サヨナラ弾直前、余裕を感じた「見逃し」 岩村明憲氏の日本シリーズ解説2018
延長10回、試合に終止符を打つ柳田のサヨナラ弾。岩村氏はこの直前の見逃し方に着目した 【写真は共同】
試合はシーソーゲームとなり、3対3で迎えた6回に會澤翼のソロで広島が勝ち越すも、ソフトバンクは7回に明石健志のソロで追い付く。両チーム譲らずそのまま延長に突入すると、10回に柳田悠岐がライトへ劇的なサヨナラ弾を突き刺した。
スポーツナビでは、東京ヤクルトやMLB・レイズなどで活躍し、短期決戦の経験が豊富な岩村明憲氏による日本シリーズのポイント解説をお届けする。
あの打席、柳田が打つ予感がした
「正直、あの打席は柳田君が打つ予感がしました。というのも、初球の見逃し方が非常に良かった。内角ストレートのボール球ですけど、力みや気負いも感じることなく余裕を持って見逃していました。そうしたら、2球目の変化球をドンピシャのタイミングで本塁打に。変化球を待っていたとは思いますが、さすがのバッティングですね。
真っすぐを見せ球にして変化球でカウントを取ることは、ホームランバッターに対しての配球においては基本的な話です。広島バッテリーの配球が悪いわけではありません。そこでミスショットなく見事に打ち返したことは、柳田君の持つ力の証明だと思います。
広島での第2戦まで、柳田君は執拗な内角攻めをされたこともあり、なかなか自分のスイングができていませんでした。ただ、第3戦の内野安打から少しずつ自分の形を取り戻してきていて、昨日の第4戦も着実にステップを踏みました。そして今日の一発。2ストライクまではしっかりフルスイングしていく、自分の打席での形ができていますね」
まだ予断を許さない今シリーズ
王手をかけたソフトバンクと、崖っぷちに追い込まれた広島。だが、岩村氏はまだ予断を許さない状況と見ている 【写真は共同】
ソフトバンクがこれで王手をかけましたが、広島は悲観する必要はないと思います。何回も言っていますが、ホームアドバンテージで本拠地のファンが自分たちのリズムを作ってくれる、それがすごく大きい。やはり、ソフトバンクは今日勝っておいて良かったと思いますよ。『早く王手をかけてしまいたい』という思いはあったはずです。
第6戦以降も予断を許さない状況は続くでしょう。第8戦までやるんじゃないかという気持ちも……。これだけいい試合を続けている両チームなので、球史にとことん残してほしいなと思います。野球ファンのみならず、野球を全く知らない人でも虜にするようなシリーズになってほしいですね」
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