悲願達成へ、準備万端のアトレティコ 本拠地でのCL初制覇に高まる期待

今季こそ“アトレティコ・マドリーの年”になる!?

長期政権を築くシメオネ監督は、いまや選手補強にも大きな権限を持っている 【Getty Images】

 今夏は即戦力の補強が目立つが、先を見据えた動きもないわけではない。セルタ・デ・ビーゴからジョニー・カストロを獲得しながら、すぐさまプレミアリーグに昇格したウルバーハンプトンへ貸し出したのはその1つだ。ただ、このオペレーションはアトレティコ・マドリーと関係が深い大物代理人、ジョルジュ・メンデスの主導で行われたため、一部メディアからの批判を招くことにもなった。

 2011年12月にシメオネが監督に就任して以降、あと数カ月で丸7年が経過することになる。その間、クラブ内での影響力を強めてきた彼は、今や実質的なチーム強化の最高責任者として、選手の売り買いにまで決定権を持つようになった。彼は常に個々の利益ではなく、チームを動かすための歯車の一部として選手を補強してきた。

 レアル・マドリーはクリスティアーノ・ロナウド、バルセロナはアンドレス・イニエスタ、そしてアトレティコ・マドリーはフェルナンド・トーレス。今夏にはスペインを代表する3大クラブからそれぞれ象徴的な選手が去っていった。

 それでも強力な戦力を保っている3チームの中で、悲願のCL初制覇を目指すアトレティコ・マドリーは年々ハイレベルなタレントを増やし、着実に力をつけてきた。

 今季最大の目標はもちろん、ワンダ・メトロポリターノで行われるCL決勝である。とはいえ13−14シーズンを最後にタイトルから遠ざかっているラ・リーガを疎かにすることもないだろう。

 今季こそ、アトレティコ・マドリーの年となる。そう期待させる条件は十分にそろっている。

(翻訳:工藤拓)

2/2ページ

著者プロフィール

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント