投手・大谷の復帰はいつ? いよいよ実戦モードで最初のハードルへ

丹羽政善

8月18日(現地時間)、レンジャーズ戦の前にブルペンで投球練習をする大谷 【写真は共同】

 18日深夜(現地時間)――レンジャーズ対エンゼルス戦は試合開始が2時間26分も遅れ、間もなく日付が変わろうかというタイミングで飛び出した大谷翔平の13号3ラン。体を反るようにして、豪快なスイングでセンターへ運んだ一発は、敵地のファンから声を奪った。

 試合後、「前後の(配球の)組み立てとか、考える必要もなかったですし、来た球に対してしっかり強いスイングができればいいなと思っていた」と淡々と振り返った大谷だが、普段より声に張りがある。

 投手としての復帰が近い。自ら、「復帰に向けて、目処が立っている」とも話したが、大谷は明るい表情で続けた。

「投げられない時期に比べたら、キャッチボールもできるし、ブルペンでも投げられますし、すごい気持ち的には前向き」

 暗いトンネルの向こうに、光が差し込もうとしている。

6月に投手離脱してから2カ月半

 その大谷は、いよいよ20日にアリゾナ州テンピにあるキャンプ施設でシュミレーションゲームに登板することになった。19日の試合前、エンゼルスのマイク・ソーシア監督が明らかにした。チームは21、22日にダイヤモンドバックスと敵地で2連戦を行う。そのタイミングを利用し、設備の整ったキャンプ施設で、という段取りとなったようだ。

 6月6日のロイヤルズ戦で右肘の靭帯に違和感を覚えてから、初の本格的な実戦登板。すでに打者を立たせてブルペンで投げてはいるが、今回は相手も振ってくる。また、オープン戦などが行われる球場(ディアブロ・スタジアム)で投げる予定。これまでとはまるで状況が異なるだけに、次に向けた大きなステップと捉えられる。

 さて、ここまで来ると今後の予定も見えてくるが、7月19日にキャッチボールが解禁され、捕手を立たせたままとはいえ、ブルペンに入ったのが8月11日。その間、ゆっくりと距離を伸ばし、強度を高めていったが、ブルペンに入ってからは、テンポが早まった。

7月19日 再検査の結果、キャッチボール解禁

7月31日 70メートルの遠投

8月1日 強弱をつけながらキャッチボールで100球以上

8月6日 ブルペンでタオルを使ってシャドーピッチング

8月11日 捕手を立たせてブルペンで23球

8月13日 ブルペンで33球

8月15日 本拠地のブルペンで35球を投げたあと、打者を相手に「アップ・アンド・ダウン」。最初が15球。2回目が18球。(※アップ・アンド・ダウンとは試合での投球をイメージし、イニング間隔を設けてピッチングすること)

8月18日 軽いブルペン、20球

8月20日 ディアブロ・スタジアムでシュミレーションゲーム(予定)

 8月11日に捕手を立たせたままブルペンで23球を投げた後は、中1日のペースでブルペンに入っている。18日のブルペンも当初は17日に組まれており、予定通りならば、中1日だった。

 大谷はペースについて、「予定通り来ているんじゃないかと思うので、特に遅いなとか早いなとかはない」と話したが、傾斜を使って投げ始めると最初は体に軽い張りを感じるもの。ケガの箇所が箇所だけに、張りが肘にまで及ぶようなら、大事を取って調整を見合わせるケースが多いが、予定を変更するほどではなかったということ自体、明らかにポジティブなサインである。もちろんまだ、復帰までに何があるかわからないが、本人の言葉を借りるなら、「すごく順調に来ている」ということになる。その言葉は、これまでの流れが証明している。

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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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