吉田輝星をドラ1候補へ押し上げた投球術 韓国相手に手痛い一発も収穫有り
初球148キロも…4番に3ラン
韓国打線を6回2安打に抑えた吉田だが、立ち上がりの一発に泣いた 【写真は共同】
18時3分、サンマリンスタジアム宮崎を埋めた1万2千人の観客から拍手を浴びる中で、今夏の甲子園で主役だった吉田輝星(金足農)が大会初のマウンドに上がった。大事な一戦の先発を告げられて、「よっしゃあという気持ちだった」と気合十分。「完投はないと思ったので全力で飛ばそう」と、初球のストレートがいきなり148キロを記録して球場も大きくどよめいた。
先頭打者をサードゴロに打ち取り、出だし快調かと思われた。しかし、2番打者に10球粘られて四球を与えると、3番打者はスライダーでショートゴロに打ち取るも、名手・小園海斗(報徳学園)がボールをはじくエラー。続く4番の初球、「軽率だった」とカウントを取りにいったスライダーをレフトスタンドへ運ばれた。
ストレート粘られ変化球を多投
2回以降の踏ん張りは、変化球の使い方にあった。当初はストレートで押して変化球というコンビネーションを考えていたものの、ストレートが粘られていたことと、打者が踏み込んでくるのを見て、インコースへ斜め軌道のツーシームを多投した。「ホームランを打たれたので横変化からタテ変化に変えた。思った以上にタテに落ちた」というスライダーやフォークも駆使。初回は28球中17球がストレートだったが、2回以降は5割以上が変化球だった。
「勢いのなかった」ストレートにも工夫
また、走者を出したあとのセットポジションでも韓国を翻弄。一塁走者を顔だけで牽制し、クイックでホームへ投球。韓国走者がだまされて思わず一塁に戻ってしまうシーンがたびたびあった。今夏の甲子園でも投げるだけではなくピッチャーとしての総合力に高評価を得て、ドラフト1位候補へ浮上した吉田のテクニックが光った。
「次は絶対抑えたい」とリベンジ誓う
この日、イニング間の投球練習で抜けていたため「怖くて使えなかった」カーブも調整次第では今後の有効な武器になる。「空振りが取れた」と手応えを感じた同じ軌道で変化の違うツーシームやフォークを使い分け、ストレートも140キロから150キロ前後で強弱をつけ、カーブでさらなる緩急をつけられれば、この日以上のピッチングが期待できる。
決勝で再び韓国と対戦する可能性を問われた吉田。「絶対投げて次は絶対抑えたい」と力強くリベンジを誓った。
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