連載:プロ野球敏腕スカウトの評価 ドラフト直前にここまで話す!

吉田輝星、根尾昂らドラ1候補の実力は? 広島&楽天の“現役”スカウトが見抜く

瀬川ふみ子

左から根尾昂、吉田輝星、藤原恭大。注目のドラフト候補を敏腕スカウトが評価 【Getty Images】

 ドラフト会議が始まって54年、平成最後…第54回ドラフト会議に向け、いよいよカウントダウンが始まった。
 一番の主役は、第100回甲子園大会を熱く盛り上げた高校生選手たち。史上初、二度目の春夏連覇を成し遂げた大阪桐蔭高の根尾昂、藤原恭大、その二人に匹敵する力を持つ小園海斗(報徳学園高)。そして、第100回大会に彗星のごとく現れた吉田輝星(金足農高)も、大学進学から一転、10月10日、ついにプロ志望届を提出。舞台に上がったことで、よりドラフト戦線は面白くなった。
 大学生からは東洋大の梅津晃大、甲斐野央、上茶谷大河の150キロトリオ、そして松本航(日本体育大)を含めた4投手に、野手では大学日本代表の主将を務めた辰己涼介(立命館大)、右の大砲、中山翔太(法政大)と頓宮裕真(亜細亜大)に視線が集まる。
 そんな逸材たちを、NPBのスカウトたちはどう見ているのだろうか! ドラフト会議が目前に迫った今、“敏腕”で鳴らす二人のスカウトを直撃した。
 一人は広島東洋カープの苑田聡彦氏。かつては江藤智、金本知憲、黒田博樹、大竹寛、永川勝浩らを発掘。近年も、高校時代は投手だった丸佳浩や鈴木誠也を野手として獲得して一流の選手に押し上げるなど、選手を見る目は超がつくほど一流。野村祐輔、大瀬良大地、菊池涼介、田中広輔など、今のカープ黄金期を作り上げたのは、苑田氏の“眼”であると言っても過言ではない。

 もう一人は、東北楽天ゴールデンイーグルスの後関昌彦氏。近鉄バファローズのスカウトを経て楽天のスカウトに。これまで、永井怜、美馬学、松井裕樹、藤平尚真、オコエ瑠偉、田中和基、高梨雄平などを獲得してきた。後関氏のすごさは、アマチュア時代にそこまで騒がれていない選手であっても、いいと思えば何度も足を運んで獲得し、その選手たちがプロで御眼鏡通り結果を出しているところ。こちらも、“眼力”に優れたスカウトとして、一目置かれている。

 そんな二人が今年のドラフト候補たちを鋭く評価。敏腕な二人だが、見方が重なるところもあれば、まったく違うところもあり、面白さは倍増する。ホンモノを見る力にあふれた二人の言葉に、とくと触れていただきたい。

両スカウト絶賛の選手がいれば、評価の異なる選手も

運命のドラフト会議は25日、注目選手たちの行方やいかに!? 写真は昨年のドラフト会議 【写真は共同】

 高校生投手で名前が真っ先に挙がるのは、やはり吉田輝星。「2ケタ勝てる投手になる」(苑田スカウト)。「高校生ですでに完成形」(後関スカウト)と最上級の評価だ。次に名前を挙げたのは、両スカウトともに渡邉勇太朗(浦和学院高)。苑田スカウトが「大物感が漂う」と言えば、後関スカウトも「大谷翔平投手(ロサンゼルス・エンゼルス)にも近いイメージ」と素材を絶賛する。高校生野手ではやはり藤原恭大、根尾昂、小園海斗の3人。スカウト歴約40年の苑田スカウトから藤原に対して「今までにいない高校生。スカウトとして惚れている」という絶賛評価。後関スカウトは小園に対し「期待度は今ドラフト中で一番高い」と話す。一方で、注目の根尾に関しては、両スカウトで見方が異なる点も面白い。

 大学生ではやはり東洋大の梅津晃大、甲斐野央、上茶谷大河の3投手。両スカウトともに、東都リーグ戦でまだ1勝もしていない(※取材時点。その後10月18日に初勝利)梅津を「一押し」しているのが面白い。野手では辰己涼介が高い評価。どの球団も欲しいであろう右の大砲では、中山翔太と頓宮裕真の名前が挙がる。

 社会人選手で苑田スカウトが目の色を変えたのは、笹川晃平(東京ガス)。浦和学院高〜東洋大時代を通じて見てきたベテランスカウトが「これならプロでもレギュラーを取れる」と、ついにお墨付き評価をつけた。さぁ、今ドラフトの目玉選手たちはどこの球団に指名されるのか、これをじっくり読んで25日を待とう!

(企画構成:スリーライト)

配信スケジュール(スポーツナビ公式アプリ)

第1回【高校生投手】 配信中
「ベテランスカウトも大絶賛 吉田輝星は甲子園に続きプロでも輝く予感」
第2回【高校生野手】 10月21日(日)〜
「藤原恭大と小園海斗は即戦力 根尾昂はとてつもない選手になる可能性が」
第3回【大学生投手】 10月22日(月)〜
「一番人気は東都1勝の梅津 甲斐野、松本、上茶谷、清水らが次ぐ」
第4回【大学生野手】 10月23日(火)〜
「高いレベルの即戦力・辰己 右の大砲・中山&頓宮のパワーに熱視線」
第5回【社会人投手&野手】 10月24日(水)〜
「即戦力として期待 笹川晃平にはレギュラーを取れる力がある」
2018年 プロ野球ドラフト会議 10月25日(木)開催

スカウトプロフィール

【スリーライト】

苑田聡彦(そのだ・としひこ)(写真左)
1945年2月23日(73歳)、福岡県出身。三池工業高〜広島カープ。173センチと小柄ながら、どこでも守れるユーティリティーとして活躍。現役14年を終えて引退後はスカウトに転身。主に東日本を担当。2006年からはスカウト部長に就任。

後関昌彦(ごせき・まさひこ)(写真右)
1963年8月5日(55歳)、千葉県出身。習志野高〜ヤクルトスワローズ〜近鉄バファローズ。左打ちの強打者として実働8年間活躍。現役引退後は近鉄のスカウトを経て、現在は東北楽天ゴールデンイーグルスのスカウトを務める。
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