上々の米国デビューを飾った井岡一翔 強さ証明でSフライ級戦線の中心選手に

杉浦大介

「Superfly」シリーズ第3弾で米国デビュー戦を判定勝利で飾った井岡一翔(右) 【Getty Images】

 上々の米国デビューと言って良いのだろう。

 現地時間9月8日(以下同)、プロボクシングの3階級制覇王者の井岡一翔(SANKYO)はカリフォルニア州イングルウッドのザ・フォーラムで行われた「Superfly」シリーズの第3回に初登場。実力者のマックウィリアムズ・アローヨ(プエルトリコ)に3−0の判定勝ちを収め、スーパーフライ級制覇に向けての第一歩を、大きく踏み出した。

主導権を掌握し3回にダウンも奪う

「この場所でできる幸せを感じながら、またその中で(戦う)準備もしてきた。楽しみながらという気持ちを持ってリングに上がりました」

 試合後にそう振り返った通り、序盤から井岡の戦いぶりには強い決意が感じられた。開始ゴング直後から小刻みなジャブと切れ味鋭い左ボディで主導権を掌握。3回には相手のパワフルな左右のアッパーを浴びてやや守勢になったかと思いきや、このラウンド終了間際に大きな見せ場を作った。

 シャープな打ち合いの中で、アローヨがパンチを出しかけたところで見事なワンツーを顎にクリーンヒット。豊富な実績を誇る32歳のプエルトリカンは思わず腰から崩れ落ち、鮮やかなダウンシーンに場内は沸いた。

「理想はあのパンチが入ってダウンを取って、まとめたかった。(ただ、ラウンド終了のゴングが)鳴ったし、相手もまだ意識はしっかりしていた。ダウンで相手も危機感を持って盛り返してきたので、本当に厳しい試合になりました」

 実際にアローヨはそれ以降に反撃してきたが、井岡の旺盛な手数も最後まで衰えなかった。5回には左ボディで、9回には左フックでダメージを与える見せ場を作った。2度目のダウンを奪うことこそかなわなかったが、判定は文句なし。テクニカルでハイレベルな攻防の末、29歳の“ジャパニーズ・サムライ”は見事に米国での初陣を飾ったのだった。

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著者プロフィール

東京都生まれ。日本で大学卒業と同時に渡米し、ニューヨークでフリーライターに。現在はボクシング、MLB、NBA、NFLなどを題材に執筆活動中。『スラッガー』『ダンクシュート』『アメリカンフットボール・マガジン』『ボクシングマガジン』『日本経済新聞・電子版』など、雑誌やホームページに寄稿している。2014年10月20日に「日本人投手黄金時代 メジャーリーグにおける真の評価」(KKベストセラーズ)を上梓。Twitterは(http://twitter.com/daisukesugiura)

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