“ゴロフキン絶対の時代”が終焉
歴史を動かしたカネロ、村田との対戦は!?

カネロが実力を証明「私の明白な勝利だ」

カネロ(中央)がゴロフキンに判定勝ち。常に真価を疑問視されてきたメキシカン・スターが実力を証明した
カネロ(中央)がゴロフキンに判定勝ち。常に真価を疑問視されてきたメキシカン・スターが実力を証明した【写真:USA TODAY Sports/アフロ】

“因縁に完全決着”とは言えないまでも、これまで真価に常に疑問が呈されてきたメキシカン・スターは実力を証明したと言って良いのだろう。


 現地時間9月15日、ラスベガスのT−モバイルアリーナで行われたWBAスーパー、WBC世界ミドル級タイトルマッチで、挑戦者サウル・“カネロ”・アルバレス(メキシコ)が王者ゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン)に2−0(115−113が2人、114−114が1人)の判定勝ち。疑問の残るドローに終わった第1戦から約1年が過ぎ、2万1965人のファンの前で勝利者コールを受けたのはカネロの方だった。


「すごい試合ができて満足している。私の明白な勝利だ」


 試合後のリングで発したカネロの言葉に、納得しないファン、関係者は依然として存在するのかもしれない。『ESPN.com』、『Yahoo! Sports』、『LAタイムズ』といった主要な地元メディアは軒並みドローと採点しており、手数で勝ったゴロフキンの勝利と主張した記者も決して少なくなかった。パンチの合計ヒット数も王者が上回っていただけに、ゴロフキン支持者の意見にも耳を貸すべき余地はある。


 ただ……記者席の2列目でこのファイトを見た筆者の目にも、今回はカネロがやや優勢に映った。ゴロフキンの得意のジャブに支配されず、機を見てシャープなカウンターをヒット。特に左ボディーブローが効果的で、プレッシャーのかけ方のうまさで知られるゴロフキンを後ろに下がらせた。スタミナ不足から中盤以降のパンチには力がなかった第1戦とは一線を画し、今戦のカネロのカウンターには最後までゴロフキンをたじろがせるだけの強さがあった。

キャリア最大の勝利、晴れて次のステップへ

キャリア最大の勝利を手にしたカネロ(左)は、晴れて次のステップへ踏み出す
キャリア最大の勝利を手にしたカネロ(左)は、晴れて次のステップへ踏み出す【写真:USA TODAY Sports/アフロ】

 28歳の挑戦者にとって、この試合はキャリアの評価が左右される文字通りの大一番だった。昨年9月の第1戦は多くの視聴者から“事実上の負け”と断定された上に、今年5月のリマッチの前には禁止薬物使用が発覚。カネロ側はメキシコで食べた汚染肉の影響と主張し、PED(運動能力強化)目的は否定したが、疑惑の声は消えなかった。VADA(ボランティアのアンチ・ドーピング機構)の厳格な検査を受けた上で臨んだ再戦で惨敗していれば、これまでのキャリア全般に疑問が呈されても仕方がなかったはずだ。


 しかし、迎えたリマッチで後ろに下がったのも、中盤ラウンドでのガス欠を感じさせたのもゴロフキンの方だった。もちろん疑惑の目は完全に消えないとしても、今後のカネロは「VADAの検査を受けた上でゴロフキンに勝った」と常に堂々と主張できる。献身的なメキシカンのファンも、母国のアイドルを再び“チャンプ”と呼ぶことができる。ここでキャリア最大の勝利を手にし、カネロは晴れて次のステップを踏み出すことができるのだろう。

杉浦大介
杉浦大介

東京都生まれ。日本で大学卒業と同時に渡米し、ニューヨークでフリーライターに。現在はボクシング、MLB、NBA、NFLなどを題材に執筆活動中。『スラッガー』『ダンクシュート』『アメリカンフットボール・マガジン』『ボクシングマガジン』『日本経済新聞・電子版』など、雑誌やホームページに寄稿している。2014年10月20日に「日本人投手黄金時代 メジャーリーグにおける真の評価」(KKベストセラーズ)を上梓。Twitterは(http://twitter.com/daisukesugiura)

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