根尾昂、本塁打にサイクル安打と大暴れ 国際大会の理想的バッティングを披露

スポーツナビ

U18アジア選手権の初戦・香港戦でサイクル安打を達成した根尾 【写真は共同】

 2大会連続6度目のアジア一を目指して、100回目となった夏の甲子園を彩ったスターたちが集結したU18侍ジャパンが出場する「第12回 BFA U18アジア選手権」が3日、宮崎で開幕した。U18侍ジャパンは1次ラウンド初戦の香港戦に26対0(5回コールド)と快勝し、白星スタートとなった。

 ことしのプロ野球ドラフト会議1位候補の根尾昂(大阪桐蔭)が「5番・ライト」で5打数5安打1本塁打5打点。「野球人生で記憶にない」サイクル安打に、「試合では初めて」という木製バットでの本塁打の大暴れ。この結果には、永田裕治監督も「引っ張らず反対方向へ引きつけて打てるのはさすが」と高く評価した。

「甘いボールを1球で仕留める」

 初回、U18侍ジャパンの攻撃は1番・小園海斗(報徳学園)はサードファウルフライ、今夏の高校野球地方大会打率8割超えとミートのうまい2番・奈良間大己(常葉大菊川)はバットを折られるサードゴロ、3番・中川卓也(大阪桐蔭)はショートフライに終わった。

 この3者凡退の中で、「ファーストストライクを見ているところがあった」と感じた根尾。2回無死一塁の第1打席、「甘いボールを1球で仕留めるつもりで打つ」と初球の外角高めの甘く入ってきたストレートをしっかりと引きつけて逆方向へ打った。サード横を抜けて鋭い打球が一気にレフト線を抜ける三塁打に。

 第2打席は初球、内角ストレートを振りぬくと、打球はライトスタンドへ飛び込む本塁打。「思ったより飛ばなかった」と納得がいっていないようだったが、「金属とは全然感触が違う」と木製ならではの手応えは感じたようだ。

 第3打席も初球を打ってセンターへ抜けるヒットと、3球3スイングでサイクル安打に王手。「サイクル安打は頭にありました」という第4打席にはフルカウントから真ん中高めのストレートをレフトへはじき返し、レフトが深く守っているのを見て一気に二塁を陥れて、サイクル安打を達成した。

 ちなみに第5打席も初球、外角高めのストレートを打ってレフトオーバーのツーベースだった。

「これで満足していてはダメ」

 都合5打席ですべてストライクゾーンに来るボールはスイング。そして第2打席の本塁打を打った内角以外、真ん中から外角のボールはすべて逆方向へ打ち返した。香港の先発はストレートでも105キロ前後。なかなか遅いボールを引き付けて打つことも難しいが、「大阪桐蔭では遅いボールを打つ練習もずっとやっている」とタイミングを崩されることなく、しっかり自分のバッティングを披露した。

「甘いボールは積極的に打っていく」「甘いボールを1球で仕留める」「大振りせずに引きつけて逆方向に打つ」は国際大会のセオリーでもある。国際大会では審判も外国人が務めるため、普段の日本のストライクゾーンで考えると思いもよらぬボールがストライクとなることもある。打てるボールは積極的に振りにいき、1球でヒットにすることが理想だが、それを見事に実践してみせた。

「5本打って満足しているようではダメ。もっと打てると思っている」と本人は振り返ったが、サンマリンスタジアムに詰め掛けた3200人のファンは根尾の快打に大きな歓声を上げた。初回の味方の打席を見て考えを整理する対応力、緩いボールを鋭い回転で遠くへ飛ばす身体能力の高さ、相手の守備のポジションをしっかりと確認する準備、スキがあったら二塁を陥れるスピード――根尾の良さが随所に現れた一戦だった。まだアジア選手権で連覇をしているチームはないが、初の連覇へ向けて、U18侍ジャパンのキーマンが最高のスタートを切った。
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