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豊川の元気は低迷するチームのエネルギー
マケレレ監督から献身的なプレーを学ぶ

「勝ち点ゼロ同士の対決」はオイペンが勝利

オイペンの豊川雄太がムスクロン戦に出場。今季初勝利に貢献した(写真は5月)
オイペンの豊川雄太がムスクロン戦に出場。今季初勝利に貢献した(写真は5月)【Francois Walschaerts/共同通信イメージズ】

 前週末は、ベルギーリーグの「勝ち点ゼロ同士の対決」ムスクロン対オイペン、そして「トッパー」と呼ばれるクラブ・ブルージュ対アンデルレヒトの頂上対決を見てきた。共に熱い試合になること間違いなしである。


 オイペンのクロード・マケレレ監督は、かなり危うい立場にいた。開幕から4連敗し、得失点差はマイナス11もあった。とりわけ守備が失点16(1試合あたり4点)と壊滅的だった。第3節のズルテ・ワレヘム戦を0−4と落とした後は、普段は温厚なオイペンのサポーターも、マケレレ監督にかなり詰め寄ったようだ。


 一方で、第4節のヘント戦後は、2−3と敗れてもホームスタジアムは温かな雰囲気に包まれていた。2−2で迎えた後半アディショナルタイム、「これはもう、勝ち点1でオッケーだな」というムードの中、VARによる判定でPKを取られ、惜敗した怒りの矛先はレフェリーに向けられ、チームには「まあ、今日の負けは仕方がない」と健闘をたたえる拍手が送られたのだ。どん底にいるチームにとって、案外、こういうちょっとしたことが起爆剤になるのかもしれない。


 結論から先に言うと、オイペンは1−0でサバイバルゲームを制した。最下位(16位)のチームは、これで順位を13位まで上げたばかりでなく、9位のズルテ・ワレヘム(勝ち点5)まで射程距離に置いた。豊川雄太は言う。


「勝ち点3を取るのはデカイなあ! 次、勝ったらけっこう上(の順位)にいけるじゃないですか。(次の対戦相手である)スタンダール相手に勝ち点1でもいいから取りたいですよね」

豊川のシュートが決勝ゴールにつながる

 29分に生まれたシェイク・ケイタの決勝ゴールは、豊川のシュートがGKに弾かれ、そのリバウンドを蹴り込んだものだった。ペナルティーエリアの中でボールを受けたとき、フリーだった豊川は蹴る前から「来たあ!」思ったらしい。


「決めたかった! 来た瞬間、『来たあ!』と思ったからダメだったんですよ。そういうときは絶対に入らない」


 前節のヘント戦で先制ゴールを決めたときは、豊川は無心でシュートを打っており、試合後はそのシーンのことを「何も考えないで打って、覚えていない」と言うほどだった。


「そのぐらいの方が入るんですよね。(昨季、チームを1部残留に導いた)ハットトリックの時もそうでした。(今日は)あれだけ余裕があると……。だけど、(味方がゴールを)決めてくれたからよかったです。あれを外していたら、俺がヤバかった。勝ってよかった」

豊川に満面の笑みを送るマケレレ

チームを率いるマケレレ監督。豊川の献身的なプレーには満足しているようだ
チームを率いるマケレレ監督。豊川の献身的なプレーには満足しているようだ【Getty Images】

 豊川の元気は、低迷するチームにとってエネルギーになっているのではないか。前半半ば、豊川が相手DFのボールを追い回すも、バランスを崩してピッチに倒れてしまい、ムスクロンのファンから笑われたシーンがあった。しかし、すぐさま豊川は立ち上がって再度追いかけ、ボールを奪い返してしまう。これは相手チームも嫌だろう。イライラしたのか、相手の選手は故意のファウルで豊川を止めた。


 豊川がプレッシングすると、2トップの相棒、ダビド・ポレが察して近寄り、ボールホルダーのタッチが甘くなるのを狙うようになった。GKまで追いかける豊川のチェイシングが戦術的に満点かというと違うが、マケレレ監督が試合後に豊川に送る満面の笑みを見ると、やはり豊川の献身的なプレーはチームの力になっているのだろう。


 相手の体に近付いて、足を伸ばしてボールを突っつくディフェンスや、体を潜り込ませてマイボールにする豊川の守備は効いている。何より相手が嫌だろう。


 背丈がそれほど変わらぬマケレレから日ごろ、豊川が学ぶことは何なのだろうか。


「あの人は手が長い。キープする時も手を相手にパーンと当てるんですよ。それで(相手の気配を)感じてる。そこが日本人と違うところだと思います」


 練習にマケレレ監督が加わることもあるのだろうか。


「いや、たまに『こうだぞ』って、やって見せてくれるんです。その時の手が、ものすごく長い。体の使い方もパーンってね。あの身長(168センチ)でレアル・マドリーとかチェルシーでつぶしてきた人だからぜんぜん違う。マケレレ監督のプレー集を見ていてもロナウジーニョを普通に止めていますしね」

中田徹
中田徹

1966年生まれ。転勤族だったため、住む先々の土地でサッカーを楽しむことが基本姿勢。86年ワールドカップ(W杯)メキシコ大会を23試合観戦したことでサッカー観を養い、市井(しせい)の立場から“日常の中のサッカー”を語り続けている。W杯やユーロ(欧州選手権)をはじめオランダリーグ、ベルギーリーグ、ドイツ・ブンデスリーガなどを現地取材、リポートしている

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