西武・秋山翔吾 ロングインタビュー 短期決戦は「勝ちゃいいんです!」

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1時間にわたるロングインタビューに答えてくれた西武・秋山翔吾 【スポーツナビ】

 プロ野球のクライマックスシリーズ(CS)は17日からファイナルステージが開始。パ・リーグは10年ぶりに頂点に立った埼玉西武とファーストステージを突破した福岡ソフトバンクが激突する。今回は、西武・秋山翔吾に単独インタビューを敢行。シーズンの振り返りだけでなく、チームメートや同級生について、そして来たるポストシーズンに向けての意気込みを語ってもらった(取材日:10月9日)。

負けられないプレッシャーの中で

――まずは10年ぶりの優勝おめでとうございます。

 ありがとうございます。

――秋山選手にとって初めての優勝の味はいかがでしたか。

 正直優勝争いも佳境までしたことがなかったので、このまま行くのかどうかもわからなかったし、どういう苦しみとかプレッシャーになるのかっていうのを想像しながらやってましたね。

――チームの先輩には10年前の優勝経験者もいましたけど、何かアドバイスをもらったりはしましたか。

 10年たつとチームも変わっているので、そういう意味ではあの時どうだったかって聞くというのは、そこをなぞらないといけないのかなと思っちゃうので、自分としては。それをやらないと勝てないとか、ではなくて、今のチームでどう勝つかを目標にやってきているので。そこは聞こうと思わなかったのが正直なところです。

――今季の秋山選手はシーズン終盤に試合を決める一発を2試合続けて放つなど、プレッシャーをはねのけたような活躍が見られました。

 はねのけたとか言うほどではなかったですけど、なんて言ったらいいですかね……マジックがつく前から上位チームと多く当たっていたので、そこまで余裕がなくて。目の前の試合を戦うのが一生懸命というか精いっぱいの状況でやっていたので。で、ついてからもホークスが負けない。自分たちが勝ってるから一個ずつ減っているという。こういうものなのかなと思いましたし、向こうが負けないプレッシャーの中でやっていました。

 9月末の直接対決で逆転3ランを打ったときも「ここで打ててよかった」と思ったし、やっぱファンの歓声とか雰囲気とかで「ああ、こういうところで打てたんだな」と実感したのはありました。

――本拠地の声援が変わっていった実感はあったと。チーム内でマジックついてから変わったとかそういう実感はありましたか。

 やってることは変わらなかったので、よりホークスの試合の動向とかは気になってましたし、対象チームがあってこそのマジックなのでね、そういう意味では「負けねーな」と。逆にホークスが負けなかった分、自分たちがその試合勝つとかやろうというのは考えてやってたかもしれないなというのはありました。

変則サウスポーとの駆け引き

――今年、秋山選手のプレーの中で一番印象に残っているのが、東北楽天の高梨(雄平)投手から打った決勝ホームランなのですが(7月8日)。あの一発は秋山さんの中でも大きかったのではないですか。

 ああ、そうですね。

――というのも、それまでは左の変則投手に秋山選手が結構難しい対応を迫られていた感じがしていました。

 ……それはそうですよ。そのために出てきているんですから、彼らは。

――つぶしに出てくる、ということですよね。その目的で出てきた投手に対してしっかり結果を出したというのが、何か「あ、ちょっと違うな」と思ったんですね。「秋山選手の中でも何かあったのかな」と思いました。

 そうですね。楽天で言えば高梨君、千葉ロッテで言えば松永(昂大)、北海道日本ハムだったら宮西(尚生)さん、ソフトバンクだったら嘉弥真(新也)。途中からオリックスの山田(修義)君とかは、まあ変則じゃないんですけど左のワンポイントで出てくるピッチャーっていたじゃないですか。

 僕と源田が(左バッターで)つながっているんでね、どうしてもあそこで使いたくなりますよね、それはもう分かりますよ。でもそこを打たないとダメだなと思うし。でもあのワンポイントに対して、打たなくてもフォアボールとかでも全然いいんです、正直。それでも勝ちなんですよ。向こうは左が2人並んでいるところでアウトを取りに来ているので、どっちかが塁に出るだけでも正直勝ちなんですが、まあなかなか簡単には打たせてくれないですよ。やっぱり球種が少ないけれど、それを絞らせない技があり、という駆け引きはどのカードでも迫られますよね。

――3連戦だったら3日とも、ということもありますね。

 ありますよ。山田君が8月に月間18試合投げましたよね。あの時も、オリックスと3カードくらいありました。

――1カ月で。

 8打席やりましたからね、記憶では。それぐらいのペースで投げてるし、本当に僕と源田のところばっか出てきて。でも、慣れますね。

「同じやられ方をしないように」というのは毎回思ってるんですよ。それは思ってるんですけど、やっぱり左対左の三振の仕方ってスライダーをマークしすぎて外の見逃し三振とか甘いところのストレートを見逃し三振か、スライダーの外空振り三振っていうようなイメージがつくじゃないですか。だから「やられ方の二択以外のやられ方をどんどんしていかないとダメだな」と思っています。

――仮に打ち取られたとしても違うようにやるということですか。

 そう。じゃないと、同じ攻められ方をされるので。

 他のピッチャーもそうなんですけど、ツーアウトで出てきて次が源田となった時に、5点差あるとするじゃないですか。ここで塁に出るような打ち方をするのか、次の打席もし大事な場面に当たった場合、相手に考えさせるためにわざと違う狙い球にしたり、打ち方をしてみたりというのが、シーズン中はあるんですよ。それがハマった時もあれば、もうからっきしダメなときもある。だから、他の先発ピッチャーも苦手なピッチャーとか違うアプローチをしたりしますけれど、勝負どころというのをどう見極めるかですね。

 例えば1点差ランナーなしでの先頭バッターだったら、どんな形でもヒットだろうがホームランだろうが、出塁するような打席にしなきゃいけないじゃないですか。それによっては、その前の5点差、ツーアウト、ランナーなしというのはあきらめちゃいけないけれど、多少そういうポイントの時に生きるようなアウトのなり方、打席のアプローチの仕方もしておかないと、やっぱりシーズンって無理なんですよね。

――やはりそれだけシーズンは長いんですね。

 長いです。でもそれはシーズンなんですよ。クライマックスは結果を出すのみなんですよ。短期決戦はそうなんですよ。WBCもそうでしたけど。餌まきの打席とかもはやいらないんですよ。基本的にはもう全部が勝負。もしかしたら6試合あって6打席嘉弥真君とやる可能性もありますけれど、その中だとしても、甲乙つけがたいけどつけますけどね。

 シーズンと違うところはそこです。是が非でも結果を出すのが短期決戦。結果が出なくても勝てばいいのが短期決戦です。だからWBCもそうでしたよ。

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