期待が高まるタイガーの復活優勝劇 宮里、小平らは最終日の躍進を誓う

北村収

3日目に6位タイまで順位を上げたウッズ。多くのファンがそのプレーに注目している 【Getty Images】

 メジャーチャンプや米ツアーで優勝実績がある実力者で混戦模様となっている今年の男子ゴルフメジャー第3戦「全英オープン」。中でも最終日に最も注目を集めるのは、10年ぶりのメジャー優勝を狙うタイガー・ウッズ(米国)だろう。

イギリスでも圧倒的なタイガー人気

 3日目、イーブンパーの29位タイからスタートしたウッズは、4番、6番でバーディ。さらに9番からの3連続バーディでついにトップと1打差に迫った。そして14番でバーディをとりトップに並ぶと、筆者がいたプレスルームがどよめいた。

「遂にタイガー復活か?」

 後半はプレスルームを飛び出し生観戦。16番パー3ではナイスショットでピンに寄るかと思われたが、ほんの少し短かったため傾斜でグリーン外にこぼれてしまう。そしてアプローチを寄せきれずボギー。トップに立ったウッズ見たさにコース内から集結した大ギャラリーからは、「頑張れ!」というニュアンスの温かな拍手が送られた。

 18番ではティーショットを左に曲げ2打目はレイアップしたが、3打目をきっちりと1.5メートルにつけた。パーパットを沈めるとグリーンを取り囲んでいた数万人から大歓声。あまりのすごさに筆者は鳥肌が立っていた。

 人気はイギリスでも圧倒的だ。初日から最も多くのギャラリーを引き連れ、3日目にスコアを伸ばし優勝争いに加わりだすとさらに声援は大きくなった。プレスルームで隣に座った中国人記者もタイガーの復活に興奮。中国でもウッズはカリスマ的存在なのだそうだ。

 最終日を首位と4打差の5アンダー・6位タイで迎えるウッズ。ホールアウト後、「私にはチャンスがあるが、今日のようなコンディションなら6〜8アンダーが必要」と話した。全盛期に何度も見せてくれた“タイガーチャージ”が出れば、10年ぶりのメジャー15勝目に手が届く。最終日は世界中のゴルフファンが、ウッズの復活劇を期待する。

連覇を狙うスピースが本命

連覇を狙うスピースが首位タイ。「メジャーでタイガーと戦ってみたいと思っていた」と話すが、振り切ることができるか 【Getty Images】

 9アンダーのトップには3人の選手が並んだが、優勝候補の本命は昨年の覇者であるジョーダン・スピース(米国)だろう。3日目、3アンダー・11位タイからスタートしたスピースは1番ホール・パー4でティーショットをワンオン。パットも沈めイーグルスタートを切った。

 その後も4つバーディを奪い3日目を首位タイでホールアウトした。「メジャーでタイガーと戦ってみたいと常に思っていた」と話したスピース。24歳のスピースと42歳のウッズの戦いにも注目が集まる。

 スピースと同じ9アンダーにはともに米ツアー2勝を誇るケビン・キスナーとザンダー・シャウフェレ(ともに米国)が並ぶ。さらに7アンダー・4位には米ツアー1勝のケビン・チャペル(米国)、6アンダー・5位には米ツアー1勝、WGC1勝のフランチェスコ・モリナリ(イタリア)とメジャー優勝こそないが、上位は実力者がそろった。また、ウッズと同じ5アンダーには海外メジャー4勝のロリー・マキロイ(北アイルランド)もいる。18番で大たたきの可能性があるカーヌスティでの最終日は、最後まで予断を許さない戦いになりそうだ。

宮里は「体との戦い」 最終日に向け集中力高める

宮里は3アンダー・20位タイまで順位を上げた。最終日は「体との戦い」と話すが、上位フィニッシュできるか 【Getty Images】

 日本人選手の上位進出も期待がかかる。好位置からスタートするのは、昨年日本ツアーで賞金王争いをした宮里優作と小平智だ。3日目に「65」の好スコアを出し3アンダー・20位タイまで順位を上げてきた宮里は、「むしろ1打1打に集中できたのが良かった」と開幕前から苦しんでいる腰痛に対して、今日も前向きなコメント。そして「明日も体との戦い」としながらも、「ここまで来たらやれるだけやる」と、メジャーでの上位争いに気合を入れた。

 2アンダー・28位タイからスタートするのは、今年の4月に日本人5人目となる米ツアー優勝を果たした小平。「リカバリーができるようになったのが自分にとっての大きな成長」と、メジャーでしっかり戦える手応えを感じている。「もったいないことも多い」とまだまだスコアを伸ばせる余地はある模様。「トップ10を目指す。今日以上のスコアは出したい」と最終日の目標を話した。

「ショットは悪くない」と話すのは1オーバー51位タイからスタートする池田勇太。「昨日から惜しいパットの連続」と話すパターが入れば、爆発的なスコアも期待できる。

 2オーバーの56位タイからスタートする川村昌弘は、「カップを外しても惜しいパットには拍手をしてくれるギャラリーが素晴らしい」と初出場ながらメジャーの雰囲気を満喫。「明日はバーディがたくさんとれるゴルフをしたい」とさらなる躍進を誓った。
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著者プロフィール

1968年東京都生まれ。法律関係の出版社を経て、1996年にゴルフ雑誌アルバ(ALBA)編集部に配属。2000年アルバ編集チーフに就任。2003年ゴルフダイジェスト・オンラインに入社し、同年メディア部門のゼネラルマネージャーに。在職中に日本ゴルフトーナメント振興協会のメディア委員を務める。2011年4月に独立し、同年6月に(株)ナインバリューズを起業。紙、Web、ソーシャルメディアなどのさまざまな媒体で、ゴルフ編集者兼ゴルフwebディレクターとしての仕事に従事している。

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