猛牛ルーキー福田周平の欠かさぬ準備 「80%の全力」「出塁率重視」の意味

週刊ベースボールONLINE

今は技術より体を強くしたい

盗塁練習ではサポーターを付けケガを防ぎ、守備でも汗を流す。欠かさぬ準備が走攻守で躍動感あるプレーを支えている 【写真:BBM】

 スタメンに限らず、守備固めや代走、代打でも存在感を発揮する背番号4。ルーキーとは思えぬ落ち着き払ったプレーを支えるのは、欠かさぬ準備だ。最重視する『出塁率』の向上へ、課題も自負している。

――7月27日終了時点まで61試合に出場。1年目の今季、ここまでの自身の成績をどのように見ていますか。

 ひと言で表現すれば『まだやれる』。全然、満足していないです。それに前半戦を終えて感じたことは、自分の『体の弱さ』なんですよね。初めから分かってはいたんですけど。

――『体の弱さ』というのは?

 全部ですね。体のバランス、筋力、それに体幹も弱いんです。だから、軸がブレる。打撃でもスイングがブレてしまうし。顔が動き、体の軸が動いちゃうんです。そうやって体を動かしたら絶対にダメ。ヒットが出た打席も、動いていないようで、少し動いているので。だから『軸を動かさないように』と考えているけど、それができていない。完全に体が弱いなと感じています。

――それは感覚で分かること? それとも映像で見返して気が付くのでしょうか。

 すぐに気が付くこともあります。インコースに差し込まれるのは、体が前(投手方向)に出ているから、バットが出てこないんですよね。だから、今は技術面よりも体を強くする必要があると感じているんです。

――打席で意識していることも、しっかり軸を崩さず、ボールをとらえることですか。

 打席では気持ちを安定させることです。そこで、しっかり深呼吸して、リラックスしてボールを迎えられるように。あとは打つと決めたボールに対して、振り切るだけです。

――逆方向への安打も多いです。球種やコースを絞るタイプではない?

 絞りますよ。でも、それは打席に入る前の話。『次の打席はアウトコースに来そうだな』というように、プランを立てています。打席では、そのプランを迷わず実行するだけ。そのためにも、リラックスする必要があるんです。気持ちが前のめりし過ぎてもダメだし。そうなったら、描いていたプランも頭に入ってこないと思うんです。

――プロ1年目。経験はまだ多くはありませんが、プランを立てる際の判断材料は、何になるのでしょうか?

 経験がなくても、僕に対して、相手がどのような配球を組み立てるのかを考えることはできます。コーチに話を聞くこともできますし、スコアラーの方はデータも持っている。今は経験を積んでいる最中だからこそムダにしないように、今、立てられるプランを立てる必要があると思うんです。

一番目指しているのは出塁率4割

――一方で途中出場も多いですが、打率は途中出場のほうが高い数字を残しています。

 常に試合に出られる準備をしているので。途中出場って緊迫した場面だったり、今日は『この一打席しかない』ということがほとんど。緊張感が増すケースが多いのでベンチでも『やるべきこと』を決めて、『リラックス』している。それがいい結果につながっているのかなと思います。

――ゲーム展開を頭に入れた上での準備の成果だと。

 だいたい分かるんですよね。たぶん、この試合で自分が出るなら、今日はこういう場面というように。先発出場でも、途中出場でも、これからも今の形を変えずに続けていきたい。盗塁でも、思い切りスタートを切れていますし、僕は総合力で勝負する選手ですから。その3つが欠けてはいけないし、欠けたくない。そのために、準備はしっかりしていきたいです。ただ、まだまだ走攻守、すべてで目指すところに達していないので。そこはもっと上を目指してやっていきたいです。

――目指すところとは?

 数字で言えば打率では3割。足では30盗塁で、守備も安定して守れるように。でも一番、目指しているのは出塁率4割です。打率より出塁率が1割高い数字を残したいと思っているんです。

――塁に出ることが先決と。

 極端な例ですけど、打率3割での出塁率が3割2分と、打率が2割でも、出塁率4割あれば、僕は後者を目指している。この数字は、ほぼないですけど、それくらい出塁することが大事だと思っています。

――それには四球がカギになります。

 四球が取れるってことは、しっかりボールが見えていること。そうなれば、ボールへのコンタクト率も上がり、打率も上がっていくと思っているんですよね。

――バットを短く持つのも、コンタクト率の意識の表れなのですね。

 それもありますけど、今の僕の体に合っているのが、この長さで握ることなんですよね。もっと長く持つには、やっぱり体の強さが必要。バット自体を長くして、一握り余して持つままにするのか、それとも長く持つか。最終的には、目いっぱい長く握ってしっかりバットが振れるようにしたいですけど。それは、これからの目標で、シーズンが終わってからの話。今は、走攻守すべてにおいて、全力でプレーすること。しっかり準備して、気負い過ぎることなくやっていきたいです。

(取材・構成=鶴田成秀)

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