ヤングマンのカーブを堀内恒夫氏が絶賛「最近お目にかかったことがない」
オープン戦とは別人だったヤングマン
8回無失点と鮮烈デビューを飾った巨人の新外国人ヤングマン。長身から投げ下ろすカーブに、かつての名投手・堀内恒夫氏も絶賛した 【写真=佐藤真一】
オープン戦では2試合に投げた。初登板はまずまずだった(3月6日の千葉ロッテ戦、4回2失点)が、2試合目の福岡ソフトバンク戦(3月13日)では、ボールに目を見張るものがなく、5回で10安打を浴びた(5回5失点)。コントロールにもやや不安があるという印象だった。首脳陣もそう考えたのだろう。マシソン、カミネロに代わって1軍に登録するまでの力はないと判断したのかもしれない。
しかし、ファームで地道な練習を続けてきたのが実を結んだのだろう。4カ月後に見たヤングマンは別人になっていた。コントロールが良くなっていた。4回に2死から連続四球を与えてヒヤリとさせたが、不安を見せたのはそのときだけ。四球もその2つだけに抑えた。
打者に恐怖感与えるインステップ投法
そして、左打者の内角を突いてくるボールが、スライダーなのかカットボールなのか、スピードガンの表示ではストレートよりも3、4キロ遅いだけの142、3キロの球だ。大島洋平、京田陽太ら左打者がいかにも打ちづらそうにしていたのは、内角の球がさらに食い込んできて詰まらされたからだ。
本来、スライダーという球はストレートとそれほど球速差がない球だ。今、どこの投手でも「スライダー」と言っている球は、ひねって投げているから、球速はストレートに比べてかなり遅くなる。実際には「カーブ」と言ってもいい球だ。伝説の大投手、稲尾和久(元西鉄)さんが投げていたスライダーは、今どこの投手が投げるスライダーよりもはるかに速く、曲がりは小さかった。本来スライダーという球は、ストレートに見せかけて、そこから少しだけ曲がるからバットの芯を外せるのだ。ヤングマンの球もこれに近い。
さらに、この投手には最大の武器がある。タテに大きく曲がるカーブだ。ストレートとの球速差が30キロあり、198センチの長身でただでさえ上目遣いでボールを見なければならない打者の、さらに頭上から曲がり落ちてくる。コントロールも良く、カウント球にもウイニングショットにもしていた。あんなにいいカーブを投げる投手に最近、お目にかかったことがない。私の記憶する限りでは、半世紀ほど前、高校から入団してすぐにドロップのようなタテ割れのカーブでプロ野球界の先輩打者たちをキリキリ舞いさせた巨人のルーキー以来ではないか。というのが、今回の結論だ(笑)。
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