西日本豪雨を乗り越えて、広島のために 王座奪還を狙うJTサンダーズの思い

月刊バレーボール

「応援してくださる方々の活力となる試合をしたい」

猫田記念体育館にはファンからのメッセージがつづられている 【月刊バレーボール】

 今年7月、広島や岡山を中心に西日本豪雨が襲った。幸い、チームが所在する猫田記念体育館付近では大きな被害はなかったものの、未曾有の災害が広島各地に爪あとを残した。筧本の地元、江田島市も例外ではない。

「江田島は、のどかなところです。海上自衛隊の上官の学校があり、各地からエリートが集まるので、横浜のほうから来る転校生も珍しくない。僕の同級生にもいました。田舎町ですが、そうやって、さまざまな色が入っている地域なんです。

 今回の西日本豪雨において、僕の実家はどちらかといえば海側のほうだったので被害が比較的少なく、断水などでまだ済んだほうなのですが……。山側や友人の家など、大きな被害を受けたところもあります。勇退して広島に住んでいる選手の中にも、大変な思いをされた方もいますし、今もまだ大変な状況です。雨の予報になると、少し身構えてしまうところもあります」(筧本)

 広島を襲った被害に大きなショックを受ける中、何かできることはないかと、選手たちは大型ショッピングモールなどに出向いて義援金募集の活動に取り組んだ。筧本は、「僕自身は『元気づけたい』という言葉は上からのようであまり好きではないのですが」と話しながら続ける。

「僕たちは、まず練習や試合を見てもらうことが仕事であり、役割だと思います。応援してもらえるチームであり続け、『見に来てよかった』と思ってもらえる試合をしたい。もちろんそこで勝つことが大前提ですが、一球一球を必死に追いかけ、泥臭いプレーをすることで、見ている人が『また明日から頑張ろう』と思ってもらえるような、応援してくださる方々にとって活力になれるようなゲームをしたいと思っています」

新シーズンに狙うは2度目のリーグ優勝

若返りを図るチームの中で、活躍が期待される井上航 【月刊バレーボール】

 JTサンダーズは、昨シーズンのV・プレミアリーグを熱戦の末に3位で終えた。今年5月の黒鷲旗全日本男女選抜バレーボール大会では、長きに渡ってチームを支えた選手が多く勇退。王座奪還に燃える今シーズンは、「若く、才能あふれる選手たち」(ヴコヴィッチ監督)で戦いに挑む。

 その中でも活躍に期待がかかる選手の1人が、リベロの井上だ。今年、全日本にも初選出され、チームでは“気が付けばそこにいる”というキャッチフレーズがつけられるほど、鉄壁の守備力でチームを支える。井上も広島で生まれ育ち、高校はバレーの名門校・崇徳高(広島)出身だ。

 今シーズンを迎えるにあたり、「これだけすごい被害の中、同じ広島県でバレーボールをさせてもらえる僕たちはすごく恵まれていると思います。バレーボールを通して、被災された方に何か感じてもらえるプレーをしたい。『JTサンダーズ、頑張っているな』と思っていただければ、それが僕たちのモチベーションにもなりますし、今シーズンはそういう人たちの思いも1人1人が感じながら戦っていきたいと思います」と、決意を固める。

 新シーズンのV.LEAGUE開幕は、10月26日(金)。JTサンダーズは大田区総合体育館でサントリーサンバーズとの開幕戦を戦ったあと、11月3日(土)、4日(日)に呉市総合体育館にてホームゲームを迎える予定だ。

「サンフレッチェ広島(サッカー)もいい調子だと思いますし、プロ野球のカープもマジック点灯間近という状況なので。その勢いを僕たちもいただいて、しっかり高みを目指して、2回目のリーグ優勝を狙います。広島県民の方に応援してもらって、『見に来てよかった』と思ってもらえるように必死に戦います」(筧本)

 体育館を緑に染めるその日、選手たちのいっそう熱いプレーが見られることだろう。

(岡崎絵莉/月刊バレーボール)

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著者プロフィール

1947年創刊。バレーボールの専門誌として、その黎明期から今日まで、日本のバレーボールを取り上げ、その報道内容は、全日本、Vリーグはもちろん、小・中・高・大学生、ママさんまで、多岐に渡る。

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