合に出場し、いいパフォーマンスを出しているので招集させてもらいました。パフォーマンスに波のある選手ですが、特徴にスペシャルなものを持っている選手だと思います。特に攻撃で、左利きを生かしたプレー、クロスや攻撃に絡むプレーが代表招集につながった理由です。彼らがこのグループでどういう力を発揮するのかを見たいと思います。2人には思いっきりプレーし、個性を発揮してもらいたいと思っています。

 アジアカップに向けてですが、ベネズエラとキルギスはまったく違う戦いになると思っています。どちらもわれわれに対してどういう対策をするか分かりませんが、キルギスはアジアでの戦いを想定できる試合ができるかなと思っています。ベネズエラ戦とキルギス戦、しっかり分析しているわけではないですが、まったく違う戦いをしなければいけない。選手たちはこれまでアグレッシブに、チームとしても個人としても力を発揮していいトライをしてくれたと思っています。今回のキリンチャレンジカップの中で、アジアの戦い方とアジア以外の諸国との戦い方はまったく違う対応力が求められると思います。相手を崩していくためにどういう戦い方をしたらいいかが学べる、いいシミュレーションになると思います。

東京五輪世代はA代表を目標にしてほしい

――A代表は初招集の2人を除くとほぼ以前と同じメンバーだが、その理由は? また、このメンバーがアジアカップでのコアになるのか?(元川悦子/フリーランス)

森保 すべてが基本的に、というところですが、キリンチャレンジカップで招集した選手を中心にアジアカップに臨むことは考えています。まだわれわれのチームに情報を吸い上げ、招集していない選手もたくさんいるので、彼らが加わることも考えてやっていきたいと思っています。選考していく中で、今回の戦いはこのメンバー選考がベストだと決めました。決めた結果があまり変わらなかったのは、今言われて思いました(笑)。

――U−21日本代表について。アジア大会後にA代表のサッカーを落とし込みたいと言っていたが、あらためて五輪世代に落とし込みたいと考えている部分は?(川端暁彦/フリーランス)

森保 まずは、すべてのクオリティーを上げることが大切だと思います。技術的なクオリティーや判断の速さ、的確な判断をしていくところはもっと上げていかなければいけないと思います。その技術を発揮するために、戦う球際の部分、もっとインテンシティーを上げていく部分。これまでの代表監督の方々が言ってきた、インテンシティーやデュエルをもっと高くしていくことをベースとして持ちながら、日本人の持っている技術を西野(朗)さんが言われた通りに発揮していくことを、東京五輪世代に伝えていきたいと思っています。

 そういった意味では、今回A代表のコーチとして9月10月のキリンチャレンジカップを経験したコーチたちが(U−21の)UAE遠征に行って、彼らに感覚的に伝えられることはチームとして大きなことだと思いますし、より高いものを求めていけると思っています。

 A代表を経験した選手が五輪世代に入ることで、いろいろな部分で東京五輪の選手たちには刺激になると思いますし、伊藤達哉についてはUAE遠征でA代表で経験したことを発揮してもらいたいと思っています。

 U−21の活動としては、直近のアジア大会で準優勝できたことに自信を持ってほしいと思っています。自信にプラスして、過信にならないようにもっと高めていくことを忘れないでほしいです。アンダー世代の活動で満足することなく、いつも言っているように、東京五輪世代の選手たちにはA代表を目標にしてもらい、A代表に関わりながら東京五輪に出ていくという強い気持ちを持ってもらいたいと思います。

 アジア大会決勝で韓国に敗れましたが、非常にいい試合をしたと思います。彼らが持っているものを100%出し切ってくれましたが、韓国代表が素晴らしいチームでした。その戦いを最低限に持って、さらに高みを目指してほしいと思います。韓国戦でのインテンシティー、球際での戦い、粘り強く戦うベースの部分は見せてくれましたが、そこから攻撃につなげる部分は満足できないものだったと思います。そのような戦いを東京五輪世代には最低でも6試合はやってもらい、それで目標に達するので、厳しい気持ちを持ってUAE遠征に臨んでほしいと思っています。

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