井岡一翔の米国デビュー戦は正念場に ミステリアスな存在として注目を集める

杉浦大介

英語で堂々とスピーチ

『Supefly 3』に参戦する井岡一翔。「4階級制覇」を目指すと意気込んでいる 【写真は共同】

「米国で戦う機会を与えてくれたトム・ローフラー・プロモーター、HBOに感謝したいです。『Superfly 3(スーパーフライ)』で4階級制覇という私の目標に大きな一歩を踏み出すつもりです」

 8月8日、ロサンゼルスのハリウッドで開催された『Superfly 3』のキックオフ会見で、元3階級制覇王者・井岡一翔は英語でそうスピーチした。井岡は現地時間9月8日にロサンゼルス近郊のザ・フォーラムで行われる米国デビュー戦でマクウィリアムス・アローヨ(プエルトリコ)との10回戦が決定。その発表のステージで、堂々とした姿を披露したのだった。

 WBO世界スーパーフェザー級王座を奪取したばかりの伊藤雅雪(伴流)もそうだったが、米国のファン、関係者は流ちょうではなくとも公の場で一生懸命に英語を話そうとするアスリートに好感を持つもの。米国進出にあたり、現地の人々の心をつかむことにはおそらく日本で思われている以上に重要な意味がある。主催プロモーションズの公式ウェブで生配信された会見の舞台で、井岡はまずは好スタートを切ったと言っても大げさではないだろう。

過去2回は内容的にも好評

 この『Superfly』とは、ゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン)のプロモーターとして知られるローフラーと米プレミアケーブル局の雄であるHBOが組んで始まった軽量級シリーズ。昨年9月の第1回では井上尚弥(大橋)が米国デビューを飾り、ローマン・ゴンサレス(ニカラグア)との米国でのそろい踏みが話題を呼んだことも記憶に新しい。

「『Superfly』はHBOスポーツでも最も成功を収めているプログラムの1つ。視聴率は素晴らしいし、ファンからも好評です。世界中の多くの地域から選手を米国に集めるのは簡単ではなく、ローフラーには感謝しています」

 会見に登場したHBOのトニー・ウォーカー氏が述べていたそんな言葉は大げさではない。メキシコ、ニカラグア、日本、タイ、プエルトリコ、アルゼンチン、米国、フィリピンなど、過去2回では世界各国のさまざまな強豪が集まったことで、真の意味で国際色豊かな舞台となったのだった。

 軽量級は中量級以上と比べてファイトマネーが安価ということもあり、ボクシング予算の削減を続ける現在のHBOにもおあつらえ向きの興行。世界的には知名度が高いとは言えない選手たちが必死の戦いを繰り広げ、過去2回は内容的にも好評だった。そんな背景を考えれば、ローフラーが今後もこのシリーズを続けていきたいと考えていることは容易に想像できる。

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著者プロフィール

東京都生まれ。日本で大学卒業と同時に渡米し、ニューヨークでフリーライターに。現在はボクシング、MLB、NBA、NFLなどを題材に執筆活動中。『スラッガー』『ダンクシュート』『アメリカンフットボール・マガジン』『ボクシングマガジン』『日本経済新聞・電子版』など、雑誌やホームページに寄稿している。2014年10月20日に「日本人投手黄金時代 メジャーリーグにおける真の評価」(KKベストセラーズ)を上梓。Twitterは(http://twitter.com/daisukesugiura)

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