モレイラで「まず崩れない」アエロリット 日本人騎手の逆転は?毎日王冠記者座談会

競馬専門紙「優馬」

競馬専門紙「優馬」トラックマン座談会

 3日間開催の今週は東西で秋のGIを占う重要なステップレースが組まれた。日曜東京では、活きのいい3歳勢と実績ある古馬勢が激突する毎日王冠。「伝説のGII」と呼ばれるような名勝負を生んできた同レースだが、優馬TM(トラックマン)陣は各馬をどうジャッジするか。

馬体が充実しての好仕上り 鞍上も魅力のアエロリット

人気の中心になりそうな4歳牝馬のアエロリット(撮影:日刊ゲンダイ) 【(C)競馬専門紙「優馬」】

デスク「有力馬がそろって秋緒戦となる一戦だが、ここは春の戦いぶりからアエロリットが人気の中心となりそうだな」

武井「勝ち鞍こそ昨年夏のクイーンS以降遠ざかっていますが、今年の春の3戦はいずれも地力強化を感じさせるものでしたね。中山記念は直線で脱落しかけながらも狭いところを割って盛り返しての2着で、ヴィクトリアマイルは4着ながらもコンマ1秒差。そして前走の安田記念は自己ベストを1秒以上も更新する時計でのクビ差2着と、馬任せだった3歳時のレースぶりから精神面での成長がうかがえる上に、馬体も増えてパワーアップした感を受けましたよ。メンコを外して好時計をマークした最終追いからも更なる成長が見込めますし、ここは不動の軸馬と判断しました」

馬場「そのヴィクトリアマイルも安田記念も、ともに道中で落鉄しながら、あのパフォーマンスですからね。今回は鞍上にもモレイラ騎手を迎えたのであれば、鬼に金棒ですよ」

大江原「同じGIIでも中山記念の方が、今回よりも相手のレベルが高いと思えるし、このメンバーなら実績上位は明らかだよ。鉄砲実績や東京のコース相性も文句がないからな」

山崎「毎日王冠はスローの決め手勝負になることが多く、上がり32秒台の脚が要求される形になりやすいんですよね。そういう決め手比べになると、アエロリットには分が悪そうですし、鞍上も加味して人気になるのなら、不安も覚えるんですが」

佐藤直「まぁ、ザキヤマの言う通り、瞬発力勝負になりやすいレースなんだけど、モレイラならこの馬のスピードを余すことなく引き出してくれるはずだぞ。今がまさに充実期と言える馬体からも、逆らえないと思うよ」

デスク「あとは順調に夏を越せたかどうか。昨年はクイーンSからの始動だったけど、今年はそれよりも長い4カ月ぶりとなるわけだからな」

小桧山「菊沢師によると“昨年は目標の秋華賞から逆算しての始動だったけど、今年は得意の左回りを意識してここから。もちろん順調に夏を越せたし、馬体も成長してパワーアップしている”とのこと。アエロリットに不安があるとすれば、大きく出遅れたり、相手のペースに合わせる競馬になったりするケースで、気分良く自分のペースで運べるならまず崩れないと見ていいし、そういうレース運びのできる鞍上なら死角もないだろうな」

小野智「私は、初の古馬との手合わせでもステルヴィオで勝負になると見ています。唯一崩れたダービーは、外枠から4コーナーでも大外。むしろ8着まで追い上げたのが能力だと思いますし、そこでコンマ2秒差の5着だったブラストワンピースが新潟記念で古馬を一蹴したことからも、ここで足りる計算は成り立ちます。2戦2勝と滅法得意な1800mに替わるのも魅力ですね」

久光ステルヴィオは、2歳時のパフォーマンスがとにかく高かった馬ですが、激しい母の気性もよく受け継いでいる馬で、当時から距離が延びるクラシック戦線では厳しいと思っていたんですよ。それでもスプリングSで後の皐月賞馬を差し切ったあたりはポテンシャルの高さゆえで、1600〜1800mが最も走れる条件というマイジャッジからも、ここは当然食指が動きます。今までの休み明けと同じ調整パターンというのも、それだけ体調も万全ということではないでしょうか」

西田「陣営もダービーの敗戦については“距離自体はこなせたが、外目の枠とゲートも遅かったことは、スローな展開では厳しかった”と、力負けではないことを強調してました。こちらも夏を越して馬体も増えていて“体に厚みが出てボリュームアップ。動きもパワフルになってきた”のなら、いい休養になったと言えるでしょう。私も、いい形で秋緒戦を飾れると信じてますよ」

板子「僕は、今回と同舞台のエプソムCで待望の重賞初制覇を成し遂げたサトノアーサーに期待します。以前は素質の高さだけで走ることが多く、気性面の課題が残っていましたが、経験を積むにつれて着実にレース内容は良くなってきました。皐月賞馬アルアインとも差のない競馬を演じた実績を考えれば、この相手でも能力は十分に通用するはずですし、直前の調教の動きも良く、立ち回り方ひとつだと思いますね」

那谷「とにかく折り合いが難しくて極端な競馬しかできなかった3歳時と比べても、好位差しで結果を出したエプソムCは成長を示す内容だったよな。近年の毎日王冠では、同じ舞台のエプソムSとの関連が深くなっているし、これまた“前哨戦としては満足のいく仕上り”なら、狙って損はないよ」

小野智「戸崎圭騎手は“台風で大雨が降って、エプソムCの時のような馬場になればチャンスも広がると思ってましたが、ちょっと北の方にそれちゃいましたからね(笑)”と。それでも“力のある馬ですし舞台設定もいいので、極端な時計勝負にならなければ”と、意気込みを語ってましたよ」

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競馬専門紙「優馬」のスペシャル競馬サイト。トレセンや競馬場という現場で記者やトラックマン達が仕入れてきた生情報を元に、予想記事やコラム記事を掲載しています。さらに、競馬ファンのニーズに対しダイレクトに応えていくようなコンテンツも展開。

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