- 宇都宮徹壱
- 2018年7月14日(土) 10:25
GKとDFはフランスとイングランドから2人ずつ

ワールドカップ(W杯)30日目。この日もノーマッチデーなので、今大会を振り返る企画をお楽しみいただきたい。前回は「出来事」という切り口であったが、今回は「プレーヤー」。それも、4年後のカタール大会でも個人的に見てみたいと感じた選手をピックアップする。もっとも、すべての選手のプレーを見たわけではないので、あくまでも私自身が現場で見た試合から基本的に選んでいる(一部、例外もある)。また、必ずしも今大会で活躍した選手ばかりでないことも付け加えておく。それ以外の条件として、「4年後も20代であること」という縛りも加えてみた。それでは、さっそくGKから見ていこう。
【GK】ジョーダン・ピックフォード(イングランド)
ある程度、キャリアのある選手が重用されるポジションにあって、94年生まれのピックフォードの存在感は際立っていた。185センチとGKとしては決して体格に恵まれているわけではないが、安定感のあるキャッチングと正確なキックが持ち味。ラウンド16でのコロンビア戦では、カルロス・バッカのキックを左手一本で止めて「PK戦に弱いイングランド」という負の歴史を払拭するのにも貢献した。
【DF】バンジャマン・パバール、サミュエル・ウムティティ(いずれもフランス)、ジョン・ストーンズ(イングランド)
DFは3人。そのうち2人は決勝に進出したフランスから選んだ。22歳で右サイドバックのポジションを獲得したパバールは攻撃面でも活躍。アルゼンチンとのラウンド16では、バックスピンを効かせた見事なボレーシュートを決めている。カメルーンをルーツに持つウムティティは、左サイドバックでもプレーしていたが、スピードと空中戦の強さに加え、前線へのフィードやビルドアップにも長けたセンターバックとして成長。準決勝のベルギー戦では貴重な決勝ゴールを挙げている。
今大会は伝統の4バックから3バックに変えて、28年ぶりのベスト4進出を果たしたイングランド。その守備の中心として活躍しているのが、24歳のストーンズだ。ディフェンスラインを統率するだけでなく、前線へ正確なロングパスを提供し、さらにはドリブルで持ち上がって自ら積極的に仕掛けてゆく。パナマ戦でも2ゴール挙げるなど、攻撃面での貢献度も評価しての選出となった。
MFの筆頭は「フランスの神童」、アジアからは?

【MF】キリアン・エムバペ(フランス)、ファン・キンテーロ(コロンビア)、アレクサンドル・ゴロビン(ロシア)、イ・スンウ(韓国)
多士済々の新鋭がそろう中盤からは、この4人。このうちフランスの神童、エムバペの選出については誰も異論を挟む者はいないだろう。驚異的なスプリント力に加え、スピードのみに頼らないスキルと度胸の良さを併せ持つ。19歳という若さで10番を背負いながら、まったく気負うことなく伸びやかなプレーを披露し、今大会はすでに3ゴールを挙げている。決勝でも新たな伝説を生み出すかもしれない。
今大会、不振だった南米勢からはコロンビアのキンテーロをチョイスしてみた。21歳で挑んだ前回大会はベンチスタートだったが、今大会は不調のハメス・ロドリゲスに代わって大車輪の活躍を見せ、日本戦での1ゴールの他に2アシストを記録している。29歳となる4年後は、真の意味でチームの中心となっているかもしれない。ホスト国のロシアからは、チーム最年少(22歳)のゴロビン。テクニックに優れながら、ボール奪取能力にも長けており、攻守の要として不可欠な存在となっていた。サウジアラビア戦では直接FKによるゴールも決めている。
アジアからも誰か1人と思ったのだが、なかなか該当者が見当たらない。もちろん日本からのエントリーも考えたが、このポジションの選手は4年後、全員がオーバー30である。ということで、20歳で韓国の10番を担ったイ・スンウをチョイス。今大会は2試合に出場したが、いずれも途中出場で合計43分しかプレーしていない。本人にとっても不本意な大会だったはずだが、4年後の捲土重来(けんどちょうらい)を期待したい。