W杯で15位、世界との差は「想定内」 7人制ラグビー日本代表の挑戦は続く
リオ五輪金のフィジーを前半リードするも…
15人制よりも7人制を得意とするフィジー代表 【写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ】
同日、ベスト8をかけてフィジー代表と激突した。日本代表は外国出身者6人を先発させて、勢いと運動量で上回って主導権を握り、前半は副島やジョセ・セルがトライを挙げて10対7で折り返した。リオ五輪のNZ代表撃破の再来なるかと期待したファンも多かったはずだ。
後半も最初は日本代表がボールキープしチャンスを作る。しかし、相手のプレッシャーがないところで副島、セルがパスミスをしてしまい、坂井も1対1のタックルで相手に抜かれてしまう。一度、フィジー相手に流れを奪われるとなすすべはなく、後半だけで4トライを奪取されて10対35で大敗した。
「体がきつくなって地力の差、シンプルな差が出た。しかも1日目の2試合目なので本来ならそれが出てはいけないところ。リオ五輪の時も3日目の5試合目(フィジー代表戦)、6試合目(南アフリカ代表戦)で出てしまったが、(それが)改善できていないことがはっきりした」と岩渕HCが指摘すれば、リオ五輪組の坂井も「善戦したとは言え、(前半の)7分しか持たなかった。フィジー代表戦の前半を3日間で6試合できないとメダルは獲れない」と反省していた。
2日目にパフォーマンス低下「メンタル的なところ」
ベテランとして日本代表を支えている副島(写真はリオ五輪) 【写真:中西祐介/アフロスポーツ】
小澤大キャプテンが「初日、あれだけいいプレーをしていたのに2日目の入りが悪かったし、雰囲気も疲れていた。もっと一つのチームになるようにしないといけなかった」と言えば、岩渕HCも「疲れではない。初日に懸けていたところがあってスキルや技術ではなくメンタル的なところが大きい。自分たちでスタンダードを下げてしまった」と肩を落とした。
3日目の最終戦は15〜16位決定戦のケニア代表(9シード)戦だった。日本代表は昨季のWSで2度決勝に進出している強豪相手に素晴らしいゲーム運びを見せ、加納遼太がトライを挙げるなど26対14で快勝し、15位で大会を終えた。「日本代表の力を出せて、(ケガ人が出て)10人しかいない中で勝って終われて良かった。もっと上の順位に行けたのかな。すごく波があるので、その波をなくしていきたい」(小澤キャプテン)
新体制となった男子セブンズ日本代表の最初の挑戦が終わった。リリダムがセブンズW杯で「ドリームチーム(ベスト7)」に選ばれたことは明るい兆しだ。小澤キャプテンは「強豪は6試合目まで集中力があり、基本スキルやプレーの質も高い。正確性、フィットネス、筋力をもっとやっていかないといけないと気づかされた大会でした」と振り返れば、セブンズ9年目の坂井は「自分の中では、ボールを確保できたら(強豪相手にでも)得点が取れたことは一番の収穫です。最後にものを言うのは経験です。メンバーを固定して経験することが大事」と語気を強めた。
「手応えでもあるし、大きな反省でもある」
東京五輪でのメダル獲得に向けて、挑戦は続いていく 【斉藤健仁】
「世界とどれくらいの差があると知りたいと思っていましたが想定内でした」と坂井が言うように、日本代表の現状の力はよく見積もっても世界の10位前後であろう。まずこの1年でどこまでチーム力を高めることができるかが焦点になる。岩渕HCは「2020年のオリンピックイヤーのWSでベスト4に入るような戦いをできないとメダルを取れない。だから18―19のWSでベスト8に3回以上入らないとメダルの道は遠ざかる」と先を見据えた。
8月末には4連覇を期待されているアジア競技大会があり、11月末からはWSと岩渕ジャパンの戦いは続いていく。メダルを目指す東京五輪まであとちょうど2年と待ったなしだ。まず、WSで世界の強豪と伍して、ベスト8にコンスタントに進出できるよう、「メダルスタンダード」を下げずに、この4カ月の強化を続けてほしい。