【新日本プロレス】飯伏が内藤との死闘を制し2位タイに オメガは石井に敗れ全勝優勝の野望砕ける
Bブロックは飯伏と内藤が2敗
初の決勝進出を懸ける飯伏(右)が、内藤との同い年ライバル対決を制した 【写真:SHUHEI YOKOTA】
この日はBブロック公式戦5試合が行われ、熱戦と波乱に客席が大きくどよめいた。
メインイベントでは、飯伏幸太が内藤哲也との同い年(1982年生まれ)ライバル対決を制し、堂々の優勝宣言をした。
両者のこれまでの戦績は2勝2敗の五分。昨年7.17札幌でのG1開幕戦では内藤がデスティーノで勝利し、その勢いのまま4年ぶり2度目の優勝を果たしている。
2連覇を目指す内藤と、初の決勝進出に懸ける飯伏。その強い思いがリング上で交錯した。内藤は場外戦で実況席めがけて飯伏を投げつけると、得意の蹴りを封じる左ヒザ攻め。それでも飯伏は10分過ぎ、場外へのバミューダトライアングルを繰り出すと、内藤の変形足4の字固め、カサドーラからの変形ドライバー、垂直落下式グロリア、変形ネックツイストを食らいながらも、ハイキック一発で形勢逆転。なおもオーバーヘッドキック、スワンダイブ式ジャーマンスープレックス、シットダウン式ラストライドと大技をたたみかけると、右ヒザのニーパットをはずしてフィニッシュ準備へ。内藤の旋回式デスティーノで反撃されながらも、2発目のデスティーノを切り返し、逆に脳天から垂直に落とすと、さらに左ニー、カミゴェで勝利。
会場の大「飯伏」コールの中、「大阪で初めてマイクを持つことができました。この大阪でもひとつ約束をします。このG1を優勝してまたここに戻ってきます」と地元・鹿児島に続き、大阪でも堂々の優勝宣言をした。
バックステージでも、フラフラになりながら「全力を出し切りました。また、このG1で自分を変える。何より一番うれしいのは内藤哲也に勝ったこと。勝ち負けじゃないというのもあるけど、内藤さんとはこれで3勝2敗」とライバル対決を制したことに喜びを浮かべると、「何も考えないことが優勝すること」と残り2戦も無心で臨むことを予告した。
これで飯伏、内藤は共に5勝2敗で2位タイ。飯伏は現在1敗のオメガと8.11武道館で直接対決を控えており、まずは8.8横浜でのタマ・トンガ戦でも勝ち星を積み重ねた上で、この直接対決でオメガに勝利すれば、優勝決定戦進出が確定する。一方、内藤は得点上位のオメガ、飯伏との直接対決に共に敗れていることから、自力優勝は消滅。オメガ、飯伏の自滅に運命をゆだねることとなる。
石井が値千金の勝利
石井(右)が激闘の末に勝利。オメガは初の黒星を喫した 【写真:SHUHEI YOKOTA】
両者は昨年、3度にわたってシングルで対戦。3.12兵庫での「NEW JAPAN CUP」1回戦では石井が勝利するも、5.3福岡ではオメガがリベンジ。7.2米国ロサンゼルスでの初代IWGP USヘビー級王座決定トーナメント決勝戦ではオメガが制し、初代王者に輝いている。
オメガは序盤から飛びつき式フランケンシュタイナー、ノータッチトペ、コタロークラッシャーと軽快な動きを見せると、石井も雪崩式ブレーンバスター、ジャーマンスープレックス、スライディングラリアットなどで対抗。オメガは石井をエプロンに寝かせてニードロップをブチ込むと、さらに後頭部へのミサイルキック、蒼い衝動、Vトリガー、垂直落下式ドライバーなど猛ラッシュをかけるが、石井は口から流血しながらも意地のカウント2。ならばとオメガはニーパットをはずしてのVトリガーから片翼の天使を狙うも、石井はこれを切り返すと、ラリアット、頭突きの連発から再度ラリアットで1回転させ、なおもラリアット、頭突き。粘るオメガを垂直落下式ブレーンバスターでマットに沈め、ついに3カウントを奪い取った。
敗れたオメガは、激闘の衝撃で唇を切り、口から大出血。予告していた「全勝優勝」の野望がついえた上に、心身共に大きなダメージを負ってしまった。現在は6勝1敗とまだ単独首位をキープしているが、敗戦ショックにより、残り2戦での大失速も考えられる。
8.8横浜では、「何が飛び出すか分からない」矢野通戦。そして8.11武道館では、実に6年ぶりとなる盟友・飯伏幸太戦が控えている。新日本の歴史を次々と塗り替え、常に新しいことにチャレンジし続けてきたオメガが、この1敗を逆に糧として、3年連続決勝の舞台へと辿りつけるか。
一方、石井は3勝4敗とすでに優勝争いからは脱落。とはいえ、IWGPヘビー級王者から値千金の1勝をもぎ取っただけに、この秋、王座初戴冠という大きな夢が見えてきそうだ。
ザックがジュースのUS王座を奪い挑発
ザック(左)がジュースに勝利を収め、通算4勝3敗とした。残り2戦は大物対決を控える 【写真:SHUHEI YOKOTA】
昨年7月に米国で行われた同王座の初代王者決定トーナメントではザックが勝利。この日も得意のサブミッションで攻めるザックに対し、ジュースもキャノンボール、プリンスズスロウンなどを繰り出すと、自ら左手のギプスをはずして素手でナックルを炸裂。だが、パルプフリクションを切り返したザックがオーバーヘッドキックをたたき込むと、ジムブレイクスアームバーで捕獲し、さらに両足をロック。ジュースがたまらずギブアップした。勝利したザックは、オレのものだと言わんばかりにUSベルトを手にするも、ひとまずはジュースに返還した。
これでジュースは2勝5敗と負け越しが決定。左手負傷のハンディがあるとはいえ、正攻法で戦っていながら、毎試合反則だらけのタマ・トンガと同じ点数というのは、同じ王者としてあまりにもふがいない結果だ。
一方、ザックは4勝3敗。8.8横浜では現NEVER無差別級王者の後藤洋央紀、8.11武道館では内藤と大物対決が控えており、優勝争い抜きに、ガンガンとサブミッションを仕掛けて勝ち星を狙いにいきそうだ。
後藤は反則勝ちで不完全燃焼
後藤(右)とトンガの一戦は不完全燃焼の結末となった 【写真:SHUHEI YOKOTA】
BULLET CLUB OG結成以来、公式戦を毎回ブチ壊しているトンガ。今回もトンガの誤爆でマーティー浅見レフェリーが失神する間に、タンガが乱入し後藤にアバランシュホールド。合体技のゲリラウォーフェアは阻止し、ラリアットでタンガを追い出した後藤が、完璧なGTRを決めるも、今度はバッドラック・ファレがレフェリーの足を引っ張ってカウントを阻止。さらに浅見レフェリーを鉄柵にたたきつけたため、尾崎リングアナウンサーが反則のゴングを打ち鳴らした。
だが、ファレは構わず、リングに乱入し後藤にグラネードを発射。すかさずトンガをカバーさせると、そこに駆けつけた海野レフェリーがカウントをたたこうとするが、異変を察し、改めてゴングを要請。後藤の勝利が認められた。
これで後藤は3勝4敗。現NEVER無差別級王者として、敗れた相手にはキッチリ借りを返したいところだが、試合には勝利したとはいえ、この日のトンガ&タンガ&ファレも許せない存在だろう。一方、トンガは2勝5敗と負け越しが決定。もはや最初から勝敗にはこだわっていないが、残る公式戦もセコンド陣の乱入・反則は確実だ。
SANADAは矢野に技ありのリングアウト勝ち
SANADA(左)が矢野に2年連続のリングアウト勝ち。次戦は内藤との同門対決が控える 【写真:SHUHEI YOKOTA】
これでSANADAは4勝3敗。優勝の目はなくなったが、本人的には一番のクライマックスとも言える8.8横浜での内藤戦が目前に迫っている。ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン同門対決となるこの一戦。G1中、マイクアピールを行うなど、大きな変ぼうを遂げた寡黙な男が、多弁なボスにどのようにかみ付いていくのか。
一方、矢野は1勝6敗とさらに黒星を増やし、もちろん自身の優勝は完全になくなったが、気になるのは8.8横浜でのオメガ戦だ。オメガの盟友・飯伏から1勝を奪った男が、現IWGP王者にも土をつけ、混沌とする優勝戦線をかき回すか。
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