世界選手権ではローテーションに注目 山本隆弘が語る男子バレーの見方<後編>
山本隆弘さんが語る「男子バレーの見方」。後編はローテーションについて 【写真:坂本清】
バレーボールではサーブ権を得たチームの選手たちは時計回りにポジションを回っている。各ローテーションをセッターの位置を基準にS1〜S6と呼び、それぞれに長所と短所がある。各ローテーションでどんな駆け引きが行われているのかを知ると、バレーボールの見方がさらに広がるはずだ。
日本がS1ローテを苦手にしている理由
ネーションズリーグのデータ。日本はトップ8平均と比べると、S1ローテの数字が明らかに低い 【提供:日本バレーボール協会】
まずサイドアウトですが、セッターのサーブから始まるS1の数字が日本は低い。これは「ミドルが使えない」ということと同じく、日本男子バレーにとって長年の課題でもあります。僕もそうなのでこの状況はよく分かるのですが、左利きのオポジットにとってレフトからの攻撃というのは非常に難しい。セッターがライトに近い位置にいるので、そこからレフトに上げられるトスを右目で見ながら攻撃に入り、本来ならばアンテナか、それよりも外側に来るトスを打ちたいのですが、なかなかそこまで待てるトスが来ない。そうなると、打てるコースが限られ、相手ブロッカーの正面に打ちつけてしまうことも少なくない。そうなるとセッターの中では左利きのオポジットのレフトからの攻撃は、優先順位が少し低くなります。
日本のS1ローテ(古賀は山内のポジションに入る)。オポジットの西田は左利き 【スポーツナビ】
S6ローテは4枚攻撃をつくりやすい
日本のS6ローテ(古賀は山内と代わって後衛中央に入る)。この時は李と福澤の間をサーブで狙われやすい 【スポーツナビ】
当然相手もそんな有利な状況にはさせたくない。そうすればサーブで最低1枚、もしくは2枚の攻撃をつぶそうとしてきます。S6ローテで狙われるのは福澤選手と李選手の間に打たれるサーブです。福澤選手が前に倒されるような状況になったり、李選手が後ろに下げられると李選手が助走に入ることができず、福澤選手も攻撃に入れない。そうなれば相手はブロックの枚数をレフトに絞ることができます。日本が連続失点を喫するのはこのような状況です。
S5ローテは柳田が狙われやすい
日本のS5ローテ(古賀は李のポジションに入る)。この時は柳田がサーブで狙われやすい 【スポーツナビ】