規格外の祭典メルボルンCは欧州勢が強力 日本馬チェスナットひと叩き上積みに期待

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日本的な常識は取り払って馬券を予想しよう

豪州競馬最大の祭典メルボルンカップに挑む日本馬チェスナットコート、ひと叩きした上積みに期待だ 【Photo by Getty Images】

 メルボルンCは世界中から競走馬が参加するため、ただでさえ実力の比較が困難。また、最大24頭の多頭数によるハンデキャップ戦というだけでなく、本番3日前に行われるホッサムハンデキャップ(=レクサスS)の勝ち馬に優先出走権が割り当てられており、直前まで不確定要素にあふれている。3200mの本番に対して3日前の2500mのレースがトライアルとして機能していることからも、日本的な常識は取り払って向き合いたい。

 この規格外の祭典メルボルンCに、今年は日本からチェスナットコートが挑む。上半期を目黒記念で切り上げ、現地では前哨戦のコーフィールドCから始動したものの13着に完敗。今回のハンデキャップが数字以上に重くなってしまった感もあるが、初めての海外遠征で、その初陣が約4か月半ぶりの実戦、それもG1とあって不利は否めなかった。

 日本から凱旋門賞に挑戦する場合だと、前哨戦はフォワ賞やニエル賞といったG2で、レース間隔も3か月前後が通例。そうした比較において、より間隔が開いていたチェスナットコートには実戦で使われた効果も大きそうだ。中盤までスムーズに流れに乗りながら、ペースが上がった所で対応できなかったコーフィールドCの内容は、多少なりとも久々の影響を感じさせた。また、当時の重馬場から本番当日は良馬場に恵まれれば、あらゆる条件が好転する。頭数が増え、相手関係も強化するが、巻き返しの余地は十分に残されている。

ベストソリューション力上位、ユカタン急上昇

頭ひとつ抜け出した感のあるベストソリューションだが、ゲートには一抹の不安も 【Photo by Getty Images】

 実績で頭ひとつ抜け出したのがベストソリューション。コーフィールドCではトップハンデを負担し、不利な外枠から先行押し切りの見事な勝ちっぷりでG1レース3連勝とした。同じ相手関係であれば、勝負付けを済ませたと評価できるほどの完勝劇だ。ただし、ゲートが決して速いタイプではなく、後手を踏むこともあるこの馬としては、何もかもが上手く運んだ感なきにしもあらず。前走も発馬は遅れ気味だっただけに、馬群の中で身動きできない形になれば戦況は一変する。そうなったとき、コーフィールドCで3着のザクリフスオブモハー、7着に入ったヤングスターに逆転の目が生じる可能性もある。

名門A.オブライエン厩舎のユカタンが別路線から評価を上げている 【Photo by Getty Images】

 コーフィールドCと別路線ではユカタンが評価を急上昇させている。名門A.オブライエン厩舎の一員ながら、地元の欧州では僚馬ザクリフスオブモハーの格下的存在だったが、豪州初戦の前走で圧巻の捲りを決めて立場を逆転した。勝ち方が鮮やか過ぎたが故の不安もあるが、ゴール前100mから止めにかかった余裕綽々の内容からも伸びしろは十分。叩き台として理想的なレースをしており、大一番でどんな走りを見せてくれるか楽しみだ。

地元豪州勢はアヴィリオスがエース格

 前述のベストソリューションとザクリフスオブモハー、ユカタン、さらにマジックサークルやクロスカウンター、ムンタハーなど、今年のメルボルンCは現地のブックメーカーでも欧州勢の人気が高く、地元の豪州馬は旗色が悪い。それでも、国際的なレースでは地の利がある地元馬有利が定説で、下馬評はさておき、一目置くのが定石だろう。

 エース格のアヴィリオスはフランス育ちで、純然たる地元馬という印象こそないものの、重賞初制覇をはじめ頭角を現したのは豪州に移籍後の今年8月以降。この3か月ほどで評価を高めた上がり馬のような存在だ。本格化前のフランス在籍時には、ニエル賞でクラックスマンから3馬身半差の2着という実績もあり、それから1年余りの成長とハンデ戦という条件を盾に、上位争いに絡んでくる可能性は感じさせる。

 この他の地元勢では、コーフィールドCでは9着も、血統的にメルボルンCと好相性のモンズーンを父に持つヴァンジュールマスクが不気味。同じくコーフィールドCで10着後、10月27日のムーニーバレーゴールドCを制し、出走圏内に浮上してきたベンチュラストーム陣営の執念、最近10年で2頭のメルボルンC優勝馬を輩出しているジーロンCの勝ち馬ランナウェイの勢いが侮れない。
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