大谷翔平がU18侍Jの勝利に貢献!? プロ注目右腕・渡邉勇太朗、好投の裏側

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大谷の映像でイメージトレーニング

スリランカ戦で先発した“大谷二世”と異名を持つ190センチ右腕・渡邉。3回無安打の好投を見せた 【写真は共同】

 2大会連続6度目のアジア一を目指すU18侍ジャパンは4日、サンマリンスタジアム宮崎で「第12回 BFA U18アジア選手権」1次ラウンドA組2戦目のスリランカ戦に15対0、6回コールドで勝利。2連勝とし、各組の1位と2位で戦うスーパーラウンドへの進出を決めた。日本は渡邉勇太朗(浦和学院3年)、山田龍聖(高岡商3年)、奥川恭伸(星稜2年)の3投手の継投でノーヒットノーランを達成した。

 2戦目の先発は190センチの長身右腕・渡邉が務めた。今夏の甲子園では金足農・吉田輝星が一躍スターへ駆け上がったが、その裏で渡邉も大きく評価を上げた選手の1人。3年春は右ひじ痛で出遅れたが、夏の南埼玉大会ではエース級の活躍で、浦和学院を5年ぶりの甲子園に導いた。甲子園でも最速149キロのストレートを武器に、準々決勝の大阪桐蔭戦こそ打ち込まれたものの、3回戦の二松学舎大付戦で10奪三振、完封勝利を挙げるなど16回連続無失点を記録した。長い手足を生かし、左足の上げ方や体重移動などエンゼルス大谷翔平を参考にした柔らかい投球フォームから力強いストレートを投げ込むスケールの大きさに、ついた異名は“大谷二世”。一躍ドラフト上位候補へのし上がり、U18侍ジャパンにも選出された。

 8月28日の大学日本代表との壮行試合では1回3分の1を投げて5安打、1四球、3失点と今ひとつの結果に終わっていた。悪いイメージを払拭するべく“大谷二世”が頼ったのは本家・大谷だった。浦和学院では登板前日には自分の良かったときのピッチングのビデオを見てイメージトレーニングをしていたという。この日の午前中は、大谷が登板した日本時間4月9日のアスレチックス戦をユーチューブでチェック。この試合は大谷が5回までノーヒットに抑えて、結果7回1安打無失点、12奪三振で2勝目を挙げている。「奪三振シーンばかり見た」といいイメージをふくらませて、野球人生初の国際試合となるマウンドへ向かった。

8割ストレート中心の組み立て

 結果は3イニングを投げて、6奪三振、1四球、無失点。ヒットを1本も許さなかった。初回の先頭打者にストレートを5球ファウルされるなど9球を要したことに、「初回ストレートに粘られたので少し驚いた」というものの、「相手打線が振れていなかったので、自分のストレートの威力だったら大丈夫」とストレート中心の組み立て。最速145キロを記録したストレートを全40球中32球投じた。一方で、ストレートを粘られたことで追い込んでからはスライダーを多投。スライダーで空振り三振を4つ奪っている。

 永田裕治監督が「出だしが悪い。途中からエンジンがかかってくるんだけど…」と手放しでは褒めず、渡邉も「ボール球が多かったし、四球も出してしまったことは課題」と満面の笑顔とはいかなかった。ただ、「いいイメージを持ちたかった」と大谷の映像を見たことが奏功し、「ヒットを打たれなかったことと三振を多く取れたのは良かった」と、チェックした動画と同じような内容に手応えも感じていた。

 今後の進路に関してはまだ未定としながらも、「将来プロで行けるのであれば日本代表は目指したい場所なのでこれからにつなげたい。こういう経験はなかなかできないので、ムダにしないようにしたい」と語る渡邉。「状態は悪くない。これからもチームを勝ちに導くピッチングをしたい」と宮崎の地で貪欲に成長を続ける逸材が、日本をアジア一へ導く。
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