ブラスト大竹師が記者質問に苦笑いのワケ 秋の飛躍期す馬が揃った新潟記念の座談会

競馬専門紙「優馬」

競馬専門紙「優馬」トラックマン座談会

 新潟競馬場ではサマー2000シリーズの最終戦・新潟記念が行われるが、メンバーを見渡すと、夏総決算というより、秋にビッグタイトルを目指す馬たちの“小手調べ”という様相を呈している。久々の馬も多いこのレース、TM(トラックマン)陣が徹底取材で有力馬の状態を解き明かす。

データは不利の3歳馬だが 本紙武井はブラストワンピースに◎

ダービー5着のブラストワンピースがここから始動(撮影:日刊ゲンダイ) 【(C)競馬専門紙「優馬」】

デスク「サマー2000シリーズの最終戦として、王者の行方も気になる一戦だけど、今年はその条件である“1勝かつ13点以上”を満たしている馬がいない上に、ここで唯一可能性を残しているメドウラークも5着以内に入らないとダメなんだ。今年のメンバーを考えても、夏の集大成ではなく、ここから秋への飛躍を期す馬の戦いと見ていいんだろうな」

武井「そうですね。中でも一番の注目は3歳馬ブラストワンピースでしょう。毎日杯で2馬身の差を付けたギベオンがNHKマイルCで2着。そのNHKマイルCの5着馬が、古馬相手に先の関屋記念を快勝したことを思えば、古馬相手でもGIIIレベルなら上位の力があることは確かです。唯一の敗戦となったダービーも、出負けして前半に脚を使い、直線でも前を捌くのに手間取るロスがあってのコンマ2秒差ですから、世代トップクラスの力は示す内容だったと思います」

守屋「そのダービーについて大竹師に振り返ってもらうと“あまり思い出したくないなぁ”と苦笑しながらも“勝ち馬のポジションが理想だったんだが、出負けして最初のコーナーでもゴチャついて思い通りの位置を取れなかったからね。かなりのスローペースで動くに動けない形だったし、直線入り口や直線に入っても窮屈で、満足に追えなかったから”と、まだ悔しさが残っているようでしたね」

デスク「今回は、以来の3ヶ月ぶりで、仕上りも鍵になると思うけど」

武井「外厩で乗り込まれてきたのはいつも通りですが、美浦に帰厩してすぐに6ハロンから時計を出せたように、今までよりもキッチリ仕上げてきた感を受けますね」

守屋「8月10日に帰厩してからは、いつも通り坂路とチップで追い、当該週は半マイルから、その前は長目からというのもこれまで通り。入厩から3週間あまりで使うのも、過去3戦とほぼ同じなので、暑い夏場でも順調にこれていると思いますね。“水曜の調教後に534キロ。輸送で少し減らすタイプなので、ダービー時より馬体重は絞れるハズ。動きもいいよ”と追い切りを見守ったあとの師の口調も滑らかでしたよ。この新潟記念は3歳馬劣勢のデータもありますが、同じく3歳馬苦戦の関屋記念で3歳牝馬プリモシーンが快勝し、ハンデも年齢の定量である54キロでおさまったのも個人的には恵まれたと思います。ダービーでも◎を打ったブラストワンピースに、ここでももう一度本命を託したいですね」

久光「そのハンデについては、僕はグリュイエールの55キロがかなり恵まれた印象を受けますね。屈腱炎で長期離脱をしていた馬ですが、近走の充実ぶりを見る限り、以前の気の悪さが解消し、逆に良い休養になったと言えるでしょう。2年ぶりのブランクをものともしなかった2走前、そして前走も不向きな馬場ながら上位2頭よりも早目の動き出しで踏ん張った内容は強かったですし、左回り、2000mともに戦歴からもベストの条件ですからね」

伊利「今回も馬場は気になるところですが、新潟は日本一の水捌けの良さを誇るコースですし、週末の天気も回復傾向にありますから、能力発揮に支障はないと思います」

佐藤直グリュイエールは、もちろんここ2走も強かったんだけど、もっと強かったのが3走前の名古屋城ステークスだよ。ここはその当時の状態にあるかどうかがポイントだと思うが、パワフルだった今週の動きを見ると、それ以上のデキと見ていいだろう。もうひとつのポイントとなる初コースについても、ディープ×ミスプロ系牝馬の配合はこの新潟外回り2000mに段トツの適性があるからな」

小野智「この馬には久々の騎乗となる戸崎圭騎手は“新潟外回りはあまり得意とは思えないので、どう乗るかです”という印象を持っているようですが、“先週乗ってきましたが、以前より馬がしっかりして成長を感じましたね”と、好感触をアピールしてましたね」

西田「とはいえ、古馬とは初対決になる馬や重賞未勝利馬の潜在能力を買うよりも、私は現に力を示してきているセダブリランテスに魅力を感じますね。何より2000m以下の距離では4戦無敗と底を見せていませんし、ここを目標に入念に乗り込まれてきた点でも態勢は整っていると見ます。トップハンデの57.5キロは厳しいかもしれませんが、先行力と粘り強さを存分に生かせる新潟外回りなら、まず崩れるシーンは考えにくいと思います」

大江原「13着までがコンマ6秒差だった前走の中山金杯の勝利からも、とにかくレース運びが上手で状況に応じた競馬ができるのは大きな強みだよ。今回は骨折明けになるけど、“早くからここを目標にしてきた”と手塚師も言うだけあって、申し分のない状態。前向きな気性でポン駆けが利くタイプだし、鉄砲実績も見ての通りなら久々を割り引く必要は、全くないぞ。使い込めずに出世こそ遅れているが、同世代ではトップクラスの資質を持つのは間違いないし、ここをステップに秋の大きな舞台で活躍が期待できるんじゃないかな」

1/2ページ

著者プロフィール

競馬専門紙「優馬」のスペシャル競馬サイト。トレセンや競馬場という現場で記者やトラックマン達が仕入れてきた生情報を元に、予想記事やコラム記事を掲載しています。さらに、競馬ファンのニーズに対しダイレクトに応えていくようなコンテンツも展開。

新着記事

編集部ピックアップ

竹田麗央が初の首位発進 2週連続優勝へ「…

ゴルフダイジェスト・オンライン(GDO)

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント