Rソックスは2018年最強チームだった
“119通り”の強さで達成したWS制覇

強豪を蹴散らしての“完全優勝”

チーム史上最多のシーズン108勝を挙げたレッドソックスは、その勢いのままに4度目の世界一を決めた
チーム史上最多のシーズン108勝を挙げたレッドソックスは、その勢いのままに4度目の世界一を決めた【写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ】

 “2018年最強チームの完全優勝”と形容して良いのだろう。現地時間10月28日、ドジャースタジアムで行われたワールドシリーズ第5戦で、王手をかけて迎えたレッドソックスはドジャースに5−1で快勝。ここでシリーズに終止符を打ち、この15年間ではメジャー最多となる4度目の世界一を決めた。


「すごいチームだよ。レギュラーシーズン中に108勝も挙げて、プレーオフでは同じくシーズン中に100勝以上を挙げた2チームを破った。そして僕たちにも4勝1敗で勝ったんだからね・・・・・・」


 今シリーズでは2度にわたって痛打されたドジャースの大黒柱クレイトン・カーショウも、今回ばかりは脱帽するしかなかった。


 シーズン中にチーム史上最多の勝ち星を挙げたレッドソックスは、ポストシーズンでも通算11勝3敗と快進撃を継続。プレーオフでも宿敵ヤンキース、昨季王者アストロズ、2年連続のワールドシリーズ進出を果たしたドジャースといった強豪をすべて蹴散らしたのだから、誰にも文句は言わせない。


 プエルトリコ出身の知将アレックス・コーラ監督に率いられ、ムーキー・ベッツ、JD・マルティネス、クリス・セール、デービッド・プライス、クレイグ・キンブレルといったビッグネームを中心とするタレント集団。ボストンの名門フランチャイズこそが、間違いなく今年度最高のチームだったのだ。

個の力に依存しない強さ

 そんなレッドソックスにも、危うさを感じさせた場面がなかったわけではなかった。ヤンキースとの地区シリーズでは第2戦で田中将大に抑えられ、アストロズとの優勝決定シリーズでもセールを立てて臨んだ第1戦は2−7と完敗。ワールドシリーズでは地元2連勝と絶好のスタートを切ったものの、第3戦では史上最長の延長18回に痛恨のサヨナラ負けを喫している。


 セールの体調、ブルペンの力量には疑問が呈されたこともあり、特にプレーオフ開始当初のレッドソックスは難攻不落とみなされていたわけではなかった。3敗はそれぞれ手痛いもので、その時点でそれぞれのシリーズの流れが変わっても不思議はないように思えた。ただ……それでも結局、レッドソックスの足取りが大きく乱れることはついになかった。


 3度の敗北後、そのシリーズでの残りゲームは全勝と逆境での強さを証明。中でも象徴的だったのは、ワールドシリーズの行方を定める上で極めて重要な意味を持った第4戦での圧巻の逆転劇である。


 歴史的な延長戦を落とした翌日も7回まで0−4とリードされ、あとアウト7つでシリーズがタイに戻るという瀬戸際だった。そんな状況下でも、慌てず騒がず、レッドソックスは最後の3イニングで9得点。ミッチ・モアランド、ラファエル・デバース、ブロック・ホルト、スティーブ・ピアースといった伏兵たちが躍動し、9−6の勝利で地力の違いを誇示したのだった。


「うちはムーキーとJDが中心だが、その周囲の選手たちも素晴らしいんだ。おかげで粘り強く、気の抜けない打線になった。多くのホームランも打ってきたけど、他のこともできるチームだ」


 コーラ監督の言葉通り、レッドソックスといえばベッツ(シーズン中は打率.346、32本塁打、30盗塁)、マルティネス(同.330、43本塁打)という2人のMVP候補が目立つ。ただ、この2人の才能だけに依存して勝ってきたわけではない。今シリーズではベッツは打率.217、マルティネスは同.278に終わったが、それでも日替わりヒーローの力で勝ち続けた。


 それが如実に現れたのが第4戦だった。確固たるレギュラーですらなかったピアースがシリーズ通算3本塁打、8打点でMVPに輝いたことは、層の厚さが自慢のチームを象徴していたのだろう。個の力に頼る必要がなかったからこそ、レッドソックスの不振は2戦以上は続かなかったのである。

杉浦大介
杉浦大介

東京都生まれ。日本で大学卒業と同時に渡米し、ニューヨークでフリーライターに。現在はボクシング、MLB、NBA、NFLなどを題材に執筆活動中。『スラッガー』『ダンクシュート』『アメリカンフットボール・マガジン』『ボクシングマガジン』『日本経済新聞・電子版』など、雑誌やホームページに寄稿している。2014年10月20日に「日本人投手黄金時代 メジャーリーグにおける真の評価」(KKベストセラーズ)を上梓。Twitterは(http://twitter.com/daisukesugiura)

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