広島のリーグ3連覇はもう安全圏!? 伊原春樹氏が語るその強さ

週刊ベースボールONLINE

前半戦は首位に5ゲーム差が目安

昨季3割を打った安部の不調を西川が埋めるなど、伊原氏は広島の強さのひとつに選手層の厚さを挙げている 【写真=前島進】

 オールスターが終わり、後半戦がスタートした。どのチームも残り70試合を切り、優勝へ、Aクラス入りへ向けて息の抜けない日々が続くことになる。特に夏場は体がきつくなってくるだろう。厳しい戦いを勝ち抜くには、体調管理をしっかりと行い、心技体のすべてが充実していることが必須だ。

 セ・リーグは優勝争いの行方に関してはほぼ決着がついていると言えるかもしれない。前半戦終了時点で広島が2位・巨人に6ゲーム差で首位。私も指導者としてユニホームを着ているとき、オールスターまでに2位に5ゲーム差をつけることを1つの目安にしていた。これだけ離れていると、後半戦だけで逆転されるのはかなり稀だ。よほどのことがない限り、広島は“安全圏”にいる。

強打に加えて、足技を使える広島打線

 さらに今はクライマックスシリーズがあるだけに、首位とある程度差がつくと、2位以下のチームは目標をAクラス入りに切り替えてしまう。特にセは2位から6位が3.5ゲーム差内にひしめいているから余計にそうなるはずだ。なんとしても首位から引きずりおろすという戦いにはならない。だから自然と広島が3連覇を果たす可能性は高くなる。

 それを抜きにしても広島の強さはセで群を抜いている。特に打線。田中広輔、菊池涼介の1、2番コンビの打率は低いが出塁率は高い。3番の丸佳浩は選球眼がよく、失投を見逃さない完全無欠のスラッガーとなった。序盤は苦しんだ4番の鈴木誠也も復調。そして、何よりも足を使える選手が多い。東京ヤクルトも強力打線と言われるが、“足技”を使える分、広島のほうが数段上だ。

 加えて層の厚さもある。昨年、打率3割をマークした安部友裕が打撃不振に陥ったが、それをカバーしているのが西川龍馬だ。彼も非常に高いバッティングセンスがある。丸がケガで欠場していたときには野間峻祥が台頭。投手陣の調子が上がらないが、切れ目のない強力打線が広島を優勝へ導いてくれるだろう。

西武、打撃好調もリリーフ陣に不安

 パ・リーグは埼玉西武が2位・北海道日本ハムに2.5ゲーム差をつけて前半戦首位ターンを決めた。原動力となったのは12球団一の得点を挙げている打線。西武も広島と同様、長打力にプラスして走れる選手が多いから、得点パターンが多いのが強みだ。

 しかし、やはり西武はリーグ最下位の防御率の投手陣が不安だ。優勝するには投手陣がしっかりしていることが必要。特に現代野球ではリリーフ陣の充実度が優勝の行方を左右するのは間違いない。守護神の増田達至、武隈祥太(武隈は7月16日に1軍昇格)が2軍調整中だが、後半戦、絶対に彼らの力が必要になってくるだけに、いつ万全な状態で戻ってくるかが優勝のカギを握るだろう。

 そういう意味では2位の日本ハムは前半戦終了時点で12球団トップのチーム防御率3.48を誇っており、エースの有原航平も復調気配なだけに、西武を逆転する可能性も十分にある。3位・福岡ソフトバンクはケガ人に苦しめられた。特に守護神のサファテの不在が大きく響いた。ただ、千賀滉大、東浜巨、今宮健太らは後半戦、1軍の舞台に戻ってくる。役者がそろったときに、どう巻き返してくるか見ものだ。

 とにかく、パ・リーグは借金を抱えているのは東北楽天のみという状況。この最下位チームに取りこぼすチームが、優勝争い、Aクラス争いから脱落していくだろう。
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