結末は世代交代か「またまたルメール」か 舞台は京都、JBCクラシック記者座談会

競馬専門紙「優馬」

競馬専門紙「優馬」トラックマン座談会

 今週日曜は、ダートの祭典JBCが、史上初めて中央で京都競馬場を舞台に開催される。中でも、最も注目されるのが、メインレースとして組まれた1着賞金がJRA・GI並みの9000万円というJBCクラシック。ダート頂上決戦の行方を、優馬TM(トラックマン)陣がぶった斬る。

強い3歳オメガパフュームに ケイティブレイブがちょっと待った

前走で重賞初制覇を果たした3歳馬オメガパフューム(黒帽)(撮影:日刊ゲンダイ) 【(C)競馬専門紙「優馬」】

デスク「昨年の最優秀ダートホースであるゴールドドリームと、今年のジャパンダートダービーを制して3歳世代の頂点に立ったルヴァンスレーヴの名前がないのは少し淋しいが、それでもかなりの豪華メンバーが揃ったな。そんな中で東西の本紙担当の◎が一致したのが、3歳馬オメガパフューム。GI勝ちはおろか重賞も前走のシリウスSが初制覇だった馬だが…」

中邑「そのここに居ないのは淋しい2頭が、先の南部杯で対戦してルヴァンスレーヴに軍配が上がり、レパードSを勝ったグリムも白山大賞典で古馬を一蹴したことからも、ダート路線における今年の3歳のレベルは相当な高さだと見ていいでしょう。オメガパフュームは、その2頭に敗れているとはいえ、ともに流れに乗り切れたとは言えない形だったものであり、勝負どころから外を回ってねじ伏せたシリウスSでの成長ぶりからも、今回のメンバーでも力は通用すると判断しました」

武井「このレースでは、3歳馬の勝利が2002年のアドマイヤドン以降途絶えているとはいえ、今年の南部杯でレース史上初めて3歳馬が制したのであれば、世代のレベルの高さを示すとともに何ら嫌う材料ではないでしょう。まだまだ伸びしろを十分に感じさせるレースぶりだったオメガパフュームのシリウスSの勝ちっぷりを考えても、ルヴァンスレーヴが不在なら、素直にこの馬という気がしますね」

小野智「この秋を迎えるまでは、昨年のチャンピオンで今年の帝王賞も勝ったゴールドドリームが一番強いと信じてましたが、南部杯の結果をふまえると、もはや一番強いのは3歳勢。JDダービーでルヴァンスレーヴにコンマ3秒差のオメガパフュームを信頼すべきでしょうね」

西田「私も全く同感です。オメガパフュームには本紙担当の2人だけじゃなく、女子のハートも鷲掴みにするほどの実力がありますよ」

坂倉「息の長い活躍をする馬が多いダート路線ですが、南部杯で起こった世代交替の波が、ここでも猛威を振るうと見ていいでしょうね」

桜井「対する古馬勢に、年齢的にも近走以上の上積みを感じる馬が少ないのに対して、オメガパフュームには現状でのレベルの高さに加えて、前走からの更なる上積みも感じますからね。古馬の一線級が相手となっても何らヒケは取らないはずですよ」

デスク「オメガ支持者の話を聞いていると、なんだかこの馬でしょうがない気もしてくるんだが、そんなに競馬は甘くはないはずだし、現にこの馬を“抜け”にした田崎のようなヘソ曲がりもいるからな」

田崎「ヘソが曲がっているのは性分なので…、要は人気ほどの信頼は置けないと思ったので“抜け”にしたまでです。3歳世代の強さは認めても、オメガパフュームの前走はハンデ戦でしたし、まだトップレベルより一枚下の存在と見ていいのではないかと。経験も問われる大舞台で、しかも定量戦でどこまでやれるかは未知数だと思いますが」

瀬古「陣営もそのあたりが鍵になるのは十分承知で、2走前は外から被される型になった時に怯む面を見せましたが、前走は馬込みで我慢するレースができ、“それまでに学習しきたことを発揮できた”と安田翔師も確かな成長を感じている様子でした。時計の要する今の坂路で余力十分に好時計をマークした最終追い後も“トビがキレイな馬で以前は坂路での動きも地味でしたが、最近は動けるようになりましたね”と。一戦ごとに進化している馬ですから、一気のタイトル獲りも十分あると見ていいでしょう」

デスク「迎え撃つ古馬勢だが、ゴールドドリームが欠けているとはいっても、それ以外は現状でのベストメンバーだよな」

加茂「中でも、帝王賞ではゴールドドリームにクビ差2着のケイティブレイブが筆頭格や。行きたい馬がいれば控えてもレースができる馬やから、流れに左右されないのは心強いし、交流重賞が主戦場になっているとはいえ、完全に本格化した今なら、中央GI初制覇のチャンスも十分にありますやろ」

久光ケイティブレイブの前走は、以前は不得手だった上がりの速い決着を最速の脚で2馬身突き放す強い内容で、58キロの斤量も加味すると十分な成長を見せた一戦でした。直線に坂のない京都は先行馬向きの場ですし、積極型も揃った今回はレースの組み立ても難しくはないはずです。元来の持ち味だった渋太さを行かせる状況と言えるので、軸には最適だと思いますね」

那谷「ここに向けての一叩きも意味合いも強かった前走は、調教師もジョッキーもともに“トップコンディションではない”と公言していたけど、終わって見たら力が違うと言わんばかりの楽勝だったからな。当然、状態に関しては杉山師も“グンと良化しています”と太鼓判を押していたよ。今年に限っての中央開催ということで“砂質の違いと時計勝負”が課題になるけど、これについても“スピード競馬に対応するために、重心を後ろに置いて負荷をかけることで、トモに筋肉が付くように調教してきた”と対策はバッチリ。昨年の平安Sで5着に敗れている舞台だけど、その後の著しい地力強化を考えても、崩れるシーンは考えづらいと思うな」

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著者プロフィール

競馬専門紙「優馬」のスペシャル競馬サイト。トレセンや競馬場という現場で記者やトラックマン達が仕入れてきた生情報を元に、予想記事やコラム記事を掲載しています。さらに、競馬ファンのニーズに対しダイレクトに応えていくようなコンテンツも展開。

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