【新日本プロレス】オカダはEVILにリベンジで優勝に望み 棚橋が盟友エルガン下し単独首位保持

高木裕美

棚橋、3年ぶりの優勝まであと2勝

棚橋(右)は盟友エルガンに勝利し単独首位をキープ。試合後はノーサイドでエルガンが勝利を称える 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 セミファイナルでは、棚橋弘至が盟友マイケル・エルガンとのパートナー対決を制し、7勝1敗で単独首位をキープした。

 エルガンは序盤から得意のパワー殺法で押しまくると、棚橋のお株を奪う逆ドラゴンスクリューやフロントスープレックス、ファルコンアローを披露。棚橋も雪崩式ドラゴンスクリュー、テキサスクローバーホールドで反撃に出るが、エルガンはなおも雪崩式ブレーンバスター、変形パワーボムと猛ラッシュをかけ、さらにはレインメーカー式のエルボーも発射。棚橋もツイストアンドシャウト、スリングブレイド、ハイフライアタックで攻勢をかけるが、エルガンにつかまってしまい万事休す。エルガンはラリアット、BTボムからコーナーマットへパワーボムで投げ捨て、エルガンボムを狙うべく抱え上げるも、棚橋がこれを切り返し、首固めで3カウントを辛くももぎ取った。

 試合後は両者ノーサイドとなり、ガッチリと握手。棚橋はコーナーに上がると、指を突き上げ、優勝をアピールした。これで7勝1敗の14点と単独首位を守った棚橋は、最終戦8.10武道館でのオカダ戦で、勝つか引き分ければ、優勝決定戦進出が決定。3年ぶり3度目のG1優勝まで、あと2勝となった。

 一方、エルガンは3勝5敗と負け越しが決定。とはいえ、その圧倒的なパワーは観る者の度肝を抜き、同じパワーファイターのバッドラック・ファレが反則に走る分、観客の支持をより多く集めた。

ジェイは優勝争い踏みとどまる 真壁は苦しい結果に

ジェイ(右)は真壁を破り優勝戦線に残る 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 ジェイ・ホワイトは真壁刀義を下し、優勝争いに踏み留まった。

 オカダ、棚橋から白星を奪っているジェイは、大先輩の真壁に対しても、後ろから頭をはたくなど、不遜な態度を崩さず。体格的に勝る真壁をバックドロップ、捻りをくわえたブレーンバスターで投げる。真壁もスパイダージャーマンからキングコングニードロップを狙うが、ジェイはレフェリーをつかんでこれを阻止。2発目のキングコングニーもかわされて自爆となる。ジェイはリング下からパイプイスを取り出してリングに入れると、レフェリー不在のスキをついてイスで殴打。リングに戻ってきた海野レフェリーの前でブレードランナーを決め、文句なしの3カウントを奪い取った。

 これでジェイは6勝2敗の12点と2位タイをキープ。現在14点で1位の棚橋、同点2位のオカダにはいずれも直接対決で勝利しているため、最終戦8.10武道館でのEVIL戦にジェイが勝利し、かつオカダが棚橋に勝てば、3人が同点となり、直接対決の結果で、ジェイが優勝決定戦進出となる。7月にIWGP USヘビー級王座を失ったばかりのジェイだが、早くもそれ以上のビッグチャンスが訪れるか。

 一方、真壁は2勝6敗と、まさかの最下位タイ。15年連続で出場し、9年前には優勝を果たしている真壁だが、後輩たちや外国人選手に追い上げられ、苦しい結果となった。

みのるはペイジに痛恨の1敗 YOSHI-HASHIは不本意な2勝目

みのる(左)は“伏兵”ペイジに痛恨の黒星となった 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 鈴木みのるは“伏兵”ハングマン・ペイジに痛恨の1敗を喫した。

 今年6月にデビュー30周年、50歳を迎えてもなお、ギラギラとした殺気を失わないみのるに対し、ペイジは捨て身の奇襲攻撃を仕掛けると、場外へ連れ出し、花道の上からケブラーダを敢行。みのるもお返しとばかりに客席に投げ捨て、イスを振り下ろす。だが、ペイジはひるむどころか、みのるの顔面にツバを吐きかけ、さらに挑発。みのるは強烈なエルボーでダウンを奪い、スリーパーで締め上げるも、ゴッチ式パイルドライバーは不発。ペイジはエルボー、スーパーキック、ラリアットとたたみかけると、みのるが再度ゴッチ式で抱え上げたところを切り返し、逆転のライトオブパッセージで3カウントを奪った。

 これにより、みのるは4勝4敗と大きく後退。とはいえ、同年代の第三世代がG1から卒業する中、確かな存在感と結果を残し、「プロレス界の王様」としての威厳を示した。一方、ペイジは3勝5敗。初出場ながら確かなテクニックを証明して観客からの支持率も上がっており、G1での経験を糧に、今後はタイトル戦線にも絡んでいきそうだ。

 最下位のYOSHI-HASHIはBULLET CLUB OGのバッドラック・ファレに反則勝ちし、不本意ながら2勝目を手に入れた。

 試合開始早々、セコンドのタンガ・ロアが介入し、場外でブレーンバスター。YOSHI-HASHIはファレをタンガに激突させると、さらにコードブレーカー、ラリアットで場外へ追い出し、ファレにダブルニーアタック、アームロックを仕掛けるが、今度はタマ・トンガがイスを手に乱入してきたため、レフェリーがゴングを要請。YOSHI-HASHIは昨年に続きファレから白星をGETした。

 勝利したとはいえ、怒りの収まらないYOSHI-HASHIはトンガを花道の奥まで追いかけるも、トンガのイス攻撃で返り討ちにされる事態に。この結果、YOSHI-HASHIは2勝6敗と単独最下位から最下位タイに浮上。最終戦8.10武道館でのペイジ戦で3勝目をつかみ、昨年を上回る結果を残せるか。

 一方、ファレは3勝5敗と負け越しが決定。普通に戦えば、オカダや棚橋からもシングルで勝利を得るだけの実力を持っているだけに、BULLET CLUB OG入りしなければ、今頃は優勝争いに絡んでいたかもしれないと考えると、今年の反則裁定はつくづく残念な結果といえるだろう。

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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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