悲願達成へ、準備万端のアトレティコ 本拠地でのCL初制覇に高まる期待

積極的な選手補強と主力選手の引き止めに成功

15日にUEFAスーパーカップでレアルを破り、アトレティコは幸先のいいスタートを切った 【Getty Images】

 アトレティコ・マドリーを愛するファンなら誰もが、2019年の6月1日が来るのを心待ちにしていることだろう。初タイトルに何度も手をかけてきたチャンピオンズリーグ(CL)の決勝がこの日、本拠地ワンダ・メトロポリターノで行われるからだ。

 アトレティコ・マドリーの関係者たちは、今季をCL初制覇のまたとないチャンスと考えている。それは今夏に行っている積極的な選手補強、そして主力選手の引き止めにも見て取れる。

 スペインには一方的に契約を解除できる違約金が存在する。そしてその支払いを苦としない資金力を持つビッグクラブは年々増えている。それでもアトレティコ・マドリーはディエゴ・シメオネ監督を中心に、手を尽くして主要選手の引き抜きを阻止することに成功してきた。

 今季にクラブを去った主力級の選手といえば、カタールのアルサッドへ渡ったガビ・フェルナンデス、インテルへ期限付き移籍したシメ・ブルサリコの2人くらいだ。フェルナンド・トーレスのサガン鳥栖、ルシアーノ・ビエットのフラム、ケビン・ガメイロのバレンシアへの移籍はいずれも、余剰戦力の放出だったと言える。

近年最も分厚い選手層を誇るチームに

守備の要であるGKオブラク(左)とDFゴディン(右)はプレミアからのビッグオファーを断って残留 【Getty Images】

 その傍ら、ヤン・オブラクはチェルシー、ディエゴ・ゴディンはマンチェスター・ユナイテッドから受けた魅力的なオファーを断った。ホセ・マリア・ヒメネスのレアル・マドリー行きもうわさの域を超えていない。

 何よりアントワーヌ・グリーズマンはバルセロナ移籍が合意に達していたことを認めていただけに、ワールドカップ(W杯)ロシア大会の開幕直前に残留する意思を公表するまで、その動向は大いに注目されることになった。

 ステファン・サビッチ、フアンフラン、フィリペ・ルイスらも健在のディフェンスラインでは、フランス代表の一員としてW杯で大いに株を上げたリュカ・エルナンデスも定位置争いに食い込んできた。中盤にはトーマス・パーティー、コケ、サウール・ニゲス、ビトロらがそろい、前線にはアンヘル・コレアとジエゴ・コスタがいる。

 彼らが築いてきたベースはそのままに、各ポジションに新戦力が加わった。

 コロンビア代表の右サイドバックを務めるサンティアゴ・アリアス、スペイン代表でセルヒオ・ブスケッツの後継者と期待されるロドリゴ・エルナンデス、サイドアタッカーのジェルソン・マルティンスとトマ・レマル、そしてストライカーのニコラ・カリニッチ。

 昨季のヨーロッパリーグを制した主力メンバーをベースに、これだけの新戦力が加わった今季のチームは、近年で最も分厚い選手層を誇る陣容となった。レアル・マドリー、バルセロナとともにヨーロッパで最も需要なタイトルを争えるだけの戦力が間違いなく整っている。

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著者プロフィール

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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