本塁打の魅力が詰まったフレッシュ球宴 中日・石垣と日本ハム・清宮に夢を見る

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清宮が見せた現状の魅力と課題

注目の日本ハム・清宮は第2打席で一発を放ち、青森のファンを喜ばせた 【写真は共同】

 6月末に出場メンバーが発表されてから、清宮をはじめとする「高卒ドラフト1位4人衆」が揃うことに注目が集まっていた。清宮、安田尚憲(イースタン/千葉ロッテ)、村上宗隆(イースタン/東京ヤクルト)、そして中村奨成(ウエスタン/広島)の4人だ。

 その注目は11日のスタメン発表でさらに高まった。イースタンの川相昌弘監督(巨人)が3番・清宮、4番・村上、5番・安田と、クリーンアップを丸ごと1年目の3人に任せたのだ。1軍でのオールスター出場経験を持つ川相監督、さすがの采配である。

 ウエスタンの「8番・キャッチャー」で出場の中村も含めて、最も観衆を沸かせたのは、やはり清宮だった。2点を追う4回、先頭打者として打席に入ると、藤嶋健人(中日)が投じた117キロのカーブを捉え、ライトポール際へ飛び込む本塁打。清宮特有のギリギリまでボールを呼び込み、一瞬でスタンドへ運ぶ技術を青森の野球ファンにも披露した。

 清宮は2軍で15本塁打を放っており、これはリーグトップの数字。しかし1軍ではわずか1本塁打。打率も1割台に落ち込み、ここまでは鳴り物入りで入団もその期待には応えられずにいる。栗山英樹監督は直球への対応を課題に挙げているが、この日も打ったのは変化球。本人も「直球には合ってなかったので、カーブが来て良かった」とコメントしており、今もその課題が続いている様子。

 最終打席に対戦した望月惇志(阪神)の155キロをスタンドへ運べばまた印象が変わったかもしれないが、かえって現状の清宮が持つ魅力と課題が同時に感じられる試合に。これは今後を見ていく上でもいい指標になった。もちろん、注目が集まる中で期待通りに一発を放つところは「素晴らしい」のひと言だ。

「はるか夢球場」でロマンあふれるプレー

 投手陣にも少し触れておくと、前述の望月をはじめ多くの投手が150キロ超の直球を投げ込んだ。イースタンの先発を任された種市篤暉(ロッテ)をはじめ、1軍での登板経験もある長井良太(ウエスタン/広島)やK−鈴木(同/オリックス)、西村天裕(日本ハム)らが自慢のスピードボールを披露。打者にほとんどバッティングをさせなかった。

 北京五輪で金メダルを獲得した元女子ソフトボール日本代表監督の斎藤春香さん(会場のある弘前市出身)の名前にちなんで命名された「はるか夢球場」。そんなロマンあふれる球場で、誰よりも遠くへボールを飛ばし、誰よりも速いボールを投げる。野球という競技の原点、もっとも多くの人が楽しめる要素が今回のフレッシュオールスターにあったと思う。その証拠にほとんどの観衆が試合終了まで残り続け、選手のお見送りを最後まで見届けるファンも多く見られた。
 
 最後に、メンバーに選ばれた選手たちの今後の活躍、そして将来は1軍のオールスターで一人でも多くプレーすることを願って、本稿を締めたい。

(取材・文:加賀一輝/スポーツナビ)

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